インサイドセールス組織を強化したい

営業戦略の再定義で与件化率が9割に。
受注単価は2倍に改善

株式会社ジーニー

課題と効果

課題

  • 見込み顧客の定義が言語化されておらず曖昧だった
  • どの見込み顧客に時間を割くべきか優先順位が曖昧で、個人の感情に依存していた
  • 獲得した商談の約6割が失注してしまう状態に陥っていた
  • 組織毎のKPIがバラバラで、連携が取れずにいた

効果

  • 優先すべき見込み顧客を言語化することで、2回目以降の商談につながる割合が9割に改善。受注単価は2倍に改善した
  • 全チームの目標が統一されたことで、同じ目標に向かって連携できるようになった
  • グランドルールを整備したことで、部門間のコミュニケーションが活発に。評価基準の明確化や、新たなメンバーへの教育体制も確立された
株式会社ジーニー
株式会社ジーニー:上級執行役員 CPO マーケティングクラウド統括本部 CEO 大橋 弘崇 様(左)、インサイドセールス リーダー 岩田 大治 様(中)
SALES ROBOTICS:取締役 COO 冨田 貴徳(右)

株式会社ジーニーは2010年4月に設立され、商談・顧客情報の管理分析ができる営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM」を中心としたセールスDX領域で急成長をしている企業です。

今回SALES ROBOTICSは、ジーニー社のSFA/CRM事業本部のインサイドセールス部門をご支援しました。アポイントは獲得できるものの、与件化・受注にうまくつながらないという課題を抱え、弊社にご相談いただきました。

取材では、事業本部長の大橋様とインサイドセールスチームリーダーの岩田様に、当時の状況や支援による成果を伺いました。

(取材・撮影:高橋裕大 執筆:サトートモロー 編集:冨田貴徳、高橋裕大)

「商談すべき相手は誰か」が定義されておらず、6割が初回商談で失注

ーー大橋様、岩田様が所属する部門のミッションや業務内容について教えてください。

大橋:
私はSFA・CRMを中心とした営業支援ツール全般の販売を担当している、SFA/CRM事業本部の責任者を務めています。具体的には、事業本部のマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの各チームの部長を担当し、それぞれの活動を取りまとめていました。

岩田:
そのうち、私はインサイドセールスチームに所属していました。私たちのチームのミッションは「SFA・CRM関連のプロダクトの有効商談創出」が主なミッションでした。

インサイドセールスチームには4名のメンバーが所属していて、チーム全体でもっとも重視していたのは商談数でした。当時はチームマネージャーがおらず、営業マネージャーが兼任するという体制を取っていました。とはいえ、実際にはマーケティングチームと連携して仕事をすることが多かったと思います。

ーー当時はどのような問題を抱えていましたか?

岩田:
さまざまな指標を設定してはいたものの、商談数を重視していたため受注率・受注単価までは追いきれていませんでした。

一応、これらの数字はデータとして収集していたのですが、アプローチすべきお客様の解像度が低く、リードの優先度を明確化できていませんでした。

また、リードの優先度や顧客の共通認識に対するコミュニケーションを部門間で行うこともほとんどありませんでした。そのため、マーケティングチームが獲得したリードに片っ端から架電をするのが常態化し、施策に対する効果測定・改善といった行動がうまく取れずにいました。

他のチームとの連携もうまくいかず、見込み顧客に対する共通認識を持てなかったり、フィールドセールスからのフィードバックも受けづらい状況が続いていたのです。

大橋:
当時のインサイドセールスチームには、「商談すべき相手は誰か」が定義されていなかったため、とにかく多くの商談を獲得してフィールドセールスへとパスしていました。その結果、パスした6割の商談は初回で失注するケースが多発しました。

