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VOC分析を導入するべき企業の特徴や収集方法を解説

VOCは「Voice Of Customer」の略で、「顧客の声」を意味します。顧客満足度はもちろん、LTV向上や解約防止にも直結する重要な指標です。

カスタマーサービスに寄せられる問い合わせやクレーム、アンケートの回答、インターネット上の口コミや評判などがVOCに該当します。

当記事では、VOC分析を導入するべき企業の特徴やVOCの収集方法を解説します。

VOC分析の手法も紹介するので、自社の課題解決策としてVOC分析を導入するかどうか検討する際に活用してください。

VOC分析を導入するべき企業の特徴

VOC分析を導入するべき企業の特徴は、おもに以下の3点です。

【VOC分析を導入するべき企業の特徴】

  • 顧客満足度やリピート率を改善したい
  • LTV向上を図りたい
  • 解約防止

顧客満足度向上、リピート率改善、LTV向上、解約防止といった経営課題の解決に貢献します。これらは、顧客体験の質を高め、良好な関係を構築することで達成されます。

顧客体験の向上を経営戦略の核に据えて顧客中心のアプローチを推進したい企業は、VOC分析を行うことで顧客の視点、ニーズ、不満を具体的に把握でき、データに基づいた効果的な改善策や施策立案が可能になるでしょう。

顧客満足度やリピート率を改善したい

顧客満足度が伸び悩んでいたり、リピート率が低かったりする企業は、VOC分析の導入により改善できる可能性があります。顧客アンケートやSNSなどから、顧客の具体的な不満点や、サービスの課題を把握できるからです。

例えば、あるサブスクリプションサービスで「操作方法が分かりにくい」といったVOCが集まれば、チュートリアルの改善をするという対策を行えます。その結果、顧客満足度が向上し、サービスの継続利用や再開を促すことに繋がり、結果としてリピート率が高まるといった改善につなげることができます。

VOC分析に基づいた改善策の実施後に再度VOCを収集・分析すれば、効果測定やさらなる顧客満足度の向上やリピート率の改善につなげられるでしょう。

LTV向上を図りたい

LTV向上を追求したい企業は、VOC分析の導入により改善できる可能性があります。さらに、VOC分析によって顧客の成功体験を最大化するための改善点を発見し、製品・サービスの価値を高めることもLTV向上に繋がります。

例えば、顧客アンケートやサポートへの問い合わせなどから、「現在のプランでは特定の機能が利用できず不便だ」といった、プランに対する不満の声が多く見られるとします。このVOCを分析し、その不満や課題を解消できる上位プランへのアップセル提案を個別に行うことで、顧客単価の増加を通じてLTV向上につなげることができます。

VOC分析は顧客の現在の課題や潜在的なニーズを捉えることで、それに応じた提供価値の向上を通じて、継続的なLTV向上に繋がります。サービスのアップセルやクロスセルに注力したい企業は、VOC分析を導入すると良いでしょう。

解約防止をしたい

解約防止をしたい企業は、VOC分析の導入により改善できる可能性があります。VOC分析をすることで、顧客の不満や離脱の兆候を早期に捉え、解約に至る前に原因を特定し、適切な改善策や引き止め策を講じることが可能になるからです。

例えば、「特定の機能に不満を持つ顧客は解約しやすい」という傾向が明らかになったとします。この分析結果をもとに、該当する顧客グループに対して機能改善の情報を提供したり、個別サポートを強化したりといった対策を先回りして行うことで、解約を未然に防ぎます。この施策実施後、対象顧客グループの実際の解約率が前月比で何%改善したか、エンゲージメントスコアに変化があったかなどを具体的に測定し、施策の有効性を評価します。

VOC分析を通じて顧客の声を把握して迅速に改善策を講じることで、顧客満足度を高められます。顧客満足度の向上により解約を未然に防ぐことができるため、解約防止を目指す企業はVOC分析を導入するとよいでしょう。

