カスタマーサクセスで重視される12のKPIと設定の手順を解説
カスタマーサクセスに携わることになり、KPIの種類を把握したいケースもあるでしょう。また、設定するべきKPIの選定に迷っているカスタマーサクセスの担当者もいるのではないでしょうか。
当記事では、カスタマーサクセスで重視される12のKPIや設定手順に関して解説します。自社の商品やサービスにマッチするKPIを設定する際の参考にしてください。
カスタマーサクセスにKPIを設定する理由
カスタマーサクセスにKPIを設定する理由は、「顧客満足度の向上」「施策の効果測定と改善」「目標達成度と評価基準の設定」の3点です。
KPIを設定することで、まず顧客価値を可視化し、その価値が適切に届いているかを把握できます。次に、設定したKPIで施策の有効性を確認し、継続的な改善活動を進められます。さらに、チーム全体の目標達成度を明確な基準で評価し、成果の向上につなげられます。
たとえば、アップセル率、クロスセル率、オンボーディング完了率は、顧客の製品活用度や満足度を示す指標です。これらの指標をもとに、顧客体験を向上させるための具体的な改善策を立案できます。
このように、適切なKPIの設定により、顧客満足度の継続的な向上を図り、長期的な信頼関係と事業成長を実現できます。
カスタマーサクセスで重視される12のKPI
カスタマーサクセスに設定するKPIは複数あります。当記事では、カスタマーサクセスで重視される12のKPIを活動の目的に応じて「成果を測る指標」「顧客の満足度を測る指標」「日々の活動を測る指標」の3種類に分類して紹介します。
成果を測る指標 | 顧客の満足度を測る指標 | 日々の活動を測る指標 |
---|---|---|
・解約率(チャーンレート) ・顧客維持率(リテンションレート) ・アップセル・クロスセル率 ・LTV(顧客生涯価値) ・NRR(売上継続率) | ・NPS®(顧客推奨度) ・CSAT(顧客満足度) ・口コミ・レビューサイトでの投稿獲得数 | ・オンボーディング完了率 ・CSQL(Customer Success Qualify Lead) ・アクティブユーザー数 ・セッション時間 |
成果を測る指標
カスタマーサクセスの取り組み成果を定量的に評価するために設定するKPIです。これらのKPIを定期的にモニタリングすることで、戦略や施策の調整に活用できます。適切にモニタリングされた指標をもとに、リソースの投入先や重点施策を明確化し、担当者の業務改善にも繋げることができます。
【成果を測る指標】
- 解約率(チャーンレート)
- 顧客維持率(リテンションレート)
- アップセル・クロスセル率
- LTV(顧客生涯価値)
- NRR(売上継続率)
解約率(チャーンレート)
解約率(チャーンレート)は、顧客がサービスを解約した割合です。解約率には、判断基準の異なる以下の2種類があります。
解約率の種類 | 判断基準 | 算出方法 |
---|---|---|
1.カスタマーチャーンレート | 顧客数 | 解約件数 ÷ 契約件数 × 100 |
2.レベニューチャーンレート | 売上額 | 単価 × 解約件数 ÷ 売上高 × 100 |
解約率が低いほど、顧客による継続的なサービスの利用と安定した収益が見込めます。また、解約理由を把握することで、顧客ニーズの理解や収益改善に役立ちます。
解約率にもとづき、カスタマーサクセス戦略における収益や成長面の見通しを立てたり、データにもとづく意思決定に役立てられます。
顧客維持率(リテンションレート)
顧客維持率(リテンションレート)は、一定期間中に契約している顧客の割合を示す指標です。「顧客定着率」や「CRR(User Retention Rate)」とも称されます。
顧客維持率は、一般的に「(期間開始時の顧客数-期間中に獲得した新規顧客数)÷期間開始時の顧客数×100」で算出されます。
顧客維持率を算出することで、既存顧客がどれだけ維持されているかを定量的に評価できます。さらに、顧客維持率と解約率は相対関係にあり、顧客維持率が高いほど解約率が低くなります。
顧客維持率は、離脱リスクが高まっている顧客への早期アプローチを行う際に役立ちます。また、既存顧客からの更なる利益獲得に向けた提案の検討にも活用できます。
顧客維持率の継続的な改善により、顧客の維持と収益の最大化を図ることが可能になります。
アップセル・クロスセル率
