新規リードを獲得したい

市場調査から見えた顧客ニーズと、潜在顧客への訴求の課題

株式会社PFU

課題と効果

課題

  • 新規顧客を獲得できていない市場に参入したいが、顧客のニーズを把握できていない
  • 市場調査を行いたいが、ノウハウがない
  • インバウンド対応に注力していたため、アウトバウンドでアプローチする方法が分からない

効果

  • 市場調査を通じて、新規開拓で訴求すべきメッセージが明確になった
  • 市場の全体傾向を把握することができ、アウトバウンドでの自社製品の訴求方法を見直すきっかけに繋がった
株式会社PFU:ドキュメントイメージング事業本部 パートナービジネス統括部 営業支援部 インサイドセールス課 課長 冨士川 裕美様(左)
SALES ROBOTICS:SALES BASE事業部 Sales Development本部 アカウントマネジメント 二課 大竹 希実(右)

リコーグループの企業である株式会社PFUは、ドキュメント関連の製品や組込コンピュータ、ネットワークプロダクトの製造・販売・構築・保守を行っています。特に、ドキュメント製品では、※世界シェアNo.1のイメージスキャナー「fiシリーズ」や「ScanSnap」を提供しています。

SALES ROBOTICSがご支援した「fiシリーズ」は世界シェアNo.1ではあるものの、まだアプローチできていない、潜在的なニーズを抱えている市場への拡販に課題がありました。
さらなるシェア拡大を目標に、市場のニーズの調査から始めることになり、SALES ROBOTICSへご相談いただきました。

取材では、当時抱えていた課題や、市場調査からアポイント獲得までどのような改善活動を進めてきたのかについて、冨士川様にお伺いしました。

(取材・執筆:高橋裕大 編集:冨田貴徳 撮影:増田那々海)

※ドキュメントスキャナーを対象とする。日本・北米はKEYPOINT INTELLIGENCE社(InfoTrends)により集計(2022年実績)。ドキュメントスキャナ集計よりMobile/Microを除く6セグメントの合計マーケットシェア(主に8ppm以上のドキュメントスキャナ全体)欧州はinfoSource社(2022年実績)の集計に基づき、西欧地区(トルコとギリシャを含む)におけるシェア。

未開拓市場のニーズを把握するために、市場調査からスタート

ーー冨士川様が所属する、インサイドセールス部門の主なミッションや業務内容について教えてください

冨士川:
私が所属するインサイドセールス課は、ドキュメント製品を取り扱う事業部に所属しており、業務用スキャナーやOCR製品、ドキュメントシステムの新規顧客の獲得や新規商談の創出をミッションとしています。

具体的には、※MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用しながら、WEBサイトからの流入があったお客様に対して継続的にアプローチを行い、商談が成立したら営業に引き継ぐ役割を果たしています。
また、お客様のフェーズをコールド、ウォーム、ホットの3段階に分類し、フェーズに応じてプロモーション部隊とインサイドセールス部隊でMAの活用を調整しています。プロモーション部門では、シナリオメールの配信なども実施しています。

展示会で名刺交換した方へのアプローチなども時折行っていますが、アウトバウンドでのアプローチに関しては、ほとんど経験がありませんでした。

※マーケティングオートメーション(Marketing Automation)
マーケティングオートメーション(MA)は、顧客情報を一元管理し、デジタルチャネルを中心としたマーケティング活動を自動化する概念・ツールのこと。

ーー当時、社内で課題になっていたことは何でしたか?

冨士川:
お客様がどこに課題を感じて、fiシリーズを導入するに至ったのか、そのお客様社内の背景に対する理解不足が課題となっていました。

弊社はインバウンドでのお問い合わせ対応が多く、購買意思のあるお客様からの要望にお応えすることが主な業務でした。そのため、金融・公共・医療の3業種については、スキャナーのニーズが発生する条件や、現場で利用される方のミッションや課題などの理解は十分できており、アプローチプランも既に確立されています。

一方で、それ以外の製造業や運輸業などでの新規顧客開拓はほとんどできておらず、これらの市場に進出する際には、どこにニーズがあるのか、どこに課題を感じているのかといった理解が社内で不足していました。

導入事例 株式会社PFU様

ーー新規市場開拓の課題を解決するために、社内で取り組んだことはありますか?

