営業全体をバックアップするパートナーとして、
新規顧客獲得の基盤を確立
大塚倉庫株式会社(大塚グループ)
課題と効果
課題
- グループ外企業への営業経験がほとんどなく、アウトバウンド営業のノウハウが社内になかった
- 顧客情報をExcelで管理しており、営業活動が属人的になっていた
- 一気通貫型の営業活動を行っており、活動量と質のバランスを取れていなかった
効果
- リード獲得率10%、商談化率15%を実現
- 顧客情報を常に最新の状態に保ち、社外ネットワークを有効活用できるように
- 営業のバックヤード業務もアウトソースすることで、営業が商談に集中できる環境を構築
- インサイドセールス活動を通じて得られたノウハウを自社での営業活動に応用
大塚ホールディングスの主要事業会社である大塚倉庫株式会社は、大塚グループの荷物を運ぶ物流事業及び倉庫事業を展開しています。
近年では、大塚グループの物流基盤を活かして、グループ外のメーカーとの共同物流を展開しており、グループ外製品の取扱比率は60%弱まで拡大しています。特に飲料・食品、医薬品、日用雑貨品を軸に、他社製品との製品特性を活かした組合せによる効率化と共同物流を推進しています。
今回ご支援した「国際物流事業」では、グループ企業の荷物対応がメインだったものの、グループ外にも顧客基盤を広げていくというミッションもありました。コロナ禍を機に、本格的に新規顧客開拓の活動に注力することとなり、SALES ROBOTICSへご相談いただきました。
取材では、当時抱えていた営業課題と改善プロセスでの気づきについて、渡邉様にお伺いしました。
(取材・執筆・撮影:高橋裕大 編集:冨田貴徳)
新規営業活動を行う上で障壁となった、営業ノウハウの不足と顧客管理の問題
ーーまず、渡邉様が所属する国際物流部の主なミッションや業務内容について教えてください
渡邉:
国際物流部は海外との貿易を主な業務としており、海上輸送をメインにコンテナを使った輸送業務を担っています。日本からアメリカへの輸送など、仕向け地の国内輸送までサービスを展開しており、日本の拠点から海外の拠点までドアtoドアのサービスをワンストップで提供しています。
部門としてのミッションは、荷物を遅滞なくお客様の求めた場所へ運ぶことです。国際物流部としては、このミッションの達成及びグループ外のお客様からの売り上げ向上を当面の目標としており、私は業務オペレーションの組み立てと、新規開拓営業を担当しています。
新規営業のチャネルとしては、既存顧客からの紹介がメインとなっており、初回接点から関係構築、受注までを一気通貫で対応しています。
ーー当時、どのような問題を抱えていらっしゃいましたか?
渡邉:
最も大きな問題だったことは、お客様情報を適切に管理・運用できず、社内ネットワークを活用できていなかったことです。
元々グループ企業の荷物対応をメインで行っていたため、グループ外の企業に対して営業活動を行うことがほとんどなく、顧客情報はExcelで管理していました。そのため、社内には大量の名刺があるものの、それらの企業へ過去にアプローチをしたことがあるかどうかすら個人の記憶頼りという状況だったため、迂闊に営業活動を行えず、獲得した名刺情報をほとんど活かしきれていませんでした。
これまで、基本的に紹介がメインの営業活動だったため、新規顧客開拓に割くほどの営業リソースがないという問題もありました。
そのため、新規営業の戦略はあってもアプローチリストの準備や架電、メール対応などの実務に人手を割くことができず、限られた人員でどのように時間を使っていくべきなのかという悩みがありました。
このような状況であったため、グループ外企業への営業活動を行うという方針が立てられたものの、実際の営業活動は進みませんでした。
中長期的な営業戦略を見据えて、顧客情報を蓄積できるインサイドセールスを選択
ーーインサイドセールスに取り組もうと思ったきっかけについて教えてください。
渡邉:
コロナ禍に入り大塚グループ外のお客様から「大塚倉庫で荷物を運べないか」というお問い合わせが増え、新規顧客開拓への兆しを強く感じました。このチャンスを逃さないよう、どうにかしてリソースを確保し市場拡大したいと考えました。
このような背景から、営業人員を中途採用して自社で活動することも検討しましたが、まさに時間との戦いでもある中、中途採用ではあまりに時間がかかり過ぎてしまいます。そこで、外部委託という方法を選択しました。
中長期的な営業戦略を見据えると、顧客情報の蓄積や営業活動の資産化をしていくことはとても重要でした。調べていく中で、インサイドセールスという活動を知り、まさにこれだと思いました。
そして、インサイドセールス支援の企業を探す中で見つけたのが、SALES ROBOTICSでした。SALES ROBOTICSは企業リストが豊富であり、特に「海外と貿易を行っている企業」といった条件でリストを抽出できる点が魅力的でした。