アップセル・クロスセル率は、複数のプランを提供している場合に設定されるKPIです。アップセルは、顧客に対して利用中のプランから単価の高い上位プランへの移行を促すことを指します。クロスセルは、顧客に対して利用中のプランに加えて、オプションや関連サービスの購入や契約を促すことを指します。
概要 | 算出方法 | |
---|---|---|
アップセル率 | 上位プランへと変更した顧客の割合 | 上位プランへ変更した顧客数 ÷ 全顧客数 × 100 |
クロスセル率 | 別サービスやオプションに契約した顧客の割合 | サービスやオプションを契約した顧客数 ÷ 全顧客数 × 100 |
アップセル・クロスセル率を指標とすることで、上位プランへの移行を促す施策や、追加オプション契約時の割引提供、保証期間延長などの付加価値施策を検討できます。
なお、カスタマーサクセスにおいてアップセルやクロスセルは、顧客が抱える課題を解決していく手段として提案します。顧客の成功に繋がるアップセル・クロスセルを提案する事で、結果として自社の顧客単価が向上し、収益拡大につなげることができるでしょう。
LTV(顧客生涯価値)
LTV(顧客生涯価値)は、Life Time Valueの略称で、個々の顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益のことです。LTVは、特にサブスクリプション型のビジネスで重要となる指標です。LTVの算出方法はいくつかあるため、自社の商品やサービスに合ったものを採用しましょう。
【LTVの算出方法】
①購入単価×購入頻度×契約継続期間
②MRR×売上総利益率÷顧客月次チャーンレート
一般的に、顧客ロイヤリティが高い顧客ほどLTVが向上する傾向があります。そのため、LTVは、顧客ロイヤリティと関連が深いカスタマーサクセスの成果を図る際に用いられることが多い指標です。
LTVの向上には「顧客単価の向上」「リピート購入の促進」「継続的な契約」を図る施策が有効です。
LTVは、優良顧客の特性や、顧客維持にかかるコストやマーケティング投資の判断基準として活用できます。このKPIを活用することで、LTVが高い顧客を増やすための戦略を立てやすくなり、長期的な収益向上の指標として役立てられるでしょう。
NRR(売上継続率)
NRR(売上継続率)は、Net Retention Revenueの略称で、一定期間における既存顧客からの収益がどのくらい維持できているかを示す指標です。
【NRR(売上継続率)の算出方法】
(前年度の顧客の今月のMRR – 解約・ダウングレードによるMRR + アップセル・クロスセルによるMRR) ÷ 前年度の顧客の同月のMRR × 100
この指標は、解約やダウングレード、アップセル・クロスセルの影響を考慮して算出されます。
MRR(Monthly Recurring Revenue)は、「月次計上収益」を意味し、毎月継続的に得られる収益を指します。
NRRが100%以上であれば、既存顧客からの収益が増加していることを意味し、顧客との関係が良好であることが示唆されます。一方で、NRRが100%以下であれば、解約やダウングレードによる収益減少がアップセルやクロスセルで補えていないことを示します。この場合、既存顧客に向けた施策を見直し、改善を検討する必要があります。
顧客の満足度を測る指標
顧客満足度・ロイヤリティ指標を計測するためのKPIです。これらのKPIを設定することで、顧客が自社の製品やサービスに対してどの程度満足しているかどうかを把握できます。
【顧客の満足度を測る指標】
- NPS®(顧客推奨度)
- CSAT(顧客満足度)
- 口コミ・レビューサイトでの投稿獲得数
NPS®(顧客推奨度)
NPS®(顧客推奨度)は、Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の略語です。ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
NPS®は、「顧客推奨度」「正味推奨者比率」など顧客ロイヤルティを数値化するための指標で、アンケート調査で数値を算出するのが一般的です。NPS®から顧客の満足度やロイヤルティを把握し、改善が必要なサービス領域を特定できます。
【NPS®の算出方法】
推奨者(9~10を選んだ顧客の割合)-批判者(0~6を選んだ顧客の割合)
NPS®が高い顧客(推奨者)に対しては、紹介プログラムやロイヤルティプランを提案し、継続的な関係構築を図ります。一方、NPS®が低い顧客(批判者)には、顧客からのフィードバックをもとに迅速な対応や改善策を実施し、ポジティブな体験に繋げられるようにします。
