インサイドセールスは自由で面白い。ホットリンク堤貴宏 #THELEADERS
SALES ROBOTICSの運営するメディア、スマタイでは、連載企画「THE LEADERS」をスタートします!
この企画は、「インサイドセールス市場をもっと盛り上げたい」「インサイドセールスという仕事っておもしろそう」といった魅力を読者に届けたいという編集部の強い要望から始まりました!
- インサイドセールス業務に従事している人
- 他社のインサイドセールスの取り組みを知りたい人
- インサイドセールスにキャリアチェンジを考えている人
まさに日々現場で奮闘・活躍する人に、SALES ROBOTICSの冨田 貴徳が取材インタビュー形式でお話しをお伺いしていきます。真面目な話だけではなく、裏話まで笑いを交えながら聞いているため、まさに必見の内容です!
初回のゲストは、株式会社ホットリンク マーケティング本部 インサイドセールス部 リーダーの堤 貴宏さんです。
ソーシャルメディアマーケティングを支援するホットリンクは、コンサルティング、広告運用支援や分析ツールの提供などを行っています。同社は広告代理店ではなく、データ分析事業からSNSマーケティングに参入。社内にデータサイエンティストも抱え、データドリブンで企業のSNS活用を支援してきました。
取材では、堤さんとインサイドセールスの出会い、ホットリンクで行う数々の施策について伺いました。
(撮影・執筆:サトートモロー 進行・編集:いいたかゆうた)
堤 貴宏 株式会社ホットリンク マーケティング本部 インサイドセールス部 リーダー
高校卒業後、世界的に活躍するギタリストMIYAVIに弟子入りし修業した後、 自身もミュージシャンとして活動。赤坂BLITZや恵比寿リキッドルームでのワンマンライブを成功させた実績を持つ ヴィジュアル系バンド「シリアル⇔NUMBER」に在籍。カラオケDAMやJOYSOUNDに約50曲の収録もされている。引退後ビジネス界へ転身し、ヴィジュアル系インサイドセールスの活動を開始。ソロとして「インサイドセールス・ラプソディー」「NEWWORLD」「インサイドセールス・レボリューション」 3曲のシングルを発表。Voicyラジオパーソナリティーや、各種ビジネスイベントへの登壇実績も多数。虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された国内最大規模のインサイドセールスカンファレンス「Inside Sales Conference 2019 winter」への登壇や、タワーレコードが主催した「TOWER ACADEMY~ファンを増やすためのSNS戦略講座~」にて講師も務めた。
「お金を稼ぎたい」から出会ったインサイドセールス
冨田:
堤さんは、いつ頃ホットリンク社に入社したんですか?
堤:
2018年4月ですね。入社当時のホットリンクにはインサイドセールス部がなかったので、立ち上げから携わりました。
前職、前々職もインサイドセールスを担当してきたのでインサイドセールスのキャリアとしては7年目に入ります。それ以前はバンドマンだったので、ビジネスマンになってからずっと、インサイドセールスに特化してキャリアを積んできた感じです。
冨田:
インサイドセールスとしてのキャリアが非常に豊富ですね。これまでのキャリアについても教えていただけますか?
堤:
インサイドセールスに関わった最初のきっかけは「お金を稼ぎたい」でした。バンドマンとしてうまくいかない日々の中、バンド活動と並行して短時間で稼げるアルバイトを探していたんです。そして、最初に入社した会社に出会いました。
その会社は、1日200コールするようなゴリゴリのテレセールスをしていました(笑)。数字さえ達成すれば、勤務日数は少なくていいしインセンティブも高い。「これだ!」と思って入社して頑張ったら、結構好成績だったんですよ。
当時32歳で、バンドしか知らずに生きてきた僕に、自信を与えてくれたのがテレセールスの仕事でした。2社目では、SFAやMAといった顧客管理ツールを使用した、本格的なインサイドセールスを担当しました。
冨田:
3社目であるホットリンク社には、どのような経緯で入社したんですか?
堤:
次の転職先を探していた時に、ホットリンクを見つけました。バンド時代からSNSを活用してたし、エンタメも好きだったので「この会社は面白そうだな」と、面接前から好印象だったんですよね。
当時の転職活動では、社会人経験が浅いためにすごく苦労していました。ホットリンクの面接時では、執行役員がバンドマンの経験に興味を持ってくれて。面接がすごく楽しくて、「この会社は合いそう」と思ったんです。
冨田:
インサイドセールスチームの立ち上げについては、どんな背景があったんでしょうか?
