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カスタマーサクセス
基礎知識

カスタマーサクセスとは?仕事内容や注目される理由を解説

企業が成長し続けるために、顧客が製品やサービスを最大限に活用し、長期的に利用し続けることが重要視されています。その中で注目されているのがカスタマーサクセスです。

当記事では、カスタマーサクセスの仕事内容や、カスタマーサポートとの違い、ビジネスにおいて注目される理由などを詳しく解説します。また、カスタマーサクセスが企業にもたらす具体的な役割や成果を測るためのKPI、導入するためのステップも解説するので是非参考にしてみてください。

カスタマーサクセスとは製品やサービスの価値を最大化し顧客の成功を支援すること

カスタマーサクセスとは、提供する製品やサービスを通じて顧客の成功を支援することです。そのため、カスタマーサクセスの活動は、単なる機能的な問題解決にとどまらず、顧客が利用するサービスの価値を最大限引き出せるよう顧客の課題やニーズを先回りして対応することが求められます。

こういった顧客の成功を主軸においた活動によって、顧客と長期的な関係を築き、解約リスクを低減させ、アップセルやクロスセルの機会を創出することで、自社の収益にも貢献します。

カスタマーサクセスにおいて重要なのは、顧客の課題やニーズを把握し、顧客の目標達成に向けて提供している製品やサービスの最適な活用方法を提案することです。このような伴走型の支援を通じて、顧客体験(CX)と顧客成果(CO)を高めることで、結果的にLTV(顧客生涯価値)や顧客ロイヤリティを向上させます。

カスタマーサポートとの違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは顧客満足度の向上を目的とする点は共通していますが、活動内容や財務上の性質などには違いがあります。

【カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い】

カスタマーサクセスカスタマーサポート
財務上の性質収益ドライバーコストセンター
活動先回り型要望対応型
指標成功重視型効率重視型
モデル分析中心人手集約
目標予測性応答性
引用:ニック・メータ他,カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則,英治出版,2018,p69,https://eijipress.co.jp/products/2260

カスタマーサポートは主に顧客からの質問や要望に対応することで顧客満足度を高める役割を担います。業務の性質上、直接的な収益を生み出さない部門であり、対応案件数や応答時間など効率を重視した指標を設定し活動を行います。

一方、カスタマーサクセスは、顧客のニーズを先回りしてアプローチを行いながら顧客の成功を支援することで、顧客満足度を高め解約リスクの低減やアップセルの機会を創出します。そのため、カスタマーサクセスは、リテンション率やアップセル率などの指標を設定し、収益ドライバーとして自社の成長に貢献します。

つまり、カスタマーサクセスは、顧客の成功に向けて伴走型の支援をすることで、LTVを向上させる部門である一方で、カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせや問題があった際に、都度対応し、速やかに解決することで顧客満足度を向上させる部門です。

なお、カスタマーサクセスとカスタマーサポートは共にCSと略されるため、機能面のサポートに重点を置くカスタマーサポートをTS(テクニカルサポート)と呼び、区別している企業もあります。

カスタマーサクセスが注目される理由

カスタマーサクセスが注目されている理由は、サブスクリプションモデルの普及とITの発展により、顧客が商品やサービスの情報を収集しやすくなったことにあります。

サブスクリプション型のビジネスモデルは、顧客に継続的に利用してもらうことが重要です。また、近年では、商品やサービスの情報を手軽に収集できるようになったことで、競合との競争が激化し、商品やサービス以外の部分でも差別化を図る企業が増えています。

また、競合企業との競争が激化したことにより、新規顧客の獲得難度があがっていることも、リテンション施策やアップセル・クロスセルの機会を創出し、LTVを向上させる役割を担うカスタマーサクセスが注目されている理由です。

なお、サブスクリプションモデル以外のサービスを提供する企業でも、LTVの向上が企業の経営において重要視されており、顧客のニーズや課題に個別に対応し継続的に関係を構築できるカスタマーサクセスが導入されはじめています。

カスタマーサクセスの役割

カスタマーサクセスの役割は3つに分けられます。

【カスタマーサクセスの役割】

  • LTV向上
  • 顧客ニーズに応じた製品やサービス改善の促進
  • マーケティング・営業戦略の最適化

 LTV向上

カスタマーサクセスの役割の一つは、LTV(Life Time Value)を向上させることです。LTVは顧客生涯価値とも呼ばれ、1社から得られる利益の総額を指します。製品やサービスの利用によって顧客が得られる体験や価値を高め、契約の継続やアップセル・クロスセルへと繋げることでLTVを最大化させます。