CSAT(顧客満足度)
CSAT(顧客満足度)は、Customer Satisfactionの略称で、商品やサービスを利用した顧客の満足度を示します。
CSATは、ユーザーや顧客に対するアンケート調査などで「非常に満足」「満足」「普通」「不満」「非常に不満」などの5段階〜10段階の回答によりスコアとして数値化した指標です。この指標により、顧客体験やリテンション率の向上に向けた施策を検討できます。
【CSTATの算出方法】
「非常に満足」と「満足」を選んだ顧客数÷回答した総顧客数×100
CSATスコアを定量的に把握することで、顧客がどのプロセスや要素に満足しているか、不満を感じているかを分析できます。また、数値の推移を追跡することで、施策の効果を評価したり、問題点の早期発見に役立てます。さらに、満足度が低い領域では、顧客のフィードバックをもとに迅速な改善施策を立案し、顧客体験の質を向上させます。
口コミ・レビューサイトでの投稿獲得数
口コミ・レビューサイトでの投稿獲得数は、SNSなどでの投稿の獲得数を指標とするものです。これにより、顧客の満足度やブランドの認知度、信頼度を定量的に把握できます。
たとえば、投稿数を増やすためのインセンティブ施策やSNSキャンペーンの検討に活用できます。
また、レビューサイトや口コミの内容を分析することで、見込み顧客の獲得や問い合わせなどにつながるマーケティング戦略や他社との差別化を図るための商品改善にも役立てることができます。
日々の活動を測る指標
カスタマーサクセスチームの日々の進捗や顧客との関わりをリアルタイムで把握するために設定するKPIです。
【日々の活動を測る指標】
- オンボーディング完了率
- CSQL(Customer Success Qualify Lead)
- アクティブユーザー数
- セッション時間
これらのKPIを設定することで、短期的なスパンでカスタマーサクセス活動を評価し、カスタマーサクセスチームの業務効率や顧客とのエンゲージメント率を確認できます。
オンボーディング完了率
オンボーディング完了率は、顧客がサービスを導入し、運用を開始するまでの初期プロセス(オンボーディング)の完了割合を示す指標です。オンボーディング完了の基準は「サービスの設定完了」や「初回利用の実施」「トレーニングの受講」など、事前に定めた活動の達成状況です。
【オンボーディング完了率の算出方法】
オンボーディングが完了した企業数 ÷ オンボーディング期間の全企業数× 100
オンボーディング完了率が低い場合、顧客が早期にサービスを利用開始できていない可能性があります。オンボーディング完了率が低い顧客に対しては、早期離脱防止や長期利用の促進に向けた施策としてプロセスの改善やサポート体制の強化などを検討しましょう。
なお、運用を開始するための初期プロセスを示す「オンボーディング」の概要を確認したい方は、「カスタマーサクセス オンボーディング」を参考にしてください。
CSQL(Customer Success Qualify Lead)
CSQLは、カスタマーサクセス部門が特定した、アップセルやクロスセルなど次のアクションに進む可能性が高い既存顧客を指します。
CSQLを測定するには、たとえば「カスタマーサクセスチームが特定したリードの中で、実際にアップセルやクロスセルに進んだ顧客の割合」を指標とします。
CSQLは、カスタマーサクセスによってアップセルやクロスセルの機会を見つけやすい顧客であり、収益の向上が期待できる顧客であるため、優先的なアプローチが効果的です。
アクティブユーザー数
アクティブユーザー数の定義は、事業内容によって異なりますが、サービスを積極的に利用している顧客の数を指します。
【アクティブユーザー数の例】
- 一定期間内に1回以上ログインしたユーザー数
- 一定のアクション(購入、コンテンツ閲覧、機能使用など)を起こしたユーザー数
一般的には、DAU/MAUなど一定期間内に1回以上ログインしたユーザーや、購入、コンテンツ閲覧、機能使用など一定のアクションを起こしたユーザーを、アクティブユーザーとしてカウントします。
Webサイトのアクティブユーザー数と非アクティブユーザー数の比較により、ロイヤルカスタマーに対する特典の導入やオンボーディングの実施などの施策を検討します。
セッション時間
