カスタマーサクセスのオンボーディングを手順や施策内容とあわせて解説
カスタマーサクセスのオンボーディングは、顧客との初期接点となる重要なフェーズです。このフェーズの顧客体験がオンボーディング完了後の活動においても影響を与えるため、オンボーディング施策を重要視している企業も多いのではないでしょうか。
当記事では、カスタマーサクセスにおけるオンボーディングの手順や施策内容、顧客の特徴に応じたアプローチ方法などを詳しく解説します。オンボーディングフェーズのKPIを設定する方法や改善に活用する方法も紹介していますので参考にしてみてください。
カスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは
カスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは、製品やサービスの導入期に、顧客がスムーズに利用を開始できるよう支援するプロセスのことです。オンボーディングを適切に実施することで、顧客満足度の向上や初期解約率の低減といった直接的な成果が得られ、顧客との長期的な関係構築の基盤が築かれます。
また、オンボーディング支援を通して、顧客ロイヤリティの向上やLTV(顧客生涯価値)の最大化といった長期的な成果も期待できます。
オンボーディングの活動目的は、顧客が製品やサービスを活用して、「業務効率化を実感する」、「売上向上の手応えを感じる」といった具体的な成功体験を早期に得られるようにすることです。
そのため、カスタマーサクセス担当者は、操作方法のレクチャーや、成功事例の共有などを通して顧客に製品やサービスの価値を早期に実感してもらうことを目指します。
オンボーディングの重要性
オンボーディングの重要性は、オンボーディングの成否が顧客のライフサイクル全体に影響を与えることにあります。顧客ライフサイクルにおいてカスタマーサクセスと顧客の最初の接点になるためです。顧客ライフサイクルとは、導入から定着までを「オンボーディング(導入期)」「アダプション(定着期)」「エクスパンション(拡大期)」にフェーズ分けしたものです。
オンボーディングがうまく行けば、利用率が向上し、より顧客のビジネス目標に貢献しやすくなるため、製品やサービスの定着が期待できます。一方で、オンボーディング支援が不十分で、顧客社内に製品やサービスの利用が定着しなかった場合は、早期の解約に繋がる可能性があります。
このように、顧客ライフサイクルのフェーズを進めていくには、オンボーディングを完了させることが重要です。オンボーディングによって早期の解約を防ぎ、顧客ライフサイクルが進むことで、アップセルやクロスセルを見込めるようになり、LTV向上に繋がります。
なお、顧客のフェーズごとにカスタマーサクセスがどのような役割を担うかについては「カスタマーサクセスとは?仕事内容や注目される理由を解説」をご確認ください。
オンボーディングの全体像
カスタマーサクセスにおけるオンボーディングは、製品やサービスの導入期における「初期対応」「施策設計」「トレーニング」の3つの段階にわけて支援します。担当者自身がこの全体像を理解することで、点ではなく線としての役割が明確になり、顧客の成功を実現するための取り組みを実施する意識づけにもつながります。
まず、新規顧客への初期対応では、顧客との長期的な関係構築の基礎を築きます。ここでの活動を通じて、顧客が安心してプロセスを進められるように支援します。カスタマーサクセス担当者の紹介やオンボーディングの説明、オンボーディング完了の基準の設定などを行います。
次に、オンボーディング施策の設計は、事前に調整した期待値や顧客セグメントをもとに、顧客ごとに適した施策を設計します。また、進捗状況を可視化するダッシュボードを用意しておくことで、オンボーディングの進捗状況が顧客と共有しやすくなります。
トレーニングフェーズでは、顧客が製品やサービスの基本的な操作方法を習得できるよう支援し、早期に価値を実感できるようにします。このフェーズでは、顧客のリテラシーや契約金額によって、マニュアルの提供や1対1での操作説明など適切な手法を選択する必要があります。
このプロセスを通じて、顧客は迅速に製品やサービスの価値を実感し、顧客満足度の向上や初期解約率の低下が期待されます。オンボーディングの各段階が連携することで、顧客体験が一貫性を持つものとなり、顧客との信頼関係を強化します。
オンボーディングを成功に繋げるためのポイント
カスタマーサクセスによる顧客のオンボーディング支援を成功に繋げるためのポイントを3つ解説します。
【オンボーディングを成功に繋げる3つのポイント】
- 営業部門と連携して顧客の特徴を理解する