そのため、カスタマーサクセスは、顧客が製品やサービスを活用し目標を達成できるように支援を行います。

たとえば、定期的なミーティングによるフォローアップや顧客の利用状況をモニタリングによって顧客が抱える課題を把握することで、早期に解決策の提案を行います。こういった施策により顧客満足度や顧客ロイヤリティが高まり、LTV向上に繋がります。

カスタマーサクセスは、顧客の導入フェーズにもとづいて、顧客の成功に貢献する機能やサービスのアップセル・クロスセルの提案も行います。LTVの向上はもちろん、追加の機能やサービスによって顧客により良い体験を提供することができるようになります。

LTVを向上させるためには、単に売上を増やすことを目標にするのではなく、顧客体験の質を高め、顧客満足度を向上させることが重要です。カスタマーサクセスは、顧客の成功に向けた取り組みに注力することによって、LTVを向上させる役割といえるでしょう。

顧客ニーズに応じた製品やサービス改善の促進

カスタマーサクセスは、自社の製品やサービスが顧客のニーズに適合し続けるための役割を果たし、プロダクトマーケットフィット(PMF)の向上を促進します。カスタマーサクセスは、顧客との継続的なコミュニケーションを通じて、製品やサービスの改善に必要な顧客の課題やニーズを収集できるためです。

特に、製品使用時に発生する課題や不満に関するフィードバックは、製品の開発部門が製品の改善に取り組む際に重要です。カスタマーサクセスは、顧客からのフィードバックを社内に持ち帰り、開発部門と共有することで、PMFの向上を図ります。

また、新しい機能や改善が行われた際は、カスタマーサクセスがその情報を顧客に伝え、製品の利便性を最大限に引き出すために支援します。その中で、改善後の製品についても顧客からのフィードバックを継続的に収集することで、顧客満足度とPMFの向上を促進します。

顧客へのヒアリングや社内へのフィードバックなど一連のプロセスを繰り返すことが、顧客ニーズに適合した製品やサービスを提供し続けることに繋がります。このようにカスタマーサクセスが構築するフィードバックループは、顧客ニーズを製品に反映しPMF達成に貢献します。

マーケティング・営業戦略の最適化

カスタマーサクセスが収集した顧客からの意見や要望は、マーケティングや営業戦略を最適化するためにも活用されます。

たとえば、カスタマーサクセスがヒアリングした既存顧客が抱える課題をもとに、ターゲティングや訴求内容を最適化することで、製品やサービスに適した見込み顧客へのアプローチが期待できるようになります。 このように、顧客フィードバックを通じたマーケティング・営業戦略の最適化は、顧客ニーズに即した精度の高いアプローチを可能にし、自社の収益向上に貢献します。

カスタマーサクセスの仕事内容は顧客のフェーズで分かれる

カスタマーサクセスは、プロダクトを提供している顧客のフェーズによって注力する仕事内容が異なります。当記事では、顧客のフェーズを3つにわけて解説します。

【顧客フェーズ】

  • 導入期
  • 定着期
  • 拡大期

導入期はオンボーディングを支援する

顧客が製品やサービスを使い始める導入期は、顧客が早い段階で価値を感じられるように導入プロセスをスムーズに進めることがカスタマーサクセスの仕事内容です。導入期の成功は顧客の製品やサービスの利用率を高めるため、より良い顧客体験の提供に繋がります。

そのため、カスタマーサクセスは、顧客が導入期から目標への効果を実感できるように、オンボーディングを実施します。この際、プロダクト利用のイメージをつけやすくするには、プロダクトの機能的な説明だけではなく、業務での利用シーンやそれによる効果まで伝える必要があります。

【具体的な業務】
業務概要
導入支援設定や情報入力の代行、活用における体制構築支援などを行う
初期トレーニング顧客のニーズに合わせてカスタマイズしたトレーニングを提供する
FAQの整備導入期によくある質問と回答をリスト化して、顧客と共有する

