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カスタマーサクセス
基礎知識

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを6つの視点に分けて解説

カスタマーサクセスとカスタマーサポート、それぞれの明確な違いを把握しきれていないケースも少なからずあるでしょう。カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、業務内容だけでなく複数の点で違いがあります。
当記事ではカスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いを6つの視点から解説します。それぞれの違いを明確に把握し、導入やどちらに比重を置くか検討する際の参考にしてください。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの6つの違い

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは職務が異なる部門です。いずれも顧客を支援する活動である点は共通するものの、活動目的をはじめとして6つの違いがあります。

【カスタマーサクセスとカスタマーサポートの6つの違い】
カスタマーサクセスカスタマーサポート
活動目的・顧客によるサービスの利用開始時
・能動的(プロアクティブ)
・顧客が抱えている問題点の解決
・顧客の疑問や不満が生じた時
・受動的(リアクティブ)
活動起点・姿勢・顧客によるサービスの利用開始時
・能動的(プロアクティブ)
・顧客の疑問や不満が生じた時
・受動的(リアクティブ)
業務内容・顧客の成功に向けた支援活動・問い合わせ対応
・クレーム対応
自社における役割・売上創出(営業活動)・顧客維持(ヘルプデスク・コールセンター)
設定するKPIの例・チャーンレート(解約率)
・LTV(顧客生涯価値)など
・顧客満足度
・対応件数など
顧客との接点や関係性・長期的な信頼関係の構築・迅速かつ正確な対応
担当者に求められるスキル・戦略的思考力
・データ活用力
・コミュニケーション能力、顧客志向
・共感力
・業務効率化スキル
・コミュニケーション能力、顧客志向

なお、カスタマーサポートは、製品に関する技術的な支援を中心に行うため、テクニカルサポートと呼ばれる場合もあります。

活動目的

カスタマーサクセスの活動目的は、顧客の成功体験に貢献することです。顧客が把握できていない課題点を抽出し、解決に向けた支援を実施します。顧客からのフィードバックを自社に持ち帰り、フィードバックサイクルの起点になります。

カスタマーサクセスは、効果的に行うことで収益増につなげられるため、収益ドライバー(レベニュードライバー)として位置づけられています。

一方、カスタマーサポートの活動目的は、製品やサービスの使用方法や不具合に悩む顧客の問題を解決することが目的であるため、業務が直接的に収益をもたらすわけではありません。場合によってはコストのみ発生する部署であることから、コストセンターと位置づける企業もあります。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、それぞれの活動目的が異なりますが、カスタマーサクセスの目的を達成するための通過点として、カスタマーサポート業務が必要となります。

活動起点・姿勢

カスタマーサクセスの活動は「顧客によるサービスの利用開始」が起点となり、能動的(プロアクティブ)です。顧客が自身で気づけていない課題を発見し、その解決を通じて顧客の成功をサポートすることで、顧客と企業双方にとって持続的な価値を生み出します。

一方、カスタマーサポートの活動は「顧客がサービスの利用中に何らかの疑問や不満が発生した時」が起点となり、受動的(リアクティブ)です。顧客の不満や疑問に迅速に対応することで満足度を維持します。

【カスタマーサクセスとカスタマーサポートの活動と目標】
カスタマーサクセスカスタマーサポート
目標・顧客体験の最適化・顧客の即時的な課題解決
活動の例・オンボーディング支援
→サービスの早期活用を促進し、顧客が価値を実感できる状態を作る

・継続的な価値提案
→顧客の目標達成に向けた戦略的アプローチや新たな活用方法を提案する
・問い合わせ対応
→製品やサービスに関する疑問を解決する

・問題解決
→トラブルシューティングや不具合の迅速な対応を通じて、製品の利用をスムーズにする

いずれの活動も、顧客満足度向上に向け、顧客とのやり取りを通して得た情報を他のチームに共有して商品やサービスの改善に繋げることができます。ただし、顧客に対して具体的なアクションを起こすことは、カスタマーサクセスの役割となります。

