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インタビュー

ありのままを伝える大切さ。ナレッジワーク桐原理有・岡野亮太 #THELEADERS

現場で活躍するインサイドセールスのキーマンに、SALES ROBOTICSの冨田貴徳が取材する連載企画「THE LEADERS」。

今回のゲストは、株式会社ナレッジワークの桐原理有さん、岡野亮太さんです。2人はセールスイネーブルメントを推進するナレッジワーク社において、桐原さんはフィールドセールス、岡野さんはインサイドセールスを担当しています。

桐原さんと岡野さんは、それぞれの領域に長年関わり続けているプロフェッショナルであり、近いタイミングで同社にジョインしました。今回は2人に、組織内におけるインサイドセールスとフィールドセールスの連携や、ナレッジワーク社ならではの営業体制を伺いました。

(執筆:サトートモロー 編集:いいたかゆうた 撮影:小林一真 音声編集:増田那々海)

桐原理有
株式会社ナレッジワーク 専門役員 Principal フィールドセールス
株式会社ワークスアプリケーションズにて、大手法人営業に14年間従事。その後、スタートアップ2社にて執行役員を務めた後、株式会社ナレッジワークに入社。フィールドセールス職に従事しながら、セールス・エンタープライズセールス勉強会を開催。企業からの依頼も多数あり、2022年は20社に実施。

岡野亮太
株式会社ナレッジワーク インサイドセールスマネージャー
クラウドサーカス株式会社にて法人営業を担当したのち、SMB向けインサイドセールス責任者を勤める。同チームは新卒の教育機関としても機能し、新卒の教育なども経験。ナレッジワークではエンタープライズ向けのインサイドセールスにて、商談機会創出を担当する。

「ランド・アンド・エクスパンド」でエンタープライズと関係構築

冨田:
岡野さんと桐原さんのこれまでのキャリアについてご紹介いただけますか?

岡野:
私は昨年12月にナレッジワークに入社して、インサイドセールスの※SDRチームのマネージャーをしています。前職のクラウドサーカス株式会社には、新卒から約17年間在籍しました。

※SDR(Sales Development Representative)
インバウンド対応がメインのインサイドセールス。「反響型」の営業手法とも呼ぶ。

クラウドサーカス社では新規顧客獲得のため、テレアポなどを行っていました。その後、インサイドセールスチームの立ち上げを任され、SMBを中心としたチームの構築・運用を経験しました。

冨田:
岡野さんと私は前職が一緒なんですよね。ずっと聞きたかったのですが、なぜ17年在籍していた会社を離れて、次のステージへ行こうと思ったのですか?

岡野:
40歳を迎えるにあたって、自分のキャリアを見つめ直そうと思ったのが一番大きな理由です
前職のインサイドセールスチームは「教育機関」も担っていました。新卒はインサイドセールスを経験し、その後はフィールドセールスやカスタマーサクセス、マーケティングへ移るという流動的な組織だったのです。この仕組みで人材を育てる枠組みを整えることができ、他の組織にもこの経験を活かしたいと思ったんです

株式会社ナレッジワーク インタビュー

桐原:
私は20年以上、エンタープライズ向けの営業に携わっています。新卒では株式会社ベルシステム24に入社し、株式会社ワークスアプリケーションズに転職後、※ERPパッケージの大手法人向け営業を担当しました。

※ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージ
財務、人事、予算管理、販売管理、生産管理、在庫管理といった企業の基幹業務システム、またはその集合体のシステムのこと

途中に半年間、コンサルティング会社への転職なども挟みつつ、約14年間ワークスアプリケーションズ社に勤めました。その後、スタートアップにチャレンジしたいと思い、38歳から転職を重ね、スタートアップ3社目で入社したのがナレッジワークです。

冨田:
岡野さんはインサイドセールスを、桐原さんはフィールドセールスを長く経験しています。今日は2人の視点から、組織運営やコミュニケーションの秘訣をたくさんお聞きできればと思っています。その前に、ナレッジワーク社が提供するサービス内容について教えていただけますか?