定着期はエンゲージメント率を高める

定着期では、製品やサービスが顧客のビジネス目標の達成に貢献している成果を実感してもらうことが、カスタマーサクセスに求められる仕事内容です。製品やサービスへのエンゲージメント率を高め、顧客のビジネス目標に貢献することで、顧客満足度や顧客ロイヤリティが向上し、長期的な契約に繋がります。

定着期では、製品やサービスを顧客の業務フローに取り入れてもらえるように支援することが重要です。たとえば、社内資料の作成時に活用できる方法を共有したり、情報共有のツールとして利用を促したりなどがあります。

顧客が製品やサービスに対して不満を感じたり、利用頻度が低下する兆候が現れた場合、それを早期に察知し、適切な解決策を提供することも重要です。能動的なアプローチによって、エンゲージメント率を維持し、解約リスクを低減することができます。

ビジネスパートナーとして伴走して信頼を得るためにはどんな活動と指標が必要でしょうか。SaaS型のビジネスモデルの特徴も抑えながら確認していきます。

【具体的な業務】
業務概要
利用状況のモニタリング顧客の製品利用状況をモニタリングし、利用が低下した場合、アクションを取ることで顧客体験の向上を図る
定期ミーティング顧客と定期的にミーティングを行い、課題やニーズをヒアリングし顧客が製品を最大限に活用できるよう支援する
追加トレーニング顧客の要望や新たなニーズに応じて、追加のトレーニングを行う

拡大期はさらなる価値を提供する

拡大期は、顧客が製品やサービスに十分満足し、さらなる価値を求める段階です。契約期限にもよりますが、顧客が契約を更新するかどうかを検討するのもこの時期です。

拡大期におけるカスタマーサクセスの仕事内容は、長期利用によるメリットや期待感を顧客に与えることと製品やサービスによる成果を可視化することです。成果が可視化されていることにより、契約更新の際の交渉材料が用意できるため、契約更新の交渉が行いやすくなります。

また、さらなる価値提供のためにアップセルやクロスセルの提案も拡大期における重要な活動です。ただし、これらの提案は顧客のニーズや状況に合ったものであることが前提であり、無理に売り込まないようにすることが重要です。

【具体的な業務】
業務概要
利用データをもとにした
アップセル・クロスセル
利用データを分析し、顧客の価値を最大化できるプランを提案する
ロイヤルカスタマーへの特典特定の顧客へ追加機能のお試し利用や限定ウェビナー、イベントへの招待などを特典として提供する
成果レビュー顧客のKPIや利用データを分析し、過去の成果を評価して共有する
顧客社内で共有しやすいようなフォーマットで作成する

カスタマーサクセスのKPI

カスタマーサクセスのKPIには複数の種類があり、活動の目的から設定する必要があります。

ここでは、カスタマーサクセスの活動の目的を「パフォーマンス指標」「顧客満足度・ロイヤリティ指標」「活動・中間KPI」の3種類に分類し、設定するべき具体的なKPIを紹介します。

【活動目的によるカスタマーサクセスの分類】
成果指標具体的KPI
パフォーマンス指標●解約率(チャーンレート)
●顧客維持率(リテンションレート)
●アップセル・クロスセル率
●LTV(顧客生涯価値)
●NRR(売上継続率)
顧客満足度・ロイヤリティ指標●NPS®(顧客推奨度)
●CSAT(顧客満足度)
●口コミ・レビューサイトでの投稿獲得数
活動・中間指標●オンボーディング完了率
●CSQL (Customer Success Qualify Lead)
●アクティブユーザー数
●セッション時間

成果を測る指標

カスタマーサクセスの取り組み成果を定量的に評価するためにパフォーマンス指標を設定します。パフォーマンス指標として設定するKPIを定期的にモニタリングすることで、戦略や施策の調整に活用できます。

【パフォーマンス指標】(事後的に成果を測る指標)
KPI意味・目的
解約率(チャーンレート)●顧客がサービスを解約した割合を示す指標
●カスタマーサクセスによって解約率を下げ、売り上げを維持する戦略を立てる
顧客維持率(リテンションレート)●「顧客定着率」や「CRR」とも称される
●一定期間中に契約している顧客の割合を示す指標
●顧客維持率を向上させることで収益拡大への貢献度を測る
アップセル・クロスセル率●アップセル率は上位プランへと変更した顧客の割合
●クロスセル率は別サービスやオプションに契約した顧客の割合
●複数のプランを提供している場合に設定される
 LTV(顧客生涯価値)●Life Time Valueの略称
●顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益のこと
NRR(売上継続率)●Net Retention Revenueの略称
●一定期間における既存顧客からの収益がどのくらい維持できているかを示す指標