- 顧客セグメンテーションを行う
- オンボーディング施策のタッチモデルを選択する
営業部門と連携して顧客の特徴を理解する
オンボーディングを成功させるためには、営業部門と連携し、顧客の特徴を正確に把握しておく必要があります。営業部門が持つ情報を活用して顧客のニーズや悩み、課題を具体化することで、オンボーディングの適切な施策を計画できるようになるためです。
アクション | 必要な情報 |
---|---|
顧客の状態を把握する | 企業規模、業界、部門、直面している課題 |
導入目的を確認する | 製品やサービスを導入する理由や期待する成果 |
ステークホルダーを把握する | 意思決定に関与する人物やプロジェクトの導入推進者 |
顧客のスキルやリテラシーを理解する | 製品利用の意欲やスキルレベル |
過去の導入事例から学ぶ | 類似事例の成功・失敗経験からの学び |
たとえば、顧客のITリテラシーが低い場合は、基本操作や初歩的な機能のトレーニングを重点的に実施します。一方、高いリテラシーを持つ顧客には、応用的な活用方法や具体的なカスタマイズ案を提示することで、早い段階で成功体験を得られるようにします。
また、顧客の意思決定者や導入推進者を特定し、関係を構築することが、プロジェクトの進行において重要です。定例ミーティングやチャットツールを活用して、リアルタイムの進捗共有を行い、信頼関係を深めていきましょう。
オンボーディングフェーズでは、顧客の課題解決に向けた行動を早い段階から行うことが、製品やサービスの定着に繋がるかを分けるポイントになります。そのため、事前に情報を収集している営業部門との連携は、オンボーディングフェーズにおける顧客との信頼関係の強化を行う上で必須と言えます。
顧客セグメンテーションを行う
オンボーディング施策を顧客にあわせて適切に行うには、顧客セグメンテーションが重要になります。セグメンテーションとは、業界、企業規模、導入目的、利用頻度など、顧客が持つ属性を基に分類し、個別化された施策を実施するための手法です。
顧客セグメンテーションを行うことで、顧客のニーズや特性に応じたオンボーディング施策を計画できます。また、事前に設計されたセグメントに応じてリソースを適切に配分できるようになるため、オンボーディング施策に掛ける工数を最適化することができます。
基準 | 例 |
---|---|
企業規模 | 従業員数、売上高 |
業界 | 製造業、サービス業、IT業界など |
契約プラン | プレミアム、 ミドル、ライト など |
顧客フェーズ | 導入期、定着期、拡大期 |
利用頻度 | 毎日利用、週1回利用、月1回利用 など |
顧客セグメンテーションを効果的に行うには、適切な軸を選ぶことが重要です。企業規模や業界などの顧客属性や、利用頻度や契約プランなどをもとにセグメントを設計し、顧客の目標や課題に応じた施策を計画します。
顧客セグメンテーションは、顧客の課題を把握し、適切なオンボーディング施策を早期に提供するために有効です。顧客に応じた適切な支援を行うために、自社に適した顧客セグメンテーションの軸を設定しましょう。
オンボーディング施策のタッチモデルを選択する
カスタマーサクセスにおけるオンボーディング施策を効率的に行うには、顧客ごとに適切なタッチモデルの使い分けが効果的です。タッチモデルは、顧客の契約プランや企業規模などのセグメントをもとに、サポートの頻度や内容を調整する手法です。
タッチモデルを活用することで、効率的なリソース配分と顧客満足度の向上が期待できます。タッチモデルには、大きく分けてハイタッチ、ロータッチ、テックタッチの3つがあります。
タッチモデル | 対象 | 対応 |
---|---|---|
ハイタッチ | 導入規模が大きくカスタマイズが必要な高LTV顧客 | 専任担当者による電話やビデオ会議による1対1のサポート |
ロータッチ | 標準的な機能を利用するミドル層顧客 | メールやウェビナーなどを活用した1対複数のサポート |
テックタッチ | 小規模顧客やサポート頻度が少ない顧客 | チャットボットやFAQなど、テクノロジーを活用した自動化サポート |
たとえば、契約金額が高いプレミアム顧客には、専任担当者による1対1のサポートなどのハイタッチを選択します。一方、標準機能のみを利用するミドルレンジ顧客にはロータッチによる対応を選択し、FAQや定期的なニュースレターを通じて必要な情報を提供します。
また、掲示板やオンラインコミュニティを利用して顧客同士が互いにサポートし合う「コミュニティタッチ」も効果的です。他のタッチモデルと組み合わせることで、より充実したオンボーディング体制の構築を期待できます。