VOCの収集方法

VOCには複数の収集方法があります。

【VOCの収集方法】
特徴メリットデメリット
直接ヒアリング顧客の真のニーズや潜在的な不満を把握しやすい・深い顧客理解が可能
・本質的な課題解決やサービス改善に貢献する
・現状のサービスで満足している顧客を無視してしまう可能性がある
顧客アンケート顧客の声を数値データとして集計・分析しやすい・匿名性が高く顧客の本音を聞き出しやすい
・効率的に定量的な分析がしやすい
・十分な回収率が得られない可能性がある
・深掘りした意見を得にくい
顧客からの問い合わせ(コールログ)顧客の具体的な不満や疑問を把握できる・顧客体験を把握しやすい・VOCのデータ化に手間や時間がかかる
SNS・製品レビュー(ソーシャルリスニング)顧客が自発的に発信する本音や不満を把握しやすい・顧客の率直な評判を把握しやすい
・潜在的なニーズを発見できる
・ネガティブな意見に偏る可能性がある
・自社が求める情報や要件の抽出が難しい
購入履歴・行動ログ顧客の行動や利用状況を具体的に示す・客観的なデータを収集できる・顧客の意図や理由を読み取りにくい

自社に合うVOCの収集方法は、「知りたいこと」「対象となる顧客層」を明確にすると選びやすくなります。

たとえば、顧客満足度、製品改善点、ニーズの把握など「知りたいこと」によって選ぶ方法があります。また、収集したいVOCが全顧客なのか特定セグメントの顧客なのかなど「対象となる顧客層」によっても実施すべき手法が異なります。

定量的なデータ、定性的な意見、具体的な要望など得られる情報によっても選択するべき収集方法は変わってくるでしょう。

直接ヒアリング

VOCの収集方法の一つとしての「直接ヒアリング」には、間接的なVOCでは捉えきれない顧客の真のニーズや潜在的な不満を理解できる特徴があります。直接ヒアリングのチャンスを得ることで、他の収集方法では得られない深掘りした情報や顧客の感情、背景にある理由などを直接的に把握できるからです。

具体的には、営業担当やカスタマーサクセス担当者が、商談やミーティング中にサービスに関する顧客の不満の具体的な内容や改善への要望を聞くことがあります。日々の業務の中で吸い上げられるこれらの直接的なヒアリングは、サービス利用状況などの背景と併せて深い顧客理解に繋がり、より本質的な課題解決やサービス改善につなげられる可能性があります。

一方で、直接ヒアリングは限られた顧客層の声であり、これを起点にサービス改善をすると現状のサービスに満足している顧客の意見を無視してしまう恐れがあります。そのため、直接ヒアリングのみに頼るのではなく、他の収集方法と組み合わせることで多角的なVOC分析を行い、積極的に声を上げない顧客の声も意識しながらサービスの向上に努めることをおすすめします。

顧客アンケート

VOCの収集方法の一つとしての「顧客アンケート」には、顧客の声を数値データとして集計・分析しやすい特徴があります。あらかじめ設定された形式の回答を回収することで、効率的に数値化して集計と分析できる構造になっているからです。

顧客アンケートのメリットは、匿名性が高く顧客の本音を聞き出しやすい点や効率的に定量的な分析がしやすい点です。例えば、サービスの利用満足度や各機能への評価を5段階評価でアンケート収集したとし、これらの回答を数値データとして集計・分析することで、「サポート対応への満足度は平均2.5点と特に低い」といったボトルネックを素早く特定し、課題解決の優先順位付けを行うことが可能になります。特にCS担当者にとっては、NPS、CSAT、CESといった指標とVOCを組み合わせることで、スコアの背景にある具体的な要因を深く理解し、改善アクションの精度を高めることができます。

ただし、顧客アンケートを集計して有意なデータにするには、数百件から千件程度のサンプルが必要になるというデメリットがあります。そのため、顧客アンケートは大規模な顧客基盤を持っており、顧客から効率的に意見を収集し、全体的な傾向や満足度を把握したい企業に適しているでしょう。