パフォーマンス指標は、カスタマーサクセスによる効果を定量的に評価することで自社の置かれている状況を把握するだけでなく、改善点として講じるべき施策を策定するうえでも欠かせない指標であるといえるでしょう。

顧客の満足度を測る指標

顧客の満足度を測るための指標として、顧客満足度・ロイヤリティ指標を計測します。顧客満足度やロイヤリティ指標を設定することで、顧客が製品やサービスに対してどの程度満足しているかを把握できます。

【顧客満足度・ロイヤリティ指標】(顧客の満足度を測る指標)
KPI意味・目的
NPS®(顧客推奨度)●Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の略語
※ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標
●「顧客推奨度」や「正味推奨者比率」など顧客ロイヤルティを数値化するための指標
CSAT(顧客満足度)●Customer Satisfactionの略称
●商品やサービスを利用した顧客の満足度を示す
口コミ・レビューサイトでの投稿獲得数●SNSでの口コミやレビューサイトへの投稿の獲得数を指標とする
●他社への優位性、見込み顧客の獲得、問い合わせなどにつなげる

なお、顧客の利用状況を測る指標として「ヘルススコア」もあります。ヘルススコアとは、顧客が自社の製品やサービスを継続的に利用するかどうかを測る指標です。ヘルススコアをモニタリングすることで、顧客に最適化した提案や情報を提供できるようになります。

ただし、ヘルススコアは単一の指標ではなく、提供する製品やサービスに適した指標を選定し、重みづけを行う必要があるため、計測するための設計に労力がかかります。運用を検討する際はその点に注意が必要です。

日々の活動を測る指標

日々のカスタマーサクセスチームの進捗や顧客との関わりをリアルタイムで把握するために、活動・中間指標を設計します。解約率やアップセル・クロスセルなどの指標は、すぐに成果として現れないため、現時点でのカスタマーサクセス活動を評価することは困難です。

そのため、中間指標や活動指標は、短期的なスパンでカスタマーサクセス活動を評価し、カスタマーサクセスチームの業務効率や顧客とのエンゲージメント率を確認するために役立ちます。

【活動・中間指標】(日々の活動を測る指標)
KPI意味・目的
オンボーディング完了率●顧客がサービスを導入・運用を始めてから定着するまでの期間
CSQL (Customer Success Qualify Lead)●カスタマーサクセスの施策によって生み出された見込み顧客
●アップセルやクロスセルなど顧客単価の向上が見込める顧客でり、優先的なアプローチが有効
アクティブユーザー数●アクティブユーザー数の定義は事業内容によって異なる
例:一定期間内に1回以上ログインしたユーザー、有料プランに契約した顧客などを設定
 セッション時間●サービスを利用している時間
●短いほど解約リスクが高くなる

カスタマーサクセスは、アップセル・クロスセルといった収益拡大も重要な役割です。しかし、多くの企業におけるカスタマーサクセスでは、収益拡大に向けた役割がまだ十分に定着しておらず、サポート業務に集中してしまっているのが現状です。

こういった現状を受けて、近年注目を集め始めているのが、収益拡大に向けた顧客の選定やアップセルの提案などの役割をカスタマーサクセスに持たせたカスタマーインサイドセールス(Customer Inside Sales)という新たな役割です。

カスタマーサクセスを導入するための4ステップ

カスタマーサクセスにおけるKPIの設定手順を4ステップで紹介します。

【カスタマーサクセスにおけるKPIの設定手順】

  • ステップ1:目的と目標の明確化
  • ステップ2:業務フローとプロセスの整備
  • ステップ3:顧客セグメンテーションと対応モデルの設計
  • ステップ4:KPIとヘルススコアの設定

ステップ1:目的と目標の明確化

カスタマーサクセスを導入する際の最初のステップは、目的と目標を明確に設定することです。明確な目標がないと、施策の方向性が定まらず、結果を評価する基準も曖昧になってしまいます。