それに加え、インサイドセールスに関する深い知識を持ち、データ管理と運用の体制がしっかりしているだけでなく、物流業界での豊富な支援実績と高い業界理解も持ち合わせていたことが主な決め手となり発注を決めました。
顧客情報を蓄積しながら、大塚倉庫の強みを最大限引き出せる訴求方法を検証
ーー大塚倉庫様の課題解決に向けて取り組んだことを教えてください
萩原(SALES ROBOTICS):
大塚倉庫様が中長期的な営業戦略を実行していくためには、単純な企業情報だけでなくターゲットごとにカスタマイズされたトークスクリプトを用いて、実際に活動した中で把握できた”生きた情報”などの営業活動における情報を蓄積していくことから始める必要がありました。
具体的には、企業規模や業種といったセグメント情報に対して、今お客様が解決したいと思っている問題の種類や、大塚倉庫様のサービスが刺さりやすい企業の特徴に関する情報などを付与していきます。
この活動で取得できた情報の傾向を元に、最も効率よく受注に繋がる商談を創出できる企業の特徴や、サービスの訴求方法といったインサイドセールスの型を確立しにいきます。
そのため、最初の2ヶ月間は、大塚倉庫様のサービスを求めているお客様は誰なのか、強みを打ち出すためにはどういう訴求が有効なのかを把握するために、幅広く情報を取得することから始めました。
ターゲットの業種や業界に関しても複数の仮説を立て、当社が過去にご支援した物流業界での知見をベースに、ニーズが高い可能性のある企業リストを抽出し、成果がよかった訴求を元に作成したトークスクリプトを複数回改善していき仮説検証を行いました。
渡邉:
プロジェクト開始当初、物流の専門用語について説明をしなければいけないと思っていましたが、SALES ROBOTICSの担当者は物流業界に対するリテラシーが非常に高く驚きました。
こちらが全てをお伝えするまでもなく、「こういうことをやりたいんだろう」と意図を汲み取っていただけますし、グループ外企業への営業経験がない私たちには想像できないような意見や提案を、営業のプロとして提示いただけるため、非常に参考になっています。
社風なのかもしれませんが、非常に話しやすい方達が多く、意見を出しやすい空気を作っていただいているため「実際はこういうことをしてみたいんです」と腹を割ってやりたいことや実現したいことをご相談することができており、とても満足しています。
具体的には、依頼前に弊社の方で収集していたターゲットリストや、アプローチしてみたい企業リストなどを持ち込んだりもして意見交換なども積極的にしています。
萩原:
当社には、多くのお客様をご支援してきた中で培ったノウハウがあります。
これは、物流業界においても例外ではなく、ほとんどのケースにおいてプロジェクトの運用に関わるメンバーは基礎的な情報を理解していますし、不明な点があれば勉強会の実施なども行っています。
また、実際に架電を行うインサイドセールス担当に関しても、物流業界の経験があるメンバーを優先的にアサインしており、大塚倉庫様に関する情報をインプットする時間を最大限確保できるようにしています。
そのため、改善要望をいただいた場合でもスムーズに現場へと落としこむことができています。
渡邉:
弊社のサービスは業界の特性上、お客様からカタカナやアルファベットの専門用語が当たり前のように飛び交うため、業界に対する知識や単語の理解力の高さが要求されます。
営業活動の難易度が高いにも関わらず、商談を獲得いただいた企業様から「電話をかけてきた人は誰ですか?」といったクレームや不信感を持たれたことはなく、ブランド毀損を起こさせないテクニックがSALES ROBOTICSにはノウハウとしてしっかりと蓄積されていると感じています。
ーーインサイドセールスを導入した結果はどうでしたか?
渡邉:
初動からかなり高い水準の成果を出していただきました。
アプローチするエリアにもよりますが、商談獲得率は平均で10%前後、最大15%までいくエリアもありました。また、商談の獲得をメインとしていたものの、リード獲得率も10%前後の水準をキープすることができています。
主な要因は、SALES ROBOTICSの過去の支援事例に倣って海外との輸出入への強みを全面に出した訴求にしたこと、それに加え弊社の実績も全面に出せたことが挙げられます。
また、事前に認識を合わせていたターゲット企業やペルソナもマッチしており、外部の企業にもこれまでと同様の価値提供をできることが、活動していく中で明確化できました。
また、コロナ禍で物流に困っている企業が、想定よりも多いという結果も出ました。
ーー成果の最大化を目指す中で、どのような改善活動をしましたか?