セッション時間は、サービスを利用している時間のことです。ユーザーがログインしてからログアウトまで、または一定時間操作がない状態になるまでの継続時間を指します。セッション時間は、SaaSなどのクラウドサービスで重要視される傾向がある指標です。
一般的に、セッション時間が短いほどユーザーがサービスを十分に活用していない可能性があり、解約リスクが高くなります。逆に、セッション時間が長いほど、サービスの依存度や満足度が高い可能性があり、顧客のニーズを満たせていることが想定できます。
セッション時間は、他のKPIと結び付けてデータ分析に活用できます。たとえば、セッション時間が短いほど解約率が高くなっている傾向がある場合「セッション時間と解約率が相対関係にある」といった仮説検証ができるようになります。
カスタマーサクセスにおけるKPIの設定手順
ここでは、カスタマーサクセスにおけるKPIの設定手順を3ステップに分けて解説します。
【カスタマーサクセスにおけるKPIの設定手順】
STEP1: データを収集しセグメント化する
STEP2: 課題の仮説を立てて検証を行う
STEP3: 特定した課題からKPIを設定する
STEP1: データを収集しセグメント化する
カスタマーサクセスのKPIを設定する際は、まず顧客データを収集し、適切にセグメント化することが重要です。セグメント化とは、顧客の特徴や基準にもとづいていくつかのグループに分ける作業です。顧客の特徴ごとの課題を特定しやすくなるため、適切なKPIの設定が行えるようになります。
まずデータ収集には、CRMツールやアンケートを活用し、契約期間や利用頻度、サポート履歴などの情報を収集します。CRMツールを使用している場合は、顧客データから必要と判断した項目を抽出することでデータを揃えることが可能です。
次にセグメント化は、企業規模や契約期間、業界、利用フェーズといった基準で分類します。セグメントの分け方に基準はないため、自社の提供するサービスの料金体系や契約形態に応じて設定しましょう。
項目 | セグメント例 |
---|---|
企業規模 | エンタープライズ / SMB |
契約期間 | 1年未満 / 1年以上 |
利用フェーズ | 導入期 / 定着期 / 拡大期 |
STEP2: 問題を分析し課題を設定する
カスタマーサクセスのKPIを適切に設定するには、各セグメントの問題を特定し、その原因を検証することが必要です。顧客の属性や行動データで区分し、セグメントごとに問題と課題を明確にします。
【KPI設定に向けた課題設定と検証のステップ例】
- 顧客セグメントごとの問題を特定する
- 問題の原因を仮説として設定する
たとえば、エンタープライズ顧客の「オンボーディングの完了率が低い」という問題を発見したとします。この問題に対し、「導入プロセスの複雑さが原因である」という仮説を立て、検証します。
検証の結果、仮説が正しいと判明した場合、「導入プロセスの簡略化」を課題として設定し、それに基づいてKPIを設計します。たとえば「完了率を1ヶ月以内に10%向上させる」という具体的な目標を設定し、その進捗を定期的にモニタリングします。
STEP3: 設定した課題に基づきKPIを決定する
特定した問題と設定した課題をもとに、適切なKPIを設定することが、カスタマーサクセスの成果を向上させる重要なステップです。課題が明確であるほど、具体的な指標を設定しやすくなります。
たとえば、エンタープライズ顧客の「オンボーディングの完了率が低い」という問題に対し、「導入プロセスの簡略化」という課題を設定した場合、「オンボーディング完了率」や「初回ログイン率」をKPIとして設定し、進捗をモニタリングします。
KPIは顧客ライフサイクルごとに異なる指標を設定することで、より細かな顧客支援が可能になります。
フェーズ | 目的 | KPI |
---|---|---|
導入期 | 顧客が製品をスムーズに使い始める | – オンボーディング完了率 – 初回ログイン率 – 初期サポートリクエスト数 – 初期エラー率 |
定着期 | 顧客が製品を効果的に活用し価値を実感する | – アクティブユーザー率 – 機能利用率 – 継続利用率 – 月次ログイン率 – 製品推奨意向 |
拡大期 | アップセルやクロスセルでさらなる価値を提供 | – アップセル率 – クロスセル率 – アップセル受注額 – クロスセル受注件数 – リファラル数 |