冨士川:
新規開拓業種については、インバウンドのお問い合わせ数に制約があるため、アウトバウンドでのアプローチが必要でした。そのため、デジタルマーケティング領域のタスクフォースを組織し、市場のニーズ調査からスタートしていこうと考えました。
このタスクフォースでは、プロモーション部門とインサイドセールス部門、商談管理を担うセールスオペレーション部門の3部門で共通のKPI(活動量、商談化件数)を設定し、リード獲得から商談化までのプロセスを一貫して管理し、施策の検討と実施のPDCAを進めています。

しかし、アウトバウンドコールやテレマーケティングのノウハウが社内に不足していたため、まずは外部パートナーへ委託し活動しながら、得られたノウハウを吸収していく方針をとりました。

ーーSALES ROBOTICSを選んだ理由はなんですか?

冨士川
1つ目は、ヒアリング能力の高さです。
当時、製造業や運輸業からのお問い合わせはくるものの、最適な攻略方法も見えていませんでした。そのため、いきなりアポイントを取りに行くのではなく、まずは市場調査を通じて顧客ニーズを把握する必要があると考えていました。
SALES ROBOTICS社からの提案や過去の支援実績を見ていく中で、お客様から情報を引き出すのが得意であることが分かり、新規開拓に向けて必要な情報をしっかりと集めてくれると思いました。

2つ目は、豊富な企業データベースです。
弊社の主なリード獲得手段はインバウンドのため、特定の業種のアプローチリストを準備することは容易ではありません。
SALES ROBOTICS社は400万件の企業データベースを保有しているだけでなく、過去のアプローチ結果をもとに最適な企業リストの抽出などもできるため、私たちが攻略したい業界や業種へ効率よくアプローチすることができる点も魅力的でした。

3つ目は、弊社と関係性の高い企業での支援実績です。
アウトソーシング先を探していた当時所属していた、同じグループ企業の方からSALES ROBOTICSの高い評価を聞きました。この推薦は、安心して依頼できる企業だという信用にもつながりました。

市場調査で気づいた、潜在的な課題を顕在化させる難しさ

ーーPFU様の課題解決に向けて、どのような戦略設計を行いましたか?

大竹(SALES ROBOTICS):
まず、PFU様の課題やゴールを整理し、2つのフェーズに分けてプロジェクトを進行するご提案をいたしました。

1つ目のフェーズでは、新たに開拓していきたい業種・業界はどういうニーズを抱え、どのような課題に直面しているのか、どのようにアプローチしていけばスキャナーの価値を感じていただけるお客様との商談に繋げられるかが不透明でした。そのため、仮説を立てる際に必要な情報収集も兼ねて市場調査を開始しました。

現在、2つ目のフェーズですが、市場調査から得られた情報をもとに新規市場の仮説を構築し、アポイント獲得を行っています。

導入事例 株式会社PFU様 提案内容

大竹:
市場調査についてですが、PFU様も過去の営業経験が少ない業種へのアプローチだったため、お客様の現場ではどういう取り組みが行われているのか、本当にニーズがあるのかが分からないという状況でした。
SALES ROBOTICSが過去にご支援した類似商材のデータを参考に、ヒアリング項目の案をご提示しディスカッションしていきながら、市場に対してどのようにアプローチをしていくかを決定しました。

導入事例 株式会社PFU様

ーー弊社からのご提案内容はどのような印象でしたか?

冨士川:
正直なところ、アウトバウンドが初めての試みだったので、ご提案いただいた施策の良し悪しをスタート時点では判断することは難しかったですね。
ただ、何度かコミュニケーションを重ねる中で、市場調査やアウトバウンドコールの流れを掴むことができ、PFU側からも情報収集したい項目の案を出したり、SALES ROBOTICS社からも「仮説が正しいかを判断するために、他にもこういうことを聞くのはどうか」といったご提案をいただけたので、市場調査を進めていくには十分なサポートをいただけたと思っています。

また、SALES ROBOTICS社は進め方が非常に慣れており、丁寧にコミュニケーションしていただいていたので、分からないことはすぐに聞くことができるなど、安心してお任せすることができました。

ーー初動はどのような結果でしたか?活動結果の分析から新たな仮説としてどのような気づきがありましたか?