岡野:
ナレッジワークは※セールスイネーブルメントをテーマに、営業支援ソリューションを提供しています。具体的には、「資料がカンタンに見つかる」というシンプルな価値をプロダクトで提案しています

※セールスイネーブルメント(Sales Enablement)
営業組織の強化・改善を行うための総括的な取り組み。営業ツールの拡充、教育、営業プロセスの整備などを主な取り組みとして、組織の営業力を強化する。

営業活動では、お客様への提案資料や過去の資料を探すのに時間がかかってしまったというシーンをよく目にします。ナレッジワークによってその問題が解消されることで、営業の準備時間が大きく短縮され、新たな商談や企画作りの時間にあてられます。

冨田:
資料探しに時間がかかるというのは、多くの会社に該当する悩みだと思います。当社でも、過去の事例や数値のシミュレーションを、セールスフォースやチャットで検索したり、社歴の長い先輩に相談したりしてやっと見つけるというケースがよくあります。

情報が属人的になっているという問題を抱えている当社には、すぐご提案いただけるようなプロダクトだと思いました(笑)。

ナレッジワーク社において、2人はどのような活動をしているのでしょうか?

岡野:
私は主に、マーケティングチームが獲得したお客様や公式サイトに流入したお客様への、ファーストアプローチを担当しています。ここでアポイントを獲得後、フィールドセールスにバトンタッチします。

桐原:
私たちのチームは、アポイントを通じて商談化へとつなげます。具体的には、お客様に商談の合意をいただき、検討資料を提示して決裁者様へアプローチし、プロジェクトの立ち上げまで一緒に伴走します。

ナレッジワークのプロダクトは「ランド・アンド・エクスパンド」、つまり「小さく入って大きく広げる」というセールス手法がうまく機能します。広げるという工程も私たち営業が責任を持って伴走するため、商談が始まって以降もずっとお客様と関わり続けていきます。

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冨田:
一般的なTHE MODELのように、分業的な役割分担を行っている訳ではないのですね。

桐原:
はい。カスタマーサクセスチームもお客様の支援を行いますが、お客様のアカウントの担当として、私たちフィールドセールスが伴走します。エンタープライズ向けのアプローチでは、こうした構成を取らないと長期的な信頼関係を作るのは難しいので、チームとしてはいい選択が取れていると思います

冨田:
インサイドセールスとフィールドセールスは、組織図的には別々のチームという形なのでしょうか?

岡野:
ビジネスディベロップメントという包括的な組織があり、そのユニット長をレポートラインとして、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスが同列に存在します。

インサイドセールス活動を支えるコンテンツの蓄積

冨田:
岡野さんは現在、どのようなチーム体制でSDR活動をしているのですか?

岡野:
現在は業務委託のメンバーを含めて、4名体制で活動しています。主な活動内容は先述の通りで、見込み顧客にファーストアプローチしてアポイントを獲得します。また、失注したお客様へのリサイクル活動にも注力しています。

冨田:
インサイドセールスの活動は新規獲得に偏重しがちですが、失注した見込み顧客へのリテンションにも力を入れているのですね。それはなぜでしょうか?

岡野:
インサイドセールスは、検討開始までのパートナーでありたいという想いで活動しています。エンタープライズは検討開始に至る期間が非常に長いです。その間、私たちは情報提供などを通じてお客様との関係構築を担います。

冨田:
失注した見込み顧客への再コンタクトと聞くと、一般的には失注から3〜6ヶ月後など間を置いて、改めて自社製品を売り込むための状況をヒアリングしている売り手偏重の活動が多いと感じています。ナレッジワーク社では、どのように見込み顧客とコミュニケーションを取り、関係性を維持しているのでしょうか。

桐原:
その話をするにあたり、「失注」という言葉への認識を合わせたいです。失注とは、提案をして決裁されなかったことを指すこともあれば、アポイントの途中で先の段階に進めなかったことを指すこともありますから。

私たちは、突然お客様とやり取りできなくなったケースを除き、必ずお客様との議論で「この先には進めない」と合意形成をします。この状態を失注と表現します。

このタイミングで、お客様とは「どの条件が整ったらもう一度話すか」についても合意しているんです。そして、「条件が揃ったらご連絡ください」「こちらからご連絡します」と伝えます。あくまでお客様都合であり、私たちの都合で連絡を取らないという点は特徴的なアプローチかもしれません。

合意形成があいまいな形だと、インサイドセールス側の負荷が増してしまいます。どれだけフィールドセールス側で、お客様といい関係性で合意形成できるかが、その後の負荷を大きく左右すると思います。

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冨田:
失注に対しても合意形成するというのは、ぜひ真似したい素敵な考え方ですね。とはいえ、こうした考えを実務に落とし込むのは難易度が非常に高いと思います。合意形成を基本としたオペレーションを浸透させる上で、どんなことを行っていますか?