なお、タッチモデルは、顧客ニーズや状況に応じて柔軟に調整することが重要です。定期的なコミュニケーションやデータの活用により顧客の状況を把握し、適切にタッチモデルを切り替えるようにしましょう。
カスタマーサクセスが行うオンボーディングの手順
カスタマーサクセスによるオンボーディングの実行手順を4つのステップにわけて解説します。
【カスタマーサクセスによるオンボーディングの手順】
- オンボーディング完了の基準を顧客と確認する
- 顧客の課題や業界への理解を深める
- オンボーディングの施策を決定する
- フィードバックを収集し改善を行う
1. オンボーディング完了の基準を顧客と合意する
オンボーディングを成功に導くためには、完了基準を顧客と共有し、期待値をすり合わせることが重要です。顧客との共通認識にすることで、期待していた支援に達しないことを避けることができます。
オンボーディングの完了基準は、基本設定の完了や重要な機能の利用開始など、顧客が目指すゴールを具体的に示したものです。
ステップ | 具体的な内容 |
---|---|
完了基準の明確化 | 顧客との事前合意や客観的な指標の設定を行い、成功の定義を共有する |
進捗状況の可視化 | ダッシュボードやチェックリストを活用して、進捗を視覚的に確認できる状態を提供する |
定期的な進捗確認 | 進捗共有ミーティングやフィードバック収集を通じて、必要に応じたカスタマイズを実施する |
完了確認ミーティング | 成果の振り返りや期待値とのすり合わせを行い、今後の展望を共有する |
ドキュメントとサポート体制の整備 | まとめ資料やFAQを共有し、継続的なサポート体制を確認する |
アンケートの実施 | 顧客満足度を測定し、改善点を把握するためのフィードバックを収集する |
完了基準を確認する際は、ヒアリングシートを事前に作成しておくことで、顧客が求める具体的な成果を認識の相違なく記録できます。
たとえば、「全ての基本設定が完了している」「主要機能が問題なく利用可能である」といった条件をリスト化することで、基準が明確化されます。
また、進捗状況を可視化するダッシュボードを提供することで、オンボーディング全体の見える化を進める効果も得られます。進捗状況はWBS(Work Breakdown Structure)などで可視化し、「いつまでに完了しておくべきなのか」という合意を得ることで、顧客側にも完了に向けたコミットメントを意識づけすることが可能です。
なお、オンボーディングの完了後は、期待値に沿った成果が達成されたかを確認し、次のステップへの展望を共有することが重要です。このようなプロセスを丁寧に実行することで、顧客が製品やサービスの価値を早期に実感でき、利用率の向上へ繋がります。
完了基準に到達しない顧客のフォローアップ戦略
顧客がオンボーディング完了基準に到達しない場合は、早い段階でフォローアップを行う必要があります。
たとえば、基本設定でつまずいている顧客には設定代行を提供し、スムーズな導入を支援します。また、進捗が遅れている理由が操作方法の理解不足であれば、補足的なトレーニングやウェビナーを開催し、顧客のリテラシー向上を図ることが有効です。
さらに、進捗状況を可視化するダッシュボードを活用し、顧客自身が現状を把握できる仕組みを提供します。これにより、顧客は自身の進行状況を確認しやすくなり、モチベーションの向上につながるでしょう。
2 . 顧客の課題や業界への理解を深める
カスタマーサクセスの担当者は、オンボーディング施策を適切に実行するために、顧客の課題や業界への理解を深めていく必要があります。顧客が抱える具体的な課題や業界特性を把握することで、製品やサービスの価値を的確に伝えられ、顧客のニーズに応じた適切なサポートが可能になるためです。
顧客の課題や業界を理解することは、顧客の満足度を高めるだけでなく、継続的な信頼関係の構築にもつながります。顧客理解を深めるためには、顧客へのヒアリングや、業界理解のための調査などが効果的です。
項目 | 具体的な内容 |
---|---|
利用者の確認 | 顧客社内で製品を使用する担当者やチームのリテラシーを確認し、スキルに応じたトレーニングやサポートを準備する |
ヒアリングの実施 | 顧客のニーズや課題を詳細に聞き取り、解決策の具体化と施策提案を行う |
業界知識の習得 | 業界特有の専門用語や課題を理解するため、競合調査や業界イベントへの参加を通じて知識を深める |
たとえば、顧客の業界の技術トレンドや競合サービスに関する情報を把握しておくことで、顧客とのコミュニケーションがスムーズになります。また、顧客社内の担当者のスキルレベルやリテラシーに応じたトレーニングを行うことで、顧客に適した内容のオンボーディング施策を実行できます。