大竹:
今回の市場調査を経て、製造業や運輸業の業界はデータ化が必要な業務が非常に多いということが、改めて明らかになりました。

一方で、スキャン業務はあるものの「複合機で賄えている」という回答も多く、市場全体がスキャン機器を取り入れていないことに対する課題認識をしていないということも分かりました。つまり、潜在的なニーズはあるものの課題として具体化していない状況が主でした。

そのため、現在のアポ獲得フェーズでは、複合機と専用スキャナーの違いや差別化部分を理解してもらえるような訴求を意識することが重要だと考えました。

冨士川:
様々な業種・業界へアプローチいただきましたが、市場調査を通じて製造業や流通業の新規開拓ができていない理由が見えてきました。特に、専用スキャナーのニーズが限定的であるという結果は、大きな課題であると感じました。

これは、次のフェーズにおいても重要な要素であり、対象市場が抱える課題やニーズ、弊社がお客様へ提供できる価値が明確になりました。これにより、市場に対するアプローチ戦略を根拠を持って策定できるようになったことは、SALES ROBOTICS社との取組みの成果だと思っています。

また、作成いただいたトークスクリプトは、受付の方とのやりとりからお客様の課題ヒアリングまでの一連の流れがスムーズに進む工夫がされており、PFU社内でもテレマーケティングを行う際の参考にしています。
トークスクリプトなどの形で社内にノウハウが蓄積されることは、アウトバウンドでのアプローチ方法が不明だった私たちにとって非常に有益でした。

導入事例 株式会社PFU様

アポイントの量と質を追い求めた、改善とコミュニケーション

ーーアポイント獲得フェーズでは、市場調査から得られた仮説をもとにどのようなプランを立てていきましたか?

大竹:
あたり前のことではありますが、このフェーズでの目標は受注につながるアポイントの獲得です。しかし、訴求方法の型ができていない状況でアポイントだけを追い求める戦略を立ててしまうと、成果が出ない可能性が非常に高いです。
そのため、アプローチリスト軸やトークスクリプト軸での細かい変更など、どのようにアプローチするのが最適かを活動の中で見つけ出していくことから始めました。

アプローチリストについては、市場調査の結果をもとにニーズのありそうな企業へ幅広くアプローチすることから始め、徐々にリストを絞り込んでいきました。具体的には、地域や企業規模など、さまざまな要因に基づいてアプローチ先をセグメント分けし、それぞれのセグメントに対する反応の傾向を細かく分析しました。
また、「インサイドセールスでアポイントを取りやすいセグメント」と「アポイント時の反応が良いセグメント」は必ずしも同じではありません。そのため、PFU様からのアポイント結果もご共有いただき、両社でディスカッションを重ねながらより良いセグメントを探しにいきました。

トークスクリプトについては、主にアプローチする部門をテストしていきながら、反応の良い部門を特定していきました。こちらについてもPFU様のアポイント結果をもとに、業種ごとの課題の仮説をブラッシュアップしていきました。
活動を重ねていく中でわかったことは、「決裁権を持っている部署は現場の課題を把握していない」「現場は課題認識をしているが決裁権がない」ことが浮き彫りになってきたため、「決裁権のある部門へアプローチをし、アポイントは現場の方にも同席してもらう」といった条件に商談環境の改善につなげる工夫をしたりもしています。

トークスクリプトの改善と、アプローチリストの結果と分析
トークスクリプトの改善と、アプローチリストの結果と分析

ーーアプローチした結果、発見や気づきはありましたか?

冨士川:
スキャナーは、デジタル化が進んでいない企業にとって有用な商材です。これらの企業では、紙ベースの運用が主流で、スキャナーの使用頻度が低いと投資対効果が低い傾向にあります。
情報システム部門や総務など、全社を管轄している部門の方々には繋がりやすいのですが、スキャナー業務に課題を感じていないことがほとんどです。そのため、現状の非効率性を示唆し、改善の必要性を伝えることが難しい商材だと感じました。

また、アポイントを獲得したものの、前向きにご検討いただける商談は多くなくまだまだ道半ばです。製品性も踏まえてどう訴求していくべきかという課題を感じています。

ーープロジェクトを進める中で、苦戦したことはありましたか?