堤:
当時のホットリンクは、フィールドセールスがテレアポから商談までのすべてを担当している状態で。案件の増加に対応しきれなくなり、体制に限界を感じていたタイミングでした。
いわゆるThe Model型営業組織を取り入れて、分業した方がいいんじゃないかという話が上がったタイミングで、僕が入社したんです。現在は、2人いるインサイドセールスチームのリーダーとして、ホットリンクの全ての商材を担当しています。
冨田:
え、チームメンバーは2人だけなんですか?
堤:
そうです。2人目のメンバーがジョインしたのが2020年の夏頃なので、2年間は僕ひとりで担当していました。
冨田:
これだけの商材を抱えているのに、2人だけで回しているのはすごいですね…。業務内容的には、ABMに取り組んでいる感じですか?
堤:
ABMだけではありません。ホットリンクではSNS運用を支援する「クチコミ@係長」というSaaS型サービスを提供しているんですが、このツールの販促は完全にSDRの領域です。SNS支援サービスに関しては、BDRに取り組んでいます。
冨田:
多才な領域に取り組んでいるんですね。
ちなみにSALES ROBOTICSでは、複数の商材を扱っておりますが、販促は基本SDRで対応しています。
※BDR(Business Development Representative)
アウトバンド対応がメインのインサイドセールス。「新規開拓型」の営業手法とも呼ぶ。
※SDR(Sales Development Representative)
インバウンド対応がメインのインサイドセールス。「反響型」の営業手法とも呼ぶ。
学ぶ側から発信する側へ
冨田:
堤さんがインサイドセールスに携わるようになった頃は、この職種についての情報がほとんどない時代だったと思います。どうやって勉強して、知見を深めていったんでしょうか?
堤:
とにかく行動して、一次情報に触れました。勉強そのものが難しい状況だったので、セミナーには積極的に参加して、とにかく顔を覚えてもらおうとしたんです。次第にインサイドセールスの先駆者である先輩たちと話せるようになり、直接相談しアドバイスをもらえる関係を築きました。
冨田:
どんな方と出会いましたか?
堤:
『インサイドセールス』の著者である茂野明彦さんや、スマートキャンプの阿部慎平さん、セールスフォースの鈴木 淳一さん…。いわゆる「インサイドセールスの大御所」のような方々が、現場で活躍していた時にお会いできました。
セミナーに参加すること自体もすごく好きでした。セミナーを通じて友人ができ、同じ悩みを共有できるのがすごく嬉しくて。
そんな経験から徐々に自分が「発信側」になってからは、インサイドセールスやセカンドキャリアに悩む方々が、ポジティブになれることを伝えたいと思うようになりました。
冨田:
堤さんがTwitterやVoicy、メディア寄稿を続ける理由はそこにあるんですね。
堤:
僕は「役に立ちました」「勉強になりました」と反応をいただけるのが好きなんです。バンド時代から、僕の音楽を聞いて「救われた」「ライブ楽しかった」という声があると、生きた心地がしました。
バンドマンの夢が破れてからは、こんな経験はもうできないと諦めかけていたんです。それが、インサイドセールスの発信をしていたことで近い経験ができました。「この世界でも、人に夢を与えられる!」と思って以来、発信し続けています。
冨田:
堤さんは、「#インサイドセールス倶楽部」というコミュニティも立ち上げていますよね。
「#インサイドセールス倶楽部」発足への想い
堤:
コロナ禍ですべてがオンライン化して、僕の大好きだったオフラインの勉強会・セミナーが一気になくなってしまいました。この状況でも、インサイドセールスの人々がつながれる場所を作りたいと思い、「インサイドセールス倶楽部」を立ち上げたんです。
コミュニティ運営は面白いですが、その反面難しいことも多いですね。現在は150名ほどが参加しているのですが、なかなか僕以外の発信やメンバー間の交流が少なくて…。僕が発起人である以上、なんとか活性化させていきたいですね。
マーケティングチームと一体型での施策展開
冨田:
ここからは、ホットリンク社のインサイドセールスの施策や取り組みについてお話しください。