萩原:
まず、アプローチする企業が取り扱う製品の種類に合わせてトーク内容の作成・変更を繰り返し行いました。例えば、衛星・精密部品を取り扱う企業は高いレベルでの輸送品質管理が求められるため、内部が清潔に保たれた”クリーンコンテナ”を取り扱っていることをアピールするといったように、お客様が取り扱う商材ごとにアピールする内容を変えました。
そのほかにも、「2024年問題」という物流業界全体における課題を浮き彫りにさせた訴求をすることで、「何か対応を行った方が良い」と思っていただくような訴求も意識しました。
萩原:
これらの改善の結果、お客様の課題に訴求できる内容が増え、商談獲得をしたお客様が取り扱っている製品のバリエーションの幅が広がりました。
また、物流業界全体のトレンド情報は、国際物流を行う企業に対しても効果があるということがわかり、現在も積極的にトレンド情報を取り入れています。
最後に、活動していく中では獲得率と同様にお断り理由を正確に溜め、分析し改善することも忘れてはいけない重要な施策の1つです。例えば、よくあるお断り理由として多かったのが「すでに利用している物流会社のサービスで間に合っています」というものでした。
そのため、大塚倉庫様とのリレーションを築いておくメリットを強調した訴求を準備し試してみました。具体的には、海外に物を輸送している企業は、パンデミックをはじめ世界情勢の影響を大きく受けるリスクが高いため、業界内でも数多くの実績がある大塚倉庫様とリレーションを築いておくことは将来的なリスクヘッジになる、といったアプローチです。
このように、お断り理由を乗り越える方法を、大塚倉庫様と定期的に振り返り相談しながら訴求とアプローチ改善を行っています。
渡邉:
SALES ROBOTICSの活動結果を見て気づいたことは、手段ごとにアプローチすべきターゲットが変わってくるということです。
戦略を立てた当初は、※LTVを最大化できる大企業から重点的に攻めていく計画でしたが、あるタイミングで企業規模関係なくアプローチしていただいた結果「一定規模の企業では、他と比べて商談獲得率が異常に高い」ということが判明したんです。
これは非常に面白い結果でしたし、大企業は最初の受付突破が難しいこともあり、弊社の場合は電話以外のアプローチも考えた方が良いという発見も得られました。
※LTV(ライフタイムバリュー)
LTVとは、Life Time Valueの頭文字を取ったもので、顧客生涯価値と訳されます。
顧客が企業にもたらす推定総収益のことを指し、顧客維持、ロイヤルティ向上、及び収益性の高い顧客セグメントへの焦点を当てるための指標として利用されます。
萩原:
新規のお客様や過去に接点を持ったことがあるお客様から商談を獲得できる、一定の勝ち筋を確立することができ始めた一方で、そこから受注に繋がるお客様の情報はまだ不足しています。
例えば、受注実績が出ているお客様は比較的規模が大きい企業が多い傾向があるものの、商談を獲得しやすい企業とは規模が異なっています。
そのため、今まさに商談の結果に関する情報を大塚倉庫様から当社にご共有いただくという取り組みを行っています。具体的には、受注 / 失注した主な要因や理由、お客様が抱えている課題など、商談獲得段階ではヒアリングしきれない顧客情報です。
これらの情報を共有いただき分析することで、獲得する商談の条件や訴求方法を見直すことが可能になり、商談から受注に繋がりやすい企業群を見つけることが実現できると考えます。
SALES ROBOTICSは営業をトータルでバックアップしてくれるパートナー
ーー大塚倉庫様とのプロジェクトで大切にしていることはありますか?