冨士川:
アポイントの獲得条件がなかなか決められず、試行錯誤に時間がかかってしまったことがあります。

最初は、「アポイント打診をして、了承した方」という条件にしていたため、アポイントの数は多く取れたのですが、商談をしてみると「複合機だと思ってました」「まだ検討段階ではないです」といった声が多く、なかなか受注に繋がりませんでした。

それを踏まえ、短期的なリードタイムで検討が可能となる商談のみを供給してもらうために、「デモ機を使いたい方」と条件を厳しくしたのですが、そうすると今度はアポイントがほとんど取れなくなってしまったんです。

大竹さんに何度も相談を重ね、現在は1回目のアプローチでfiシリーズの資料送付を行い、2回目のアプローチでアポイントを打診するという条件にしようと定めました。

大竹:
特にアプローチリストの分析は細かく行いました。
具体的には、同じ業界でも業態やエリア、売上高規模などでクロス集計を行い、アポイント獲得率が高いセグメントの抽出や、お客様へアプローチした際にどのような会話をしていたかといった、定量と定性情報をもとに改善を重ねていきましたが、アポイントの件数と質(受注確度の高さ)の両方を担保するために、バランスを保てるように試行錯誤を何度も繰り返しました。

ーーコミュニケーションで大切にしていたことはなんですか?

大竹:
活動報告や改善提案については、定例報告会とは別で大体2週間に1回はご提案やご報告をしていました。回数や頻度というよりも、認識を揃えるためのコミュニケーションを特に意識していました。

ですので、内容にもよりますが、報告会ではプロモーション部門、インサイドセールス部門、営業部門の方々にもご出席いただき、弊社からの細かい改善提案やPFU様が取り組みたい施策の意見出しなど、活発な議論を交わしています。

一例ですが、「製造業の中でも食品製造・医薬品医療機器・自動車製造などは、紙書類のニーズがあるかもしれない」といったご提案をいただいたことがあり、それに合わせてアプローチリストの改善を行ったりしています。

冨士川:
大竹さんをはじめ、SALES ROBOTICS社のご対応には非常に満足していますし、信頼もしています。
また、課題に対する改善提案も的確ですし、レスポンスや軌道修正もすごく早いので、文字通り伴走してくださるパートナーだと思っています。

導入事例 株式会社PFU様

同じ目標に向かって伴走してくれる心強いパートナー

ーーインサイドセールスを通じて当初の課題は解消されましたか?

はい。短期間で多くの企業にアウトバウンドでアプローチをすることができるようになり、ターゲット市場の全体傾向を把握することや、新規のリード獲得ができるようになりました。

一方で、アポイント獲得したお客様とのオンライン面談からの商談化にはまだまだ課題が残っているなと感じています。
そのため現在は、トスアップいただいた商談・リードへのアプローチや、失注後リードへのナーチャリング活動の結果をSALES ROBOTICS社へフィードバックし、施策の改善を両者で行うという新たな取り組みも始めました。

ーー最後に、インサイドセールスのアウトソーシングを検討されている方へアドバイスをお願いします。

冨士川:
インサイドセールスは、社内で対応しきれないリードを外部に委託するケースや、業種や企業規模でセグメントしてニーズが明確な領域に仕掛けていく時には、非常に即効性があると思っています。

また、アウトソースすることを目的にしてしまうと失敗すると思っています。
まずは、自社の商品やサービスの特徴と、それをどのような戦略で推進すべきかを社内で明確にすることが大切です。その戦略に基づいて、何を依頼したいのかをしっかりと伝えるべきです。
単純なリソースの補完だけではなく、自社の目標や商材を理解し共に目指す目的に向かって取り組んでくれる、信頼できるパートナーを見つけることが大切だと思います。

冨士川さん、本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!

会社概要

社名
株式会社PFU
創立
1960年11月1日
事業内容
ドキュメント関連の製品や組込コンピュータ、ネットワークプロダクトの製造・販売・構築・保守
従業員数
4,207名(PFUグループ、2023年5月現在)
業種
情報通信・IT関連

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