桐原:
私たちは、営業という仕事の考え方やフローといったすべてを可視化した「営業ハンドブック」を活用しています

「営業ハンドブック」には、各フェーズがどういう状態になったら完了なのか、どんな点に注意して営業活動を行わなければならないかがコンテンツで整理されています。入社したメンバーのオンボーディングのタイミングで、ハンドブックを渡して学習を促します。

マネジメントにおいても、私たちの感覚で回答・指導するのではなく、ハンドブックをベースにフィードバックを繰り返す。そういうオペレーションに現在チャレンジ中です。究極、私のチェックがなくても各自がハンドブックベースに判断すれば、物事が進むような状態を狙っています。

そうなれば、人による得意・不得意は生まれつつも、営業全体の生産性やクオリティを一定水準まで引き上げることができます。

冨田:
組織が拡大し人数が増えていくと、当然マネジメントコストも上がっていきます。ハンドブックを活用することで、マネジメントコストの最小化を目指しているのですね。少し話題は変わりますが、インサイドセールスの方々は、どのようなサイクルで1日の活動をしていますか?

岡野:
9〜11時が午前中で、主にホットリードと呼ばれる公式サイトから流入してきたお客様に対応したり、不在がちなお客様にアプローチしたりしています。

11〜12時は社内ミーティングの時間で、営業各チームとのミーティングを行います。

午後は基本的に、お客様へのアプローチやセミナー対応をしていますが、週1回は他のチームと打ち合わせしています。マーケティングチームとはインサイドセールスのデータや結果から、次に行うべきセミナーなどを話し合います。フィールドセールスチームとは、アポイントの状況をレポートしてもらいます。

桐原:
ナレッジワークは、個別の対話の時間を極力減らし、会議体によるコミュニケーション設計を徹底しているんです。基本的には11〜15時のコアタイムでミーティングを行い、ここで議論すれば週単位の事象をすべて解決できるように、会議体を設計しています。

実際、私と岡野は仕事に関する個別の会話をほぼしません。会議体ですべて決定して仕事を進められるので、非常に生産性が高いと思います。

冨田:
1週間の会議体で、仕事のオペレーションに関するコミュニケーションをして、それ以外の時間をお客様のフォロー活動にあてているのですね。見込み顧客はエンタープライズ企業が多いということでしたが、どんな事前準備を行ってアプローチしているのでしょうか?

岡野:
メインとなる着眼点は「業界」です。私たちがターゲットとしている企業は約7,000社ですが、現在最もシェアを占めているのはシステム業界です。そのため、事前準備でもこの業界が今どんな状況なのかを学習します。

学習材料は過去の商談動画や提案書です。動画や提案書を分析して、アプローチの方法を模索します。それと、事前準備では「FORCAS Sales」がとにかく優秀で使いやすいです。これを見れば業界や個社の状況が、ある程度把握できますから。

また、お客様への提案時は類似した事例をナレッジワークで探します。提案書はすべて同じフォーマットで書かれており、どのページに何が書かれているかをすぐ見つけられるので、スピーディに事前準備できます。

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桐原:
商材の価値をお客様に、音声で正確に伝えるという観点において、インサイドセールスは最も難しくて尊い仕事だと私は心底思うんです。フィールドセールスは結局、無限に言葉を駆使してお客様と話すことができますから。

ナレッジワークでは、誰が見聞きしても、商材の価値が理解できるように社内コンテンツが整理されています。だからこそ、お客様の事由によらず、この商材がお客様にとって意味があると思っていただけるような説明ができるようになっているのかなと。