カスタマーサポートとカスタマーサクセスは、それぞれ異なる起点で顧客体験をサポートしつつ、連携することでさらなる価値を生み出します。たとえば、カスタマーサポートが対応中に収集したフィードバックや課題をカスタマーサクセスに共有します。カスタマーサクセスはそれらの情報を基に、顧客に対して課題解決策や予防策を提案できるようになります。

このように、カスタマーサポートとカスタマーサクセスの連携により、 短期的な満足(サポート)と長期的な成功(サクセス)を両立させ、製品やサービスの価値を最大化することが可能になります。

業務内容

カスタマーサクセスの業務内容は、顧客の成功に向けた「ライフサイクル全体の支援」です。顧客の目標達成に向けた戦略的アプローチや新たな活用方法の提案など、顧客のライフサイクルに応じた適切な支援を行います。

一方、カスタマーサポートの業務内容は「問い合わせ対応・問題解決」です。顧客が商品やサービスを利用する中で生じた疑問点を解決したり、不具合が発生した際の一次的な対応を行います。

【カスタマーサクセスとカスタマーサポートの業務内容】
カテゴリカスタマーサクセスカスタマーサポート
導入・トレーニング・導入支援
・初期トレーニング
・初期設定に関する問い合わせ対応
利用促進・改善・定期ミーティング
・利用状況モニタリング
・顧客の成功体験に向けた改善提案
・操作説明や仕様に関する質問対応
問題解決・顧客が抱える課題に応じたカスタマイズ提案・トラブルシューティング
・システムエラーや不具合対応
収益拡大・アップセル提案
・クロスセル提案
・顧客満足度向上に伴う契約更新の推進
・対象外(主に既存問題の解消を目的とする)
関係構築・ロイヤル顧客への特典提供
・成果レビューによる信頼関係の構築
・クレーム対応(関係維持が主目的)
ドキュメント管理・活用事例の共有
・顧客に適した活用マニュアルの作成
・FAQの整備
・FAQやトラブル対応マニュアルの更新

なお、カスタマーサクセスによる顧客のオンボーディング支援に関して確認したい方は「カスタマーサクセスのオンボーディングを手順や施策内容とあわせて解説」を参考にしてください。

顧客との接点や関係性

カスタマーサクセスは、継続的なサービスの利用を目的としており、顧客との長期的な信頼関係の構築が必要となる傾向があります。一方、カスタマーサポートは、顧客の疑問や問題点の迅速な解消が求められるため、顧客との接点は短時間かつ単発的です。

【カスタマーサクセスとカスタマーサポートの顧客との接点や関係性】
カスタマーサクセスカスタマーサポート
目的顧客の成功を支援し、収益拡大に貢献する問題解決を通じて、顧客満足度を向上させる
接点の特徴顧客のライフサイクルに合わせて、定期的なフォローアップや提案を行う課題解決を通じて顧客の不安を取り除き、信頼回復を図る
関係性の特徴信頼関係の深化、顧客ロイヤルティの向上顧客体験の質を維持・向上

設定するKPI

カスタマーサクセスの役割は、顧客が製品やサービスを継続的に利用し、最大限の価値を得られるように支援することです。そのため、設定されるKPIも顧客維持や顧客の成長に関する指標が中心となります。カスタマーサクセスでは、顧客との長期的な関係を構築し、収益増加や契約更新率の向上を目指すための指標として「解約率」「継続率」や「LTV(顧客生涯価値)」「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」を設定します。

カスタマーサポートの役割は、顧客の問題を迅速に解消し、満足度を高めることです。そのため、KPIは業務効率や顧客対応の質に重点を置いて設定されます。カスタマーサポートでは、迅速かつ的確な対応が顧客満足度を左右するため、質の高いサポート体制を整えることが重要です。「解決数」「応答時間」「処理時間」「顧客満足度」などを設定することにより、顧客体験の向上を図ると同時に、効率的な業務運営を実現します。