顧客や業界特性を理解することで、顧客にパーソナライズした柔軟な施策を展開できます。こういった柔軟な対応や日々のコミュニケーションから顧客を理解しようとする姿勢を示すことが、顧客との信頼関係構築に繋がるでしょう。
3. オンボーディングの施策を決定する
顧客のセグメントやヒアリングした課題などをもとに、オンボーディング施策を適切に選定する必要があります。顧客によって社内の環境やリテラシーが異なるため、画一化された施策では、十分に対応できず満足度の低下や初期解約につながってしまう可能性があるためです。
オンボーディング施策を選定する際は、顧客セグメントや抱えている課題に応じて、どのようなタッチモデルで提供するのが適切かも決めておきましょう。
施策 | 具体的な内容 | 適用モデル |
---|---|---|
進捗状況の可視化 | 進捗バー、チェックリスト、パーソナライズされたメッセージを活用し、進行状況を共有 | テックタッチ ロータッチ |
設定代行 | 基本設定や高度な設定を代行し、顧客の初期負担を軽減 | ハイタッチ |
マニュアル送付 | 操作マニュアル、FAQ、動画チュートリアルを提供 | ロータッチ テックタッチ |
初期設定のサポート | ライブチャットやチケットシステム、ナレッジベースを活用して顧客の初期設定 | ロータッチ テックタッチ |
ウェビナーの実施 | ライブウェビナーやオンデマンドウェビナー | ロータッチ |
情報提供メール | ニュースレターや成功事例の共有 | テックタッチ |
専任担当者によるコンサルティング | 定期的なフォローアップやプラン提案 | ハイタッチ |
たとえば、提供する製品の設定の複雑さに不安を抱える顧客には「設定代行」や「初期設定のサポート」を組み合わせることで、導入プロセスを円滑に進めることができます。一方で、リテラシーが高く、自己解決が可能な顧客には「マニュアル送付」や「FAQ」を提供し、効率的なサポートを行います。
また、オンボーディングの進捗状況の定期確認も必要です。顧客からのフィードバックを基に施策を改善することで、オンボーディング施策の精度を高められます。特に、早期に顧客が製品やサービスを通じた成功体験を得られるようにできれば、導入期での離脱を防ぐことに繋がります。
オンボーディング中のトラブルを想定しておく
オンボーディング中にトラブルが発生した場合、初期対応が顧客満足度を左右します。そのため、オンボーディング施策中に起こり得る問題を想定して、対応フローを事前に準備しておくことが重要です。
たとえば、製品やサービスのトレーニング中にシステムエラーや画面のフリーズ、アクセス障害が発生した場合、プロダクトチームへの迅速なエスカレーションが必要になります。
また、社内の関係部署と連携する際に情報の過不足を防ぐために、問題の詳細や顧客の要望をテンプレート化し、漏れなく伝えられるような仕組みを整えておくとよいでしょう。
トラブル解決後には、速やかに顧客へ対応の内容や成果を説明し、顧客に不信感を残さないようにしましょう。トラブル発生時の対応を想定しておくことで、オンボーディング施策のスムーズな進行と顧客体験の向上が期待できます。
4. フィードバックを収集し改善を行う
オンボーディングのプロセスを継続的に改善していくため、顧客からのフィードバックを効果的に収集し、適切なアクションを迅速に実行することが重要です。顧客との接点が多いカスタマーサクセスは、フィードバックの収集だけではなく、必要に応じて社内で適切な部署(開発部門やサポートチームなど)と連携することも重要な役割です。
方法 | 期待される効果 |
---|---|
NPSを使用したアンケート | ・顧客ロイヤリティを定量的に評価 ・対応品質に対する満足度を把握し、具体的な改善アクションを策定 |
インタビュー | ・プロダクトの改善点把握 ・それぞれの顧客が抱えている課題を収集し、セグメント別の課題解決プランを設計 |
チャットログ分析 | ・頻出している質問を特定し、FAQを改善する ・問題解決までの時間を把握し、エスカレーションフローを最適化 |
顧客行動トラッキングやヒートマップ分析 | ・UI/UXの観点で顧客が迷いやすい部分を特定し、プロダクトデザインを改善 ・注目されている箇所を把握し、チュートリアルやサポート体制を改善 |
たとえば、NPS調査で低評価を受けた顧客には迅速なフォローアップを実施し、不満点を個別にヒアリングする機会を設けることで対応策を計画します。また、チャットログを分析して頻出する課題を特定し、FAQや動画チュートリアルの内容を改善することで、顧客が自己解決できる環境を構築します。