弊社内の大きな問題は、事業計画に基づいたKPIマネジメントは構築されていたものの、それらを具体的な戦術に落とし込めていなかったことにあったのです。

ーーSALES ROBOTICSにご相談いただいた経緯を教えてください。

大橋:
私が現在の役割に就いたのは2022年10月で、12月にSALES ROBOTICSとのプロジェクトが開始されました。弊社にも優秀な人材が集まっていますが、インサイドセールスに知見を持つメンバーはいませんでした。

仮に自社だけで課題解決に取り組もうとした場合、おそらく半年以上の期間が必要だったでしょう。しかし、この問題はなるべく早く解決しないといけない。そう考えていたところ、貴社の冨田さんと話す機会がありました。

冨田さんの提案を受けたところ、私がインサイドセールスに関する勉強をする中で感じた「組織に対する違和感」が言語化されたことにより、問題解決の方向性がとても明確になりました。SALES ROBOTICSと一緒に取り組めば、短期間でチームをよりよい形に生まれ変わらせることができると思い、依頼しようと決断したのです。

「商談すべきお客様」を再定義し、与件化率が9割に改善

ーープロジェクトを通じて、どのような成果につながりましたか?

大橋:
定量的な成果としては、「与件化率の改善」と「受注単価の増加」が挙げられます

弊社では、フィールドセールスが初回商談を行なった後、2回目の商談につながる割合を「与件化率」と呼んでいます。以前は6割の見込み顧客から初回商談で断られてしまっていたため、与件化率は4割程度でした。それが現在では、与件化率が約9割にまで改善しています。

もうひとつの受注単価ですが、プロジェクト後は約2倍までアップしました。見込み顧客に優先度を持たせることが、受注単価にインパクトを与えるとは思っていなかったため、この変化にはとても驚かされました。

ーージーニー様の課題解決に対して取り組んだことを教えてください。

冨田(SALES ROBOTICS):
与件化率4割というお話しを聞いた時に思ったことは、ジーニー様が商談すべきお客様は誰で、どんな状態の方なのだろう?ということでした。
インサイドセールス活動が、「連絡しやすそうな相手・役職が高いから」など感覚的にアプローチしやすい相手に主観的に偏っており、適切な見込み顧客に割く時間が少ないのではないだろうか?と考えたのです。

ジーニー様は、過去に商談したお客様の情報を丁寧に整理されていました。そのデータを弊社が分析して、アプローチすべきお客様の優先順位(※Tier)を明確化していったのです。

※Tier
「階層、階級、段」などを表す英単語で、営業活動においては顧客や見込み客を属性や活動状況に基づいてセグメント化した優先順位の分類を指す。

冨田:
私たちがプロジェクトで強く意識していたのは、「営業戦略の再定義」です

プロジェクトの過程で、フィールドセールス、インサイドセールスなど各チームのリーダーの皆さまにヒアリングを行いました。

ヒアリングの目的は、ペンディング・失注しやすいお客様の特徴を知ることでした。具体的には、失注の原因が競合他社との比較検討で選ばれなかったのか、そもそもジーニー様が提供するような営業管理ツールの導入自体を断念したのかを知りたかったのです。

しかし、ヒアリングを通じて感じたのは、リーダーの方々が「自社の主観」によってお客様を定義しているということでした。

例えば、フィールドセールスの方が挙げた失注しやすいお客様の特徴は「組織の中でコンセンサス取れていない」といったものでした。インサイドセールスの方からも、「連絡が取りづらい」など似たような回答が得られました。

ここで重要なのは、営業担当がお客様に抱いた印象ではなくお客様のニーズです。この認識のズレを埋めるため、お客様にどのような価値提案をすると、提案を受け入れていただけるのかという”GENIEE SFA/CRMの顧客価値がなにか?”から、”受注につながる見込み顧客は誰なのか”を言語化することにフォーカスしたのです。

実際には、Tierやリードランクを再設計して、どのようなお客様と商談をすべきなのかを固めていきました。ターゲットや業務プロセスといった戦術面をアドバイスするだけでなく、上流工程でのヒアリングも重ねて「誰に、何を、どうやって」提供するのかを徹底的に見直していきました。