萩原:
仕事だけでなく、プライベートでの交流などもさせていただき、密なコミュニケーションを大切にしています。
当社のオフィスが勝どきに所在していた時代ですが、大塚倉庫様のオフィスが徒歩圏内にあったこともあり、定期的に訪問させていただいたり、フットサルもご一緒させていただきました(笑)。
渡邉:
弊社の企業風土はとてもユニークだと思っています。
SALES ROBOTICSの皆様には日頃のお付き合いを通して、大塚倉庫らしさを理解していただけていると思いますし、だからこそ「こちらが全てを伝えなくても、理解してもらえる」関係性を築けているのかなと思っています(笑)。
具体的には、「ここについてもう少し深く知りたいな」と思ったら、次のスライドに詳細が載っているんです。そのため、打ち合わせをしていて「調べますので少しお待ちください」といった無駄な時間がなく、議論したいことに集中して定例会を進めることができています。
萩原:
先ほど、腹を割って話せるというコメントをいただきましたが、報告会などの場でネガティブなコメントや指摘は心理的に負担があると感じる方もいらっしゃいます。しかし、プロジェクトを成功させるためには、お互いに遠慮せず様々なことを話す場が必要だと考えています。
そのため、お客様の本心を引き出すためにもコメントしづらそうなことなど含めて、建設的な議論ができる環境作りも意識しています。
渡邉:
それ以外にも「営業のバックヤード作業」も引き受けていただいており、すごく助かっています。
現在、国際物流部のメンバーが海外の合弁会社へ出向しており、出向先国内で物流企業への営業活動と物流の仕事の両方を行わなければいけないという状況なのですが、そのメンバーも営業に関わる作業をする時間がないという問題を抱えていました。
本来のサポート対象外だとは思うのですが、SALES ROBOTICSに弊社が抽出した現地の物流系企業のリストの精査も依頼したところ、快く引き受けてくださいました。
単なるインサイドセールスのアウトソーシングだけではなく、営業のバックアップも行ってくれる会社として非常に信頼しています。
萩原:
渡邉様の業務をいかに軽減できるか、というのも私たちのミッションだと思っています。もちろん、商談を獲得し、少しでも多くの受注を創出させることは重要ですが、前提として渡邉様や大塚倉庫様社内の営業リソースを確保できなければ、成果を最大化させることも難しくなってしまいます。
ーーインサイドセールスを通じて当初の問題は解消されましたか?
渡邉:
短い期間でこれだけ多くの企業へアプローチすることは、内製では絶対に実現できなかったですし、商談件数などについても、インサイドセールスのプロに任せたからこそ多く獲得できていると思います。
また、顧客情報の管理や営業資産の蓄積といった課題も解消されつつあります。
過去にアプローチしたお客様やリアクションのあったお客様については、SALES BASE上で「いつ・誰と・どんな話をした」といった情報がリアルタイムで参照できるため、商談前にしっかりと準備をすることができています。
お客様との会話内容を細かく記載いただいているので、「商談獲得経緯について、担当した方から直接話を聞かせてほしい」みたいな要望も出したことはありません。
私たちが新たにアプローチしたいリストについても「過去にアプローチしたことある会社ですか?」など確認を取れるため、「アプローチしたかどうかの記録がないため、営業アクションができない」といった問題も解消されました。
「人が足りない、手が足りない、時間が足りない」という理由でできないことを中心に、商談より前のプロセスで抱えていた問題は、SALES ROBOTICSのおかげで全て解消できたと思っています。
ーー最後に、インサイドセールスの導入を検討されている方へアドバイスをお願いします。
渡邉:
営業活動をしている企業であれば、インサイドセールスには何かしらの導入価値があると個人的には思っています。
導入を検討する中で、「既存の営業がいるにも関わらず、なぜインサイドセールスを導入するべきなのか?」という議論が発生すると思いますが、中長期的な営業活動を行っていくために必要な資産が貯まっていないのであれば、導入するべきではないでしょうか。
導入に伴い、内製化という選択肢もあると思いますが、営業リソースを確保したり市場へ一気に攻め込みたいタイミングで、必要な人数を必要な活動規模ですぐに動かしたいというのであれば、外注の方が企業にとって大きな負担やリスクにはならないと考えます。
また、外部委託先と協業する上で重要なことは「業務を委託する外注先としてではなく、一緒に仕事をしていくパートナーとして捉えること」だと思います。
「私たちはどんなことをしたいのか」ということを明確にし、ハッキリと伝えた上で、どうしていくべきかを両社できちんと議論する。そうすることで、私たちにとってのSALES ROBOTISのように「営業活動をバックアップしてくれるパートナー」という関係を築けると思っています。
渡邉さん、本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!
会社概要
- 社名
- 大塚倉庫株式会社(大塚グループ)
- 設立
- 1961年11月22日
- 事業内容
- 倉庫業、貨物自動車運送事業、貨物運送取扱業 等
- 従業員数
- 345名(2023年12月末現在)
- 業種
- 物流業
- 業種
- 運輸サービス
この事例で利用したサービス
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