事前準備をどれだけ重ねても、壊せない壁というのは存在します。ナレッジワークでは、それを壊せるような価値提供のコンテンツが用意されています。

冨田:
インサイドセールスが情報を探しやすくするための、情報の蓄積のコツはあるのですか?「社内の情報をどこにどうやって貯めるか」は、私自身も悩んでいる最中なのです。ナレッジワークを使うというのがベストアンサーだとは思うのですが(笑)。

桐原:
明確にやるべきことは、現場に任せないことです。現場に任せた瞬間、あらゆるコンテンツが1ヶ所に混在するので、いい状態とは言えません。

専任でも兼務でもいいので、ナレッジ・マネジメント担当者を据えて権限を渡すこと。その上で、情報を貯めることの価値やゴールを定めて、達成のためにコンテンツの整理を進めること。これなしには、まずスタートを切れないですね。

この考え方は、2001年頃から※野中郁次郎先生が発信し続けています。この点はマネジメントがコミットして追いかけ続けないと結局失敗するので、やり切れるかが重要です。

※野中郁次郎(のなかいくじろう)
一橋大学名誉教授。知識創造理論を世界に広め、ナレッジ・マネジメントの権威でもある。2022年に紫綬褒章を受賞。

冨田:
ナレッジ・マネジメントは大義名分が立っているので、「やろう」と声を上げることはできます。しかし、その発案に対して片手間で取り組んだ結果、形にならずオペレーション化しなかったという経験が何度かありました。勉強になると同時に、耳が痛いお話です。

ありのままを伝えてほしい。インサイドセールスはアポイントを取ってきてくれるだけで十分

冨田:
桐原さんは「インサイドセールスプラス」の記事の中で、細かいニュアンスを伝えることが大事だと話していますね。

インサイドセールスへの期待、ストレートにお伝えします。

私もこの意見に同感です。というのも、インサイドセールスとフィールドセールスのコミュニケーションでは、事前情報の食い違いというのが起きやすいからです

例えばインサイドセールスにおいて、お客様へのヒアリングで「今○○が課題じゃないですか?」「はい」というやり取りがあったとします。お客様はあくまで「はい」と二文字話したにすぎません。

にもかかわらず、フィールドセールスには「お客様は○○が課題だと言っていました」「プロダクトに必要性を感じています」と申し送りします。こうした情報の食い違いを防ぐのが、桐原さんの言う「細かいニュアンスを伝える」だと思います。

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岡野:
実は入社当初は、いいアポイントを桐原さんにパスしたいという想いから、お化粧した言葉で申し送りすることが多かったんです。

しばらくして、桐原さんからそのままの情報でいい。お客様が乗り気ではなかったのに、お願いして獲得したアポだったとしても、ありのまま伝えてほしい」と言われました

冨田:
桐原さんはなぜそう言葉をかけたのですか?

桐原:
営業として最も重要なのは、お客様と会って最初の5分です。ここで印象がすべて決まります。印象が悪ければ回復はほぼ不可能だし、無反応の“凪”の状態でも、商材の価値を伝えることで好印象を得られる可能性は十分あります。

この最初の5分で、アポイントのニュアンスがズレていると終わりなんです。仮にお客様にとってポジティブではないアポイントでも、「無理やり時間を作っていただいて申し訳ございません」と一言あるだけで、お客様が破顔してくれることがあります。

たった一言で、最初の5分をフラットな状態に持っていけるんです。だから私は、ありのままの情報を伝えてほしいとお願いしました。

それに、私は元々「インサイドセールスはアポイントを取ってくれるだけで十分」と思っています。アポイント獲得というのは、0→1(ゼロイチ)につながる尊い仕事なんですよ。これを分かっていないフィールドセールスが、あまりに多いです。インサイドセールスの皆さんは、すごい仕事をしていると思います。

岡野:
こう言われてから、だいぶ仕事のやり方が変わりました。

冨田:
桐原さんの言葉は、インサイドセールスの立場で考えると救われるというか、ありがたいですよね。実際に、桐原さんの言葉を受けてからどのように仕事のやり方が変わりましたか?