このように、課題に対して適切なKPIを設定することで、カスタマーサクセスの活動においてボトルネックになっている箇所を特定しやすくなります。また、KPIの進捗を定期的に確認することで、取り組みの成果を把握できます。これによりPDCAサイクルを回し、施策の改善を進めやすくなります。
カスタマーサクセスのKPIを達成するために意識するポイント
カスタマーサクセスのKPIを達成するために意識する3つのポイントをそれぞれ解説します。
【カスタマーサクセスのKPIを達成するために意識するポイント】
- 部門間で連携しながらKPIを共有・運用する
- 顧客や自社の状況に応じたKPIの進捗を管理する
- KPIの達成度に応じた評価と改善を行う
部門間で連携しながらKPIを共有・運用する
設定されたKPIを達成するためには、自社の他部門との連携も必要です。特に、顧客接点の多いフィールドセールスやカスタマーサポートと共通理解を持って運用することが重要になります。
カスタマーサクセスは、顧客が「誰と接点を持ったか」や「どの施策が有効だったか」のデータを正確に蓄積し、他部門へ共有する流れを仕組み化して連携を取ります。
また、関連部門全体で共通認識を持つために、営業部門全体で追跡するKPIを明確にしておくことも重要です。たとえば、CSAT(顧客満足度)は、商談段階で設定された期待値や、カスタマーサクセスによる支援内容など、影響を与える活動が多いため営業部門全体で管理する必要があります。
なお、部門間での情報共有には、顧客情報を一元管理できる顧客管理システム(CRM)の活用が効果的です。また、問い合わせ管理システムやNPSツールを活用することで、顧客満足度を確認しながら、プロダクトマーケットフィット(PMF)を促進することもできます。
顧客や自社の状況に応じたKPIの進捗を管理する
カスタマーサクセスのKPIは、自社の状況や顧客のライフサイクル、企業規模などのセグメントに合わせて定期的に確認することが重要です。
たとえば、新サービスをローンチした場合、優先的に確認すべき指標として「オンボーディング完了率」や「製品の利用頻度」が挙げられます。一方、製品やサービスの導入が完了した定着期の顧客では「アクティブユーザー数」や「セッション時間」を重点的に追跡することが効果的です。
また、カスタマーサクセスでは、KPIが達成されていても顧客の満足度や感情が伴わないケースがあります。このような状況を避けるために、顧客からのフィードバック(定性データ)をKPI(定量データ)と併せて評価することが重要です。これにより、表面的な数字のみに依存せず、顧客体験全体を考慮した進捗管理が可能となります。
KPIの達成度に応じた評価と改善を行う
KPIを達成するためには、カスタマーサクセスの活動成果を評価し、改善施策を立案するプロセスを繰り返しながら、PDCAサイクルを構築する必要があります。評価を行う際は、KPIの数値だけに注目するのではなく、カスタマーサクセスの活動が顧客満足や解約防止にどのように寄与したかを分析することも重要です。
たとえば、解約率が減少した場合、その要因が適切なオンボーディングによる顧客の早期定着だったのか、迅速な問い合わせ対応だったのか、またはその他の要因があったのかを分析します。これによって、オンボーディングプログラムの見直しや、FAQの充実など、具体的な改善策を立案することが可能になります。
なお、顧客アンケートやフィードバックをもとに、新たに計測すべき要素を見直し、KPIに反映することも重要です。顧客視点を取り入れた見直しによって、数値では捉えにくい顧客の体験や期待値を明らかにすることが可能です。
まとめ
カスタマーサクセスにKPIを設定する理由は、顧客満足度の向上のためです。また「施策の効果測定と改善」「目標達成度と評価基準の設定」を目的にKPIを設定します。
カスタマーサクセスに設定するKPIは複数あり「成果を測る指標」「顧客の満足度を測る指標」「日々の活動を測る指標」といった活動目的によって分類することができます。
さらに、KPIを運用するには、データにもとづいた評価と改善施策の立案を繰り返す必要があります。PDCAサイクルを活用して継続的に取り組むことで、単なる数値目標にとどまらず、顧客体験を向上させる具体的な成果を得ることができます。
KPIは顧客視点を取り入れた柔軟な管理が必要です。顧客からのフィードバックを改善案に取り入れることで、カスタマーサクセスの活動の質を高め、顧客の成功に向けてより良い体験を提供できるようになります。
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