顧客からの問い合わせ(コールログ)

VOCの収集方法の一つとしての「顧客からの問合せ(コールログ)」は、カスタマーサービスなどに寄せられる顧客からの問い合わせを収集する方法です。対象となるのは、顧客からの電話・メール・チャットなどです。

問い合わせログを分析するメリットは、顧客が抱えている問題点や不満、改善要望などを直接受け取れ、顧客体験を把握しやすい点です。例えば、問い合わせログを分析した結果、特定の機能に関する同じ種類の質問や不具合報告が急増していることが分かったとします。このVOCをもとに、FAQの整備や製品自体の改善を行うことで、顧客が自己解決できるようになり、スムーズな顧客体験を提供することに繋がります。

一方、問い合わせログは定型のデータとして格納されていないため、分析可能なデータ化するのに手間や時間がかかり、緊急性の高い問題には対処しにくい点がデメリットです。そのため、問い合わせログは具体的な不満や疑問の把握をしたい場合に適しており、顧客満足度やリピート率を向上したい企業に向いている手法といえるでしょう。

SNS・製品レビュー(ソーシャルリスニング)

VOCの収集方法の一つとしての「ソーシャルリスニング」は、SNSの口コミや製品レビューを参考にする手法です。顧客が自発的に発信する本音や不満を捉えやすく、利用者が多いため大量のデータを取得できる可能性があります。

ソーシャルリスニングのメリットは、顧客の率直な評判を把握しやすいことや、潜在的なニーズを発見できる点です。例えば、SNS上の会話やレビューを分析した結果、「〇〇のような機能があればもっと良いのに」といった潜在的なニーズが、自社の想定を超えて多く投稿されていることが分かったとします。この発見から、サービス内に新機能を追加するヒントを得ることに繋がります。

一方で、ソーシャルリスニングはネガティブな意見に偏る可能性や、データ量が多さからノイズが多く自社が求める情報や要件の抽出が難しい点がデメリットとして挙げられます。そのため、ソーシャルリスニングによって得られる大量のVOCから製品やサービスに関する顧客の率直な評価や改善要望を見つけ出し、自社商品改良や顧客体験向上のヒントとして活用することが重要となります。

製品・サービス利用ログ

VOCの収集方法の一つとしての「製品・サービス利用ログ」は、顧客が購入した製品やサービスの利用記録から顧客のニーズや思考を分析する方法です。

行動ログは、顧客の行動や利用状況を具体的に示すデータであり、顧客の具体的なニーズや関心の足跡を把握できます。製品・サービス利用ログは、とくにECサイト運営やアプリサービス提供など、オンラインでの顧客接点が多い企業に向いています。

【行動ログとVOC分析における活用例】
行動ログVOC分析における活用例
・特定機能の利用頻度低下・離脱箇所の多発 など<課題の特定>
顧客が不満を感じている可能性を示唆
・利用頻度の高い機能
・利用パターンの分析
<ニーズの発見>
顧客の潜在的なニーズや要望を把握
・利用プロセス全体の把握<顧客体験の理解>
顧客が利用上つまずいている箇所や顧客の具体的な体験の把握

製品・サービス利用ログは、顧客の購買パターンや利用頻度、離脱率など客観的なデータを収集できる点がメリットです。例えば、アプリの利用ログを分析した結果、特定の機能の利用開始率が低い、あるいはある操作フローの途中で多くのユーザーが離脱している箇所が多いことが分かったとします。このログデータから課題を特定し、UI改善やオンボーディングプロセスの見直しを行うことで、顧客がスムーズにサービスを利用できるようになり、顧客体験の向上に繋がります。改善後、実際に特定機能の利用開始率が何%向上したか、離脱箇所での離脱率が何%低下したかなどをトラッキングし、UI改善やオンボーディング見直しの効果を定量的に把握します。

