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インタビュー

事業開発を担うインサイドセールスの「現場ドリブン」な組織運営 カミナシ 伊藤一輝 #THELEADERS

現場で活躍するインサイドセールスのキーマンに、SALES ROBOTICSの冨田貴徳が取材する連載企画「THE LEADERS」。

今回のゲストは、株式会社カミナシの伊藤一輝さんです。

デスクを持たず、PCの前で仕事をしない「ノンデスクワーカー」。日本の労働人口の多くを占める彼らの生産性向上は、社会全体の重要課題です。この領域に特化したSaaSを提供し、「ノンデスクワーカーの才能を解き放つ」というミッションを掲げるのが、株式会社カミナシです。

多様な業界・現場の課題に対応するため、同社が取り組むのが「マルチバーティカル戦略」。その戦略推進のカギを握るインサイドセールス組織の取り組みについて伺いました。

(執筆:サトートモロー 編集・音声編集:増田那々海・いいたかゆうた 撮影:小林 一真)

伊藤 一輝
セールス本部 インサイドセールスユニット ユニット長

新卒で教育系コンサルティング会社に入社し、上場企業の人材育成支援に従事。その後創業8ヶ月のSaaSスタートアップに5人目社員として入社。創業期メンバーとして事業拡大を推進、マーケティング・営業責任者を担当。2021年12月にカミナシに入社し、フィールドセールスやエンタープライズインサイドセールスの立ち上げを経て、現在はインサイドセールスマネージャーを担当。

「規模×業界」の2軸で取り組むインサイドセールス活動

冨田:
カミナシ社が提供する現場DXプラットフォーム「カミナシ」は、ノンデスクワーカーの働き方をサポートするものということですよね。具体的には、どのような職業の人々がお客様になるのですか?

伊藤:
工場や飲食店、ホテル、物流倉庫などの現場で働かれる方々が、私たちのお客様です。

冨田:
オフィスでデスクとパソコンに向かう私たちのような職業ではなく、現場で活躍される人々の効率化などを支援しているのですね。伊藤さんはどのような役割やミッションを担っていらっしゃるのですか?

伊藤:
インサイドセールスチームはエンタープライズ、ミッドマーケット、SMBと規模で分かれているのですが、私はミッドマーケットとSMBの領域のチームのマネージャーを務めています

私の担っている役目は主に二つで、まずはフィールドセールスに供給する商談作成と商談実施数の目標を達成すること。もう一つは、ハイヤリングマネージャー(採用の決裁権を持つ人)としてインサイドセールス職を採用することです。

冨田:
商談創出とインサイドセールス職の採用という、2つの重要なミッションに日々取り組んでいるのですね。カミナシ社はどのような変遷をたどり、現在の組織体制に至ったのですか?

伊藤:
カミナシは会社としては9期目ですが、「カミナシ」をリリースしたのは約5年前になります。そこから資金調達を経て組織を拡大するのに合わせて、インサイドセールス組織は大きく三つの変化がありました

まずは黎明期。役割分担や組織化はされておらず、インサイドセールス担当者1人がフィールドセールス3〜4人分の商談をこなすという状態でした。

その後、メンバーが増え組織化が進む中で、顧客の従業員規模に応じてエンタープライズ、ミッドマーケット、SMBでチームが分かれるようになりました。これが二つ