岩田:
これまでは、冨田さんが指摘したようにチームメンバーの主観に基づいた営業活動が中心でした。Tierを見直したことにより、“アプローチしない対象”を明確化できたのは、現場の活動において非常に大きな変化だったと思います。

大橋:
プロジェクト開始時、弊社には「決裁者の電話番号を知っている」「なんとなくいい商談につながりそう」といった主観に基づいて行動を重ねている傾向が見られました。そこで、SALES ROBOTICSと一緒に、「ジーニーとしてアプローチすべき顧客」という観点に立ち返り、お客様の状態をリードランクとして定義しました。

現在も、リードランクの定義は運用しつつ最適化を図っています。SALES ROBOTICSとのプロジェクトによって、アプローチすべき顧客が言語化されたのは大きな成果でした。

組織のグランドルールを設けることで、部門間のコミュニケーションが活発に

ーー定性的な成果についても教えてください。

大橋:
インサイドセールスの評価基準が明確になりました。商談数から受注数をベースとした評価基準に変わったことで、メンバーも「受注できるような見込み顧客を獲得する」という動きを取るようになりました。

評価基準と事業目標に一貫性が生まれたことで、評価内容に対する納得感も増した気がします。

また、SALES ROBOTICSにはどのような会議体を設けるべきかという相談もしました。
必要となる会議の目的と役割、アジェンダまで詳細にご提案をいただき、それを基に現在も運用しています。

岩田:
現場サイドから見た成果としては、他チームとのコミュニケーションを取りやすくなった点があります。これまで、インサイドセールスは「アポイントが取れればOK」という評価基準でした。

評価基準が変わったことで、フィールドセールスに「商談時に認識齟齬がなかったか」「受注に繋がりそうか」など、頻繁にコミュニケーションをするようになったのです。受注できなかった案件に対しても、有効商談にするには何が必要だったかを、お互いにフィードバックし合っています。

かつては部門間の会議体もありませんでしたが、今では毎週の定例会で、お互いの行動をすり合わせするような関係性が構築されています。

冨田(SALES ROBOTICS):
会議体のひとつとして、顧客へのアプローチ結果を共有し合う「サクセスミーティング」をご提案しました。ここでは受注ストーリー、失注要因、ペンディング理由などを組織間で共有し、改善できるアプローチはあるかなど「お客様」を共有してほしいと考えました。

インサイドセールス、フィールドセールス、マーケティングの各チームは、一生懸命それぞれの活動に従事しています。しかし、マーケティングは見込み顧客を、インサイドセールスは商談をそれぞれ追求する文化が浸透しているあまり、部門を超えた会話ができずにいると感じました。
この問題に対しては、各組織に共通化したKPIを設定することで改善ができると考え、ご提案しました。

ジーニー様は企業風土として、数字やファクトに基づいて議論する文化はすでに形成されていました。その文化を活かしつつ、自走できるような組織体を構築できるよう、見込み顧客の言語化や共通KPIなどルールの可視化と浸透を図りました。

大橋:
実際に、プロジェクト開始直後に行なったのは、全てのチームの追うべき指標を与件化数に定めることでしたね。そうすることで、インサイドセールスだけでなくマーケティングチームも、与件化率に貢献しない活動をやめるといったアクションにつながっていきました。

結果として、各チームのアクションにギャップがなくなり、同じ目標に対してどう頑張るかという一体感が生まれました。それ以降、メンバー間のコミュニケーション量も一気に増えましたし、仕事へのモチベーションも上がったように感じられます。

岩田:
「この施策は与件につながるか」
「そのコンテンツよりもこのコンテンツのほうが、中長期的に見て与件化するお客様が増えるんじゃないか」

インサイドセールスチームとマーケティングチームの普段のコミュニケーションも、こうした与件化率を軸としたものになっていきました。

それ以外にも、リードランクが明確になったことで、マーケティングチームは「上位のランクのリードを獲得するためにこういう施策をしよう」といった行動を取るようになりました。それに連動して、インサイドセールスも「こうしたアプローチをしよう」といった行動を取りやすくなったと思います。