一方、製品・サービスの利用ログは、「なぜ」その行動を取ったのかという意図や理由までは読み取りにくい点がデメリットです。そのため、アンケートや直接ヒアリングといった定性的なVOCと組み合わせることで、「行動(What)」の背景にある「理由(Why)」を把握でき、より深い洞察に繋がります。

なお、行動履歴や行動ログを扱う際は、収集目的の明確化と告知をし、個人情報保護法などの関連法規に基づき、適切な方法で顧客からの同意を得るようにしましょう。

VOC分析の手法

VOC分析の手法はおもに以下の3種類です。

【VOC分析の手法】

  • 自社の担当者・外部の専門業者に任せる
  • ツールを活用する
  • 生成AIを活用する

VOC分析の導入目的、社内のリソース、顧客基盤の規模などに応じて検討してください。

自社の担当者・外部の専門業者に任せる

VOC分析を専門とする担当者や部署を自社内に設けたり、外部の専門業者に委託したりする方法があります。

【担当者別のメリットとデメリット】
担当者メリットデメリット
自社の担当者・企業固有の文脈に基づいた分析が可能
・他部署との密な連携、ノウハウ蓄積
・専門人材の育成や確保に時間とコスト
・必要なツール・基盤整備の負担
外部の専門家・高度な専門知識・最新ツールを迅速に活用
・社内リソースをコア業務に集中
・委託コストが発生
・自社ビジネス理解のための綿密な連携が必要
・情報共有の障壁

VOC分析を誰に任せるかの判断基準は、企業の目的とリソース状況にあります。

例えば、VOC分析を経営戦略の核として位置づけ、顧客理解を組織全体に深く浸透させたい企業や、自社独自のビジネス文脈に基づいた分析を重視する企業には、コストや時間はかかっても自社内に専門担当者や部署を置くのがおすすめです。

一方、特定の課題解決のために迅速な専門的な分析結果が必要な企業や、社内に専門人材を育成するリソースが現時点でない企業、あるいは分析業務自体よりもその結果をコア業務に活かすことに注力したい企業には、外部の専門業者への委託が現実的な選択肢となります。

どちらの手法を選択するかは、自社の置かれた状況とVOC分析に何を求めるのかを明確にすることから始めると良いでしょう。

ツールを活用する

ツールを活用することによって、大量のVOCデータを効率的に分析できます。手作業では膨大な時間と労力がかかる大量のデータを、ツールが備える自動処理機能や分析アルゴリズムによって短時間で構造化し、傾向などを抽出できるからです。

ツールを活用したVOC分析は、コンタクトセンターやアンケートからVOCを収集する場合は適しているでしょう。コンタクトセンターであれば音声をテキスト化できるツール、アンケートであれば集計を効率化できるアンケート作成ツールが適しています。

例えば、アンケートの自由記述欄に寄せられた多数のテキスト回答を手作業で全て読み込むのは非効率です。テキストマイニングツールなどのVOC分析ツールを使えば、これらのテキストデータを自動で単語やフレーズに分解し、出現頻度や関連性を分析することで特定の機能に関する不満が多いといった共通する意見や潜在ニーズを短時間で把握できるようになります。

VOC分析においてツールを活用することは、膨大な顧客データの中から頻出する傾向や隠れたインサイトを効率的に抽出し、データに基づいた意思決定を支援するのに向いています。導入を検討するツールにトライアルがあれば、事前に使いやすさを確認するようにしましょう。

生成AIを活用する

膨大な顧客の声を自然言語処理を基盤とした生成AIを活用して収集・分析する方法もあります。生成AIを活用したVOC分析は、VOCの収集から分析までを自動化することで効率化を図り、問題点や改善点をより高い解像度で特定しやすい点が特徴です。