岡野:
以前は、どうやって商談につながるアポイントを獲得すべきか、まったく分からない状態でした。ヒアリングを何度も重ねたり※BANT情報を確認したりと工夫しましたが、これは意味があるのか?とさえ思っていたんです。

BANT情報
Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)を表す言葉。相手企業への理解を深め、円滑に商談を進めるフレームワークである。

上記に加え、Competitor(競合相手)、Human resources(人的資源)を追加したフレームワークをBANTCH(バントチャネル)と呼ぶ。

桐原からアドバイスを受けてからは、どんな接点でお客様がアポイントに興味を持って、お話を聞いていただくことになったのかだけを申し送りするようになりました。あとはフィールドセールスがなんとかしてくれる。そういう意識を持てたことで、連携が取れるようになった気がします。

そこからはむしろ、一度怒られるまでとにかくいろいろな種類のアポイントを獲得しようと思うようになりました(笑)。

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冨田:
とにかくありのままの言葉で、アポイントを全てパスするようになったのですね。

桐原:
電話やメール1本で、お客様をコントロールしてアポイントを獲得し、次の担当者にパスする。こんなことができるとは、私は思っていません。仮にできているとしたら、そこには何か強制力が働いていたり、事実とかけ離れた情報がやり取りされている可能性が高いと思っています。

電話越しにお客様が本当の情報を話しているのかすら、私は疑っているんです。私だったら絶対、テレビやSlackを見ながら電話越しの話を聞いていると思うので。むしろ気のままにアポイントを渡してくれた方が、ウソがなく話も早いです。

冨田:
皆さんの活動はエンタープライズを主なターゲットとしていますが、そうではないターゲットへの営業活動においても、ここまでお話しいただいたコミュニケーションは成立すると思いますか?

桐原:
お客様の事業規模が小さくなるということは、受注単価が下がるのが一般的です。そうなると、ある程度の量をこなさなければいけません。結果、営業活動のオートメーション化が必要なので、論旨は大きく変わる可能性があると思います。

ただ、フィールドセールスがインサイドセールスから渡されるアポイントをどう捉えるかという部分については、アップデートできる要素は多いですね

「こういうアポではダメだ」と詰めるのではなく、会社ごとのフレームをうまく構築して、効率的かつ気持ちよく働ける方法を模索すべきかなと。私たちもまだまだ答えは見えていませんが。

インサイドセールスからの「一次情報」は全社で共有。

冨田:
岡野さんは現在、お客様からどんな情報をヒアリングしていますか?

岡野:
サービスに必要な情報はもちろん獲得しますが、サービスの価値を伝えてお客様がどうリアクションするかを見ることの方が、大事だと思っています。そして、インサイドセールスが感じた印象を書くのではなく、お客様の言葉をありのまま記録します。

桐原:
インサイドセールスからの一次情報は、経営においても大きな資産になっていると、CEOの麻野耕司はよく口にしています。

お客様はどんな反応を示したのか、なぜアポが取れた(取れなかった)のか、どんなコメントを寄せてくださったのか。こうした一次情報の数々が、最終的な事業戦略にも当てはまるんです。

冨田:
麻野さんも、インサイドセールスからの情報をチェックしているということですか?

岡野:
はい。情報はSlackで全社共有しています。

冨田:
すごい(驚)。一次情報の全社共有というのは、すぐに取り組めるし非常に面白いですね。これは意外とやっていない企業が多い気がします。

桐原:
管理や開発部門のメンバーも情報をチェックできるので、エンジニアから「あの会社、契約取れたんですね」と反応をもらうことが多々あります。

全社員が同じ粒度の情報を持っているかというのは、事業スピードにも大きく影響します。それが分かっているから、会社としてもこの点を意識して、情報共有は徹底していますね。

2つのチームをプロフェッショナルとしてさらに磨き連携を深めたい

冨田:
2人はナレッジワークに入社して、いろいろと仕事で試行錯誤を重ねてきたと思います。これまでの取り組みで、失敗したり現在進行形でチャレンジしたりしていることはありますか?