【カスタマーサクセスとカスタマーサポートのKPI】
カスタマーサクセスカスタマーサポート
目的顧客の成功を支援し、収益拡大に貢献する問題解決を通じて、顧客満足度を向上させる
KPI設定における要点顧客維持や顧客の成長業務効率や顧客対応の質
設定するKPIの例解約率、継続率、LTV(顧客生涯価値)、NPS(ネット・プロモーター・スコア)解決数、応答時間、処理時間、顧客満足度

ただし、カスタマーサクセスで設定するKPIは、オンボーディングフェーズや契約更新期など、具体的な活動目的に応じて、柔軟に調整することが重要です。活動目的ごとのKPIを確認したい方は「カスタマーサクセスで重視される12のKPIと設定の手順を解説」を参考にしてください。

担当者に求められるスキル

カスタマーサクセスの担当者は顧客が抱えている課題を抽出し、成功に向けて導くスキルが必要です。顧客の成功をゴールに設定し、長期的な関係構築を視野に入れたプランニング能力が問われる「戦略的思考力」や、顧客の利用データを分析し、施策の効果を測定・最適化する「データ活用力」なども必要となります。

カスタマーサポートの担当者は、顧客から不明点や不満点を明確に割り出し、迅速かつ的確に回答するスキルが求められます。顧客の立場に立って理解し、丁寧に対応する「共感力」や、問い合わせを分類し、優先順位を付けたうえで、チーム全体で効率的に対応できる体制を構築する「業務効率化スキル」などが必要となります。

【カスタマーサクセスとカスタマーサポートの担当者に求められるスキル】
カスタマーサクセスカスタマーサポート
・戦略的思考力
・データ活用力
・共感力
・業務効率化スキル
・コミュニケーション能力
・顧客志向の姿勢

なお、カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、いずれもコミュニケーション能力とともに、顧客満足度や成功を第一に考え、柔軟に対応できる「顧客志向」の姿勢が必要となるでしょう。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの導入基準

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、いずれも製品やサービスを提供する企業に適合する部門です。「どちらを導入すべきか」「どちらに比重を置くか」などの判断基準となるのは「ビジネスモデル」です。

カスタマーサクセスは、導入することで収益を最大化させられる可能性が生じるため、特にサブスクリプションサービスを提供する企業やSaaS企業で求められる傾向があります。特にリプレイスが激しい商材などでは、顧客と共に中長期的に成長する重要性が問われるため、収益ドライバーとしてのカスタマーサクセス部門が要(かなめ)となります。

一方、カスタマーサポートは、顧客との接点が限定的であり、製品やサービスのアフターケアを行う部門であるため、プロダクト販売を行うビジネスモデルにおいて効果的です。顧客数が増加し、サポート業務が急務となっている状況であれば、チャーンリスクに備えてカスタマーサポートに比重を置くようにしましょう。

まとめ

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、いずれも顧客の満足度を向上させる活動である点は共通するものの、違いが複数あります。

カスタマーサクセスは、顧客の成功を支援し、自社の収益拡大に貢献することを目的としているのに対して、カスタマーサポートは、問題解決を通じて、顧客満足度を向上させることを目的とします。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートは、いずれも製品やサービスを提供する企業に適合します。カスタマーサクセスは、導入することで収益を最大化させられる可能性が生じるため、特にサブスクリプションサービスを提供する企業やSaaS企業で求められる傾向があります。

一方、カスタマーサポートは、顧客との接点が限定的であり、製品やサービスのアフターケアを行う部門であるため、プロダクト販売を行うビジネスモデルにおいて効果的です。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの「どちらを導入すべきか」「どちらに比重を置くか」などの判断に迷う際には、自社の「ビジネスモデル」に着目して検討を行いましょう。

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