【生成AIを活用したVOC分析の方法例】

  • AIが搭載されたVOC分析ツールを活用する
  • AIを搭載したVOC収集ツールと従来のVOC分析ツールを組み合わせる

例えば、大量の製品レビューを生成AIが要約し、製品の改善点を特定して迅速な製品アップデートを行えます。また、アンケートの自由記述回答に関して、AIの感情分析によりポジティブ・ネガティブ感情推移を可視化し、サービスに対する満足度や改善点の発見に活用できます。

さらに、生成AIが問い合わせログを分類・分析し、FAQ候補の生成により顧客サポートを効率化することも可能です。これまで見過ごされてきた顧客のニーズ・不満・要望が明らかになったり、感情分析によって顧客の細かな感情の動きも捉えられ、より深いレベルでの顧客理解を可能にするため、大量のVOCを扱う企業に非常に有効な手段です。

VOC分析に活用できるツールやサービス

VOC分析は、ツールやサービスを活用することで、収集した顧客の声のデータ化や定量化が効率的に行えます。VOC分析に活用できるツールやサービスは以下の通りです。

【VOC分析に活用できるツールやサービス】
種類
VOC収集に活用できる・アンケート作成ツール
・自動音声認識サービス・チャットボット
データ管理に活用できる・CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)
・CSP(カスタマーサクセスプラットフォーム)
VOC分析に活用できる・テキストマイニングツール
・ソーシャルリスニングツール
・BI(ビジネスインテリジェンス)ツール

VOC分析に活用できるツールやサービスは、目的や顧客規模などに応じて組わせたり既存のシステムと組み合わせながら活用したりすることを検討してください。

VOC収集に活用できるツール

VOC収集に活用できるツールは、主に収集作業の効率性を高めるツールです。収集に活用できるツールの例として、「アンケート作成ツール」と「自動音声認識サービス・チャットボット」が挙げられます。

【VOC収集に活用できるツールの特徴】
ツールアンケート作成ツール自動音声認識サービス・チャットボット
ツールの目的特定の設問を通じて顧客の意見や評価を構造的に収集する音声通話やテキスト対話を自動で記録・テキスト化し、一次対応を行う
収集できるVOC定量データ:満足度、製品・サービスに関する評価(5段階評価など)
定性データ:ニーズ、要望、自由記述意見
問い合わせ内容の詳細、質問、対話中の顧客の感情や表現、FAQで解決しない具体的な困りごと

アンケート作成ツールは設問に沿って定量・定性データを構造的に収集し、満足度や要望を数値化します。一方、自動音声認識サービスやチャットボットは通話や対話をリアルタイムでテキスト化し、FAQ対応や感情表現の把握を自動化します。

一部の収集ツールでは、回答傾向のグラフ化やキーワード頻度集計といった簡易分析機能を備えています。しかし、本格的な洞察を得るには、収集データをデータ管理基盤に取り込み、BI ツールやテキストマイニングツールと連携して詳細分析を行うことを推奨します。これにより、VOC の定量・定性両面から深い理解を得られるようになるでしょう。

データ管理に活用できるツール

VOCにおけるデータは、アンケート、レビューサイト、問い合わせ履歴など、多岐にわたります。これらのデータをツールを用いて管理を行うことで、データの重複や矛盾を防ぎ、正確な分析基盤を構築できます。

データ管理に活用できるツールとして、CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)とCSP (カスタマーサクセスプラットフォーム)があります。

【データ管理に活用できるツールの特徴】
CRMCSP
主な目的顧客情報の管理、営業・マーケティング活動の効率化、顧客獲得・育成、サポート連携顧客の成功支援、解約率の低下、LTV(顧客生涯価値)の最大化、顧客満足度向上
主な機能・リード・商談管理
・顧客基本情報管理
・営業活動(電話、メール等)記録
・案件進捗管理
・顧客セグメンテーション
・マーケティングオートメーション連携
・サポートチケット管理連携
・顧客情報の一元管理(CRM等と連携)
・製品利用状況トラッキング
・顧客ヘルススコア算出・可視化
・オンボーディング管理
・プレイブック/サクセスプラン実行支援
・チャーン予測
・アップセル/クロスセル機会特定
・自動化されたコミュニケーション
利用者カスタマーサクセス部門、営業部門、マーケティング部門、カスタマーサポート部門、経営層カスタマーサクセス部門、プロダクトマネージャー
VOC分析で活用するデータ・チャットログ
・ 営業担当者による顧客からのフィードバックメモ
・ 一部のCRMに搭載された簡易アンケート結果(連携含む)
・製品内アンケートやNPSなどの定性コメント
・ CS担当者による顧客との会話メモ
・ ヘルススコアや利用状況に関連するフィードバック
・ サポート問い合わせ内容
・ VOCをトリガーとした社内記録