顧客の成功をサポートしながら自社の成功につなげられるような具体的な目標を設定する必要があります。

設定する目標の例として「顧客満足度の向上」「離脱防止」「アップセル・クロスセルの増加」などが挙げられます。目標は、提供する商品やサービスの形態によって異なる場合がありますが、いずれも自社の収益増につながるものです。

これらの目標が明確になることで、後続のステップがより効率的に進むようになります。

ステップ2:業務フローとプロセスの整備

カスタマーサクセスを効果的に機能させるためには、業務フローとプロセスの整備が必要になります。プロセスの整備において顧客像を整理し、カスタマーサクセスのフェーズごとに「オンボーディング」「アダプション」「リテンション」などの施策を策定します。

収益向上を図るためには、顧客との良好な関係性を構築する必要があるため「顧客管理のフロー」において、顧客状態やニーズの把握や顧客層のランク付けをし、それぞれのステータスに応じたサポートの最適化と提案を行います。

カスタマーサクセスの業務フローにおける「オンボーディング」では商品やサービスのマニュアルを提供したり、使い方に関するトレーニングを行うなど、サービスの導入初期段階の顧客をサポートし、定着化をはかる施策を行います。

また「アダプション」では、顧客が自社の商品やサービスの活用および定着を支援するため、高度な機能の使用を促すトレーニングを提供します。さらに「リテンション」では定期的なフォローアップを通じて、利用の継続を支援します。

業務フローとプロセスの整備により、チーム全体を通して統一された対応が行えるため、場当たり的な対応にならず、顧客満足度の向上に繋げられるでしょう。

ステップ3:顧客セグメンテーションと対応モデルの設計

顧客のニーズや状況にマッチした対応を行うために顧客セグメンテーションと各セグメントへの対応モデルを設計します。

「顧客セグメンテーション」は、顧客層ごとに最適な対応戦略を設計するための基準となります。セグメンテーションは、顧客を「デモグラフィック(年齢や性別など)」「行動ベース」「地理的条件」「価値ベース」などの中から自社の製品やサービスに適したものを活用します。

顧客セグメンテーションを行った後は、タッチモデルに従い「ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ」から各セグメントに応じた対応を決定します。たとえば、高価値顧客には専任のカスタマーサクセスマネージャーを配置する「ハイタッチ」モデル、大規模な顧客ベースには自動化されたチャットボットやFAQを活用する「テックタッチ」モデルを適用します。

セグメントによって顧客とのコミュニケーションレベルを最適化できるとともに、オンボーディングのプロセスが磨かれるため、ナレッジ蓄積のスピードアップも期待でき、結果的に顧客満足度と収益を最大化できる可能性が高まるでしょう。

ステップ4:KPIとヘルススコアの設定

カスタマーサクセスの成果を正確に評価するため、KPI(主要業績評価指標)とヘルススコアの設定が必要になります。KPIの設定により、ビジネス目標に対する進捗を測定でき、ヘルススコアの設定により、顧客のエンゲージメントや離脱リスクを評価できるようになります。

KPIは、カスタマーサクセスを導入する際の最初のステップで設定した目標に従って設定します。また、ヘルススコアを設定し、顧客の利用状況を把握できるようにします。

さらに、自社で扱う製品やサービスに応じて、顧客の成功に寄与する重要指標を決定し、重みづけを行うようにしましょう。

まとめ

カスタマーサクセスは、カスタマーサポートとは異なり、顧客が製品やサービスを最大限に活用し、長期的な成功を収めるために支援を行います。顧客満足度の向上に取り組み、結果として自社の収益を最大化させます。

カスタマーサクセスの役割には、LTVの向上や、顧客のフィードバックをもとにした製品やサービス改善の促進、マーケティングや営業戦略の最適化があります。これにより、顧客ロイヤリティを高め、アップセルやクロスセルの機会を増加させます。

また、カスタマーサクセスの活動は顧客が導入期、定着期、拡大期のフェーズにいるかによってそれぞれで適切な施策が異なります。また、KPIを通じて活動の成果や顧客満足度を測定することで、継続的に改善を図ることが可能です。

企業がカスタマーサクセスを導入して、目的を明確にし適切なプロセスを整えることで、顧客満足度の向上やLTV向上が期待できます。カスタマーサクセスは、顧客との信頼関係を強化し、自社の収益を最大化するために重要な取り組みといえるでしょう。

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スマタイ編集部
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