堤:
それでいうと、SNSをうまく活用してきたという点が、ホットリンクならではかなと思います。2019年や2020年頃は、約10名の社員がTwitterをフル活用していて、そこから受注できるケースが結構あったんです。
当時は「マーケティングに詳しい人」「Twitterに詳しい人」「Instagramに詳しい人」…と、それぞれのドメインに強い人にDMで問い合わせがありました。そのままインサイドセールスにつないでもらい、アポを取るという流れが生まれていたんです。
現在はメンバーも増えてきたので、改めてSNS活用を社内で浸透させようと動いているところです。
冨田:
SNSに強いホットリンク社ならではの取り組みですね。
堤:
あとホットリンクは、マーケティングチームと一体型のインサイドセールスに取り組んでいるのも特徴的だと思います。
インサイドセールスがマーケティング施策を考えることもあるし、マーケティングチームもインサイドセールスが送るメールの文面を考えることもあります。
インサイドセールスは、前線でたくさんのリードにファーストコンタクトを取り、アポが取れなくても生の声をヒアリングできます。それをマーケティングチームにフィードバックして、コンテンツの中身を一緒に考えられるので、かなり仕事がしやすいです。
冨田:
インサイドセールスは、どのようなKPIを追いかけているんですか?
堤:
有効アポ数です。この点はすごくシンプルですね。
有効なアポイントかどうかは、「決裁者や推進力のある方か」「予算は十分か」「SNSマーケティングに課題があるか」といった点でチェックします。
冨田:
BANTのうち、Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)をチェックしているわけですね。T=Timeframe(導入時期)は重視していないんですか?
堤:
あまり重視していません。商談のスタンスは、まずは信頼を獲得して、何かあれば「ホットリンクに相談しよう」という状態を作れればOKとしています。
この活動をはじめたのは、2020年頃です。それ以前はマーケティングチームが存在せず、まずは大量のリードを取るところからスタートしました。その結果、大量のリードを獲得した一方で質の低いアポが多く、KPIを「有効アポ数」に変更しました。
ターゲットとなる業種・業態に対してアプローチし、そこで獲得できたリードを、マーケティングチームは「有効リード数」としてカウントします。そこから獲得できたアポイントを、インサイドセールスが「有効アポ数」としてカウントするという感じです。
冨田:
ふたつのチームで共通のKGIを持ち、各セクションのKPIが設定されているんですね。
会う・話すの心理的ハードルをいかに下げるか
冨田:
ホットリンク社は、大企業や業界のエンタープライズ系がターゲットというイメージがあります。こうしたターゲットに対して、取り組んでいる施策も教えてください。
堤:
僕たちは「ABM対象」と呼ぶ方々に、週1回ただの情報提供メールを、ひたすら送りつづけています。例えばコスメ業界の方々に、コスメ業界向けのニュース記事をまとめて送る感じです。日々情報収集したものをまとめて、送り続けています。
この施策をはじめて約10ヶ月ですが、MAツールで記事のクリック状況を見ると、一定数の読者が付いているのがわかるんですね。そこではじめて、読者の方々にメールをします。ここでも商談ではなく、勉強会をしませんかとお声がけするんです。
冨田:
商材を売り込むのではなく、メールの延長線上のような形で勉強会につなげるんですね。
堤:
「SNSマーケティングについて勉強会しませんか?よろしければ、社内の関係者の方々もお呼びくださると嬉しいです」
こうお声がけすると、好意的に応えてくださる方が非常に多いです。勉強会に決裁者が同席することも珍しくありません。ホットリンクも各業界に詳しいコンサルや営業を同席させ、クローズドな意見交換を通じて関係を構築しています。
冨田:
勉強会は、オフラインで行っているんですか?
堤:
いいえ。コロナ禍で始めた施策なので、基本すべてオンラインです。
冨田:
そうなんですね。勉強会はどんな内容を話すんですか?