プロジェクト開始前のKPIは、最終目標である事業目標との関連性が見出しにくく、普段の仕事が事業に貢献できているのかが見えづらいという状況でした。

部門間で共通言語が生まれたことで、チーム同士で連携して進めるアプローチが、事業目標の達成に貢献できていると感じられるようになりました。それが、仕事のやりがいにもつながったと思います。

大橋:
ちなみに、SALES ROBOTICSは弊社用の「インサイドセールスのプレイブック(戦略集)」も作成してくださいました。

インサイドセールスはなかなか教えてもらう機会がありません。また、職種としての歴史も浅いことから若い世代が多く、他の営業職のように長年の経験で積み上げられたグランドルールがまだ整備されていないことが多いと思います。

「インサイドセールスのプレイブック(戦略集)」は、今いるメンバーはもちろん、これからチームに参画するメンバーへの教育の土台として、大いに役立っています。

冨田:
グランドルールとは、どのようなやり方をすべきか、なぜそのやり方でないといけないのかなど、組織や職種における目的が定められた存在です。

新しくジョインしたメンバーに、組織のルールを教え伝えいくのは非常に大変な活動です。インサイドセールスの場合、その活動をついついOJTのみに頼ってしまいがちです。

グランドルールによって「この組織がどのようなお客様に何を提供しているのか」を伝えることは、後々のマネジメントの負担を大きく軽減できる。そう考え、成果物としてプレイブックを納品させていただきました。

インサイドセールスプレイブックより抜粋
インサイドセールスプレイブック

組織を一枚岩にする手助けをしてくれた

ーープロジェクトを進める過程について、弊社に感じたことを教えてください。

大橋:
プロジェクトをとおして、インサイドセールスチームや他のチームにとっての「マイルストーン」を作ってくれた点は、非常に感謝しています。
いつ・何を・誰が・どこまでやるのかを明確化してくださったため、進捗を逐一確認しなくてもプロジェクト全体が進行しました。

また、弊社のなかで発生した緊急度の高い課題に対しても、柔軟に対応してくださいました。SALES ROBOTICSとのプロジェクトは、四半期の最終Qという特に忙しい時期と重なっていました。そのため、解決すべき課題の優先度が目まぐるしく入れ替わっていったのです。

緊急の課題を解決しないと、来期の事業計画にも支障が出てしまう。冨田さんはそうした状況にも理解を示し、優先度が変わるたび、即座に解決策を講じてくださいました。

岩田:
現場でのやりとりでも、冨田さんが「なんでも聞いてください」と言っていただいたので、大変心強かったです。

ときには弊社が出展していた展示会にお越しいただき、1時間ほど現在の活動についての相談や壁打ちに応じていただいたこともありました(笑)。

ーーインサイドセールス組織支援サービスは、どのような方にフィットするでしょうか?

岩田:
フィールドセールスやインサイドセールスの活動を通じて、ある程度データがそろっているにもかかわらず、注力すべき領域が定まっていない。つまり、かつての私たちのような状況に陥っている企業さんは、SALES ROBOTICSへの依頼が大きな転換点になると思います。

特に、THE MODEL型の組織でチームが各々のKPIをもって活動している状況に対して、組織全体から俯瞰して戦略・戦術を設計してくれます。そうすることで、組織を一枚岩にまとめあげてくれると思います。

大橋:
SALES ROBOTICSは、インサイドセールスだけでなく会社全体から俯瞰して、どのような営業活動を進めればいいかを設計してくださいました。チームがそれぞれバラバラに活動している状態に陥っている組織には、フィットすると思います。

大橋さん、岩田さん、本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!

会社概要

社名
株式会社ジーニー
設立
2010年4月14日
事業内容
広告プラットフォーム事業/マーケティングSaaS事業/海外事業
従業員数
617名(連結、2024年3月末現在)
業種
情報通信・IT関連

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