岡野:
リサイクル活動を属人的にこなしたというのは、うまくいかなかった事例のひとつです。この時は個社ごとに失注の理由を考え、過去の履歴や商談動画をチェックして、アカウントプランニングを行っていました。結果、非常に効率が悪くなかなか進みませんでした。

その後、業界ごとの課題に対して既存コンテンツを整理していくことで、徐々に再現性を持ってアポイント獲得できるようになりました。

桐原:
私のケースだと、現在は※BDR領域にチャレンジしています

※BDR(Business Development Representative)
アウトバウンド対応がメインのインサイドセールス。「新規開拓型」の営業手法とも呼ぶ。

今私たちは、約7,000社の企業すべてにナレッジワークが導入された状態を目標に頑張っています。今後隅々まで導入を促すとなると、自分たちからコンタクトを取っていかないといけません。BDRのクオリティをどう高めていけるかという点については、絶賛勉強中です。この点は、むしろ教えてほしいくらいです。

冨田:
実は私、いい方法を知っています。

桐原:
「SALES ROBOTICSに依頼する」ですね!

一同:笑

冨田:
ありがとうございます(笑)。それはさておき、一番効率的な方法は自社のリソースだけで行うのではなく、同じ視座で動いてくれるアウトソーサーを見つけてプロジェクト化することだと思います

支援者側としても、アウトソーサーの立場から顧客開拓する上でも、お客様とターゲティングやソリューションについて議論します。商談の様子を聞いたり営業資料を見たりして、どの情報が最もお客様に訴求できるのかを把握して、コミュニケーションプランを立てることも多いです。

こうした活動にひたすら付き合ってくれる、パートナーを見つけることがアウトソーシングの大きなポイントだと思います。実は1社、いいところを知っているんですよ。

桐原:
SALES ROBOTICSですね(笑)。

冨田:
ありがとうございます(笑)。

冨田:
最後に、ナレッジワーク社のインサイドセールスとフィールドセールスを、今後どう成長させていきたいか教えていただけますか?岡野さんはインサイドセールスの立場で、桐原さんはフィールドセールスの立場でお聞かせください。

岡野:
私たちのコンテンツだけではうまく価値訴求できないポイントで、フィールドセールスとうまく連携が取れたらいいなと考えています

私たちのお客様は、検討開始の前段階からアポイントを獲得すべきお客様と、検討開始後にアポイントを獲得すべきお客様の2種類に分かれると思っています。

後者のお客様は失注の要因が明確なので、ナーチャリングしやすいです。前者のお客様は、地道にサービスの啓蒙活動をしていく必要があるので、私たちだけでは限界があります。

フィールドセールスとタッグを組み、一度デモンストレーションなどを行い、インサイドセールスが継続的に関係構築を進める。そうすることで、いわゆる第2領域の「(セールスイネーブルメントに対して)重要だけれど緊急ではない」と思っているお客様を、検討開始まで導ける気がします

桐原:
現在、役割分掌では「インサイドセールスの次にフィールドセールス」という工程が一般的ですが、それがいいと思っていません。私はフィールドセールスとインサイドセールスを、そのジョブだけで成立できるように練磨していきたいです

その上で、インサイドセールスはフィールドセールスの戦力や価値を見つつ、最適なアポイントをパスしたりアプローチを教えてくれたりする存在にできればなと。作戦本部的な立ち位置を担えることが、将来の理想像です。

冨田:
まさに司令塔的存在ですね。

インサイドセールスは、DXやデータセールス、データマネジメントなど、無機質な情報と日々向き合う印象を持たれがちです。ナレッジワーク社のコミュニケーションのあり方を聞いて、皆さんはお客様を無機質なデータではなく、血の通う人間として捉えて向き合おうとしているスタンスを感じました

エンタープライズセールスにかかわらず、自社のたちのお客様がどのような人なのかからコミュニケーションを見直すと、いい改善や気づきが得られると思います。桐原さん岡野さん、本日はありがとうございました。

桐原&岡野:
ありがとうございました。

株式会社ナレッジワーク インタビュー

今回の「THE LEADERS」は、お楽しみいただけましたか?本シリーズでは、今後も各業界で活躍するインサイドセールスのリーダーをお招きして対談を行ないます。次回もぜひ、ご覧ください。

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