堤:
壁打ち会のような形式で、弊社のコンサルタントに悩みをぶつけてもらい、こちらが答えていきます。クローズドな場なので、かなり突っ込んだ話題になることも多いです。
SNSに課題があるけれど自力では上司を動かせない…。そんな悩みを抱える担当者さんが、上司にも勉強会に同席してもらうといったケースもあります。ホットリンクがSNSの重要性をガンガン話すと、「代弁していただきありがとうございました!」となりやすいです。
冨田:
なるほど…。これは他社さんでも、あまり聞いたことがない取り組みですね。
堤:
それ以外では、すごく属人的ですが僕自身がコンテンツになるという取り組みも行っています。
セミナー終了後、僕がフルメイクで質疑応答の司会をするんです。そして、セミナーの最後に「この後、僕から電話・メールするので、ぜひ出てくださいね」と伝えます。実際に、セミナー後「あの時の僕です」とアプローチして、アポを取っていきます。
冨田:
堤さんならではのアクションですね。
堤:
フルメイクでインパクトを出さずとも、顔を見せるのは一定の効果を発揮すると思います。
特に質疑応答のタイミングで司会をすると、インサイドセールスの人間もスムーズに登場できるかなと。
冨田:
確かに、まったく面識のない人からの電話に出るよりも、心理的ハードルはかなり低くなりますね。有効商談数にもつながりやすくなるだろうし、参考になる企業さんはかなり多いと思います。
弊社も取り組んだことのない施策なので、一度やってみたいですね。
インサイドセールスは発展途上。自由度が高く成功もしやすい。
冨田:
堤さんは、今後インサイドセールス業界がどう発展するのを望んでいますか?
堤:
固定観念にとらわれず、新しい施策に取り組むインサイドセールスが次々と出てきたら、面白いなと思いますね。インサイドセールスにおいて、電話=悪ではありません。コールしまくることが正解なら、それを突き詰めればいいんです。
とはいえ、電話しまくる・メールしまくるが絶対の正解ではありません。ホットリンクのようにSNSを使ったり、僕のように自分をコンテンツ化したりするのもありだと思います。日々生まれるAIツールを駆使する企業が出てきてもいいじゃないですか。
そういう意味では、インサイドセールスは非常に自由度が高い職種ですよね。将来的には、「それはもはや、インサイドセールスで括られないのでは?」という施策が生まれるかもしれません。それはそれでありかなと、僕は思います。
冨田:
インサイドセールスに対して「こうやるべきだ」「これがうちのやり方だ」という虚像に囚われ、改善できず悩んでいる方は多いと感じます。堤さんがおっしゃる通り、インサイドセールスはこれからな職種で、今後さまざまな色が出てくると思いますね。
その中で、インサイドセールスの注目度は日に日に増しています。堤さんは、インサイドセールスを通じてどんな学びが得られたり、どんなポジションを目指したりできると思いますか?
堤:
インサイドセールスは、一日に数十件の企業さんとコンタクトを取ります。これを作業としてやると、学びは得られません。
僕は一件一件のコンタクトに対して、「どんな課題あるのかな?」「うちはどう力になれるのか?」と想像力を働かせています。すると、一日で数十の事業を知り、課題解決のアイディアを養えるわけです。多才な業界の知識も身につくので、インサイドセールスは成長しやすい職種だと思います。
冨田:
確かに、インサイドセールスは量をこなすことから多くの学びを得やすい職業かもしれませんね。
堤:
それに、インサイドセールスはまだまだ新しい職種で発展途上です。日々新たな手法が生まれ、AI搭載型のツールも増えています。こうした手法やツールに対して、一点突破でスキルを身につければ、活躍できる場所が一気に広がるでしょう。
インサイドセールスは未経験の方でも、成功できる可能性がすごく高い職種だと思いますね。
冨田:
堤さん自身は、これからどんなキャリアを歩みたいですか?
堤:
僕自身ぼんやりしていますが…。現在は他社さんからの相談で、インサイドセールスチームの立ち上げを手伝っています。こうした仕事を通じて、誰かの力になれたらと思っているところです。
あとは、ヴィジュアル系インサイドセールスの活動をもっともっと積極的に行いたいですね(笑)。
冨田:
色々なことを伺いでき非常に参考にもなり、楽しかったです。
最後に、堤さん個人がインサイドセールスで、もっとも大切にしていることを教えてください。
堤:
メイクです。
冨田:
え。
今回の「THE LEADERS」は、お楽しみいただけましたか? 本シリーズでは、今後も各業界で活躍するインサイドセールスのリーダーをお招きして対談を行ないます。次回もぜひ、ご覧ください。
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