さらに、プロダクトに関するフィードバックは開発部門に連携しプロダクトマーケットフィット(PMF)の促進に活用します。開発部門と専用の共有方法や、定期会議で改善進捗の確認を仕組み化するなど、カスタマーサクセスを起点とした改善サイクルを構築しましょう。
カスタマーサクセスがフィードバックを収集し、改善サイクルを継続することで、オンボーディングプロセス全体の品質向上が期待できます。製品やサービスの価値を顧客に実感してもらうために、フィードバックの収集と改善を繰り返しましょう。
オンボーディングのKPIを計測して改善に活かす
カスタマーサクセスのオンボーディングを成功させるためには、カスタマーサクセス全体の指標とは別に導入期のKPIを設定し、進捗状況や成果を把握することがポイントです。KPIによってオンボーディングの効果を定量的に振り返ることができるため、課題の特定や施策の改善に役立ちます。
ここでは、オンボーディングフェーズにかかわるKPIを中心に紹介します。
KPI | 内容 |
---|---|
オンボーディング完了率 | オンボーディングを完了した割合 |
アクティベーション率 | 製品やサービスを実際に使い始めた割合 |
ネットプロモータースコア(NPS) | 商品やサービスに対する信頼を測る指標 |
オンボーディング中の離脱率 | オンボーディング期間内に顧客がサービスを解約した割合 |
平均解約時間 | 顧客が解約するまでの平均時間 |
顧客満足度(CSAT) | 顧客が製品やサービスにどれだけ満足しているか |
平均応答時間 | 問い合わせや要望に対して回答するまでにかかった時間 |
オンボーディングフェーズのKPI設定方法
カスタマーサクセスのオンボーディングにおいて、KPI(重要業績評価指標)を設定する際は、まず達成したい目標を明確にすることが重要です。
たとえば、「オンボーディング完了率」を向上させることを目標としている場合、顧客が製品やサービスを価値あるものだと感じた瞬間を測定するために「アクティベーション率」を計測します。
計測するアクションには、チュートリアルを最後まで完了することや、ダッシュボードで初回データを入力することなどが含まれます。これらのアクションは、製品やサービスの価値を顧客に体感してもらうために重要です。
なお、KPIの設定では、会社として改善を図りたい数値に焦点を当てることが重要ですが、KPIを増やしすぎると管理が複雑化し、業務負荷が高まる可能性があります。自社の顧客の特性やフェーズなどを考慮して、比重を置くべきKPIを設定し、定期的にその達成状況を確認することで、効率的にPDCAを回し、オンボーディング施策の精度を高めていきましょう。
KPIデータを活用した分析と改善方法
カスタマーサクセスにおけるオンボーディングを効果的に進めるためには、KPIデータの収集と可視化が必要です。ダッシュボードなどを活用することで、オンボーディングプロセス全体の状況を一目で確認できるようになります。
可視化したKPIデータは、定期的に確認し、基準を下回る値が見られた場合には、改善策を検討します。
たとえば、オンボーディング中の解約率が増加している場合、オンボーディングプロセスが複雑化していないか、または顧客のニーズに合った内容が提供されているかを見直します。
なお、KPI分析は個人で完結させるのではなく、組織全体で共有することが重要です。カスタマーサクセスにおけるオンボーディングの改善を継続的に行えるように、月次定例会でのデータ共有など、KPIの分析や改善を振り返るための仕組み作りをしましょう。
まとめ
カスタマーサクセスにおけるオンボーディングは、顧客が製品やサービスをスムーズに導入し、早期に価値を実感できるよう支援するプロセスです。オンボーディングの目的は、顧客が初期の成功体験を得られる環境を整えることで、長期的な関係構築の基盤を築くことにあります。
オンボーディングは、顧客ライフサイクルにおける最初の接点であり、その成否がその後の顧客体験や継続率に影響します。オンボーディングを通じて、顧客の利用開始を円滑にし、期待値の調整や初期の課題の解決を行うことで、信頼関係が構築されます。
さらに、効果的なオンボーディングは、「顧客満足度の向上」「初期解約率の低減」「顧客ロイヤリティ」の強化にもつながります。
このように、オンボーディングは、製品やサービスを通じて顧客の成功を支援するための最初の接点になるため重要な取り組みです。顧客のオンボーディングを最適化し、早期に製品やサービスの価値を実感してもらうことで、結果的に自社のビジネス全体の成功に繋げることができます。
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