CRMは、顧客からの問い合わせ履歴や営業担当者が記録したフィードバックなど、対面やサポートチャネルから収集されるVOCの管理に強みを持つツールです。これらのデータは個別の顧客課題の把握や、サポート業務全体の課題分析といったVOC分析に活用できます。

一方、CSPは製品利用状況や顧客の成功状態に関連するVOCの管理に強みを持つツールです。製品利用データとVOCを紐づけることで、顧客の行動の背景にある理由や、特定の利用状況で発生しやすい不満を明らかにできます。

CRMやCSPツールをVOC管理に活用することで、顧客の声を一箇所に集約し、分析可能な状態に整理することが可能になります。CRMとCSPを連携させれば、顧客の基本情報、取引履歴、利用状況をVOCと結び付け、より多角的で深い分析を行うことができるようになるでしょう。

VOC分析に活用できるツール

顧客の声を具体的なアクションにつなげるためには、VOC分析ツールが力を発揮します。これらのツールは、収集や管理されたVOCから特定の傾向やパターン、隠れたインサイトを抽出することを可能にします。

VOC分析に活用できるツールとして、「テキストマイニングツール」「ソーシャルリスニングツール」「BI(ビジネスインテリジェンス)ツール」があります。

【VOC分析に活用できるツールの例】
ツール名詳細
テキストマイニングツール自由記述アンケートやレビューなどから特定のキーワードなどを抽出し、分析する
ソーシャルリスニングツールインターネット上のVOCを幅広く収集し、感情・トピックなどの分析に活用する
BI(ビジネスインテリジェンス)ツールCRMやCSPなどで管理されるVOCデータと、顧客属性、利用状況、サポート履歴などの他データを統合し、相関関係の分析やダッシュボードでの多角的な可視化を行う

ツールは必ずしも3種類すべてを導入する必要はありません。CRMやCSPに蓄積している文章データを分析するのであれば、テキストマイニングやBIだけで足りる場合もあります。また、SNSのコメントを追うのであればソーシャルリスニングを追加検討すると効果的です。

VOC分析ツールを導入する際には、VOC分析を行う目的を明確にすることが重要です。その上で、収集または管理できているVOCの種類や範囲を確認し、これらの目的に合致し、既存のデータ環境とも連携可能な最適なツールやサービスの選定を進めると良いでしょう。

まとめ

VOCは、「Voice Of Customer」の略で、顧客満足度に直結するものです。VOC分析では、「顧客の声」という形態のデータに基づいた意思決定により、サービス改善や新たな価値創造に繋げます。

顧客志向が強く、データドリブンな意思決定への関心が高い企業にVOC分析は向いています。VOC分析を行うことで、顧客満足度向上やLTV最大化を目指すことができます。

VOCの収集方法は、顧客からの問い合わせ、アンケート、SNSレビュー、製品・サービス利用ログなどさまざまです。収集したVOCは、自社の担当者や外部専門業者のほか、ツールや生成AIを用いて分析できます。

効率的にVOC分析を行いたい場合、ツールやサービスの活用が不可欠です。VOC分析の導入目的やリソース状況に応じたVOC分析を始め、顧客のニーズを把握することで、顧客体験価値の向上につなげることができるでしょう。

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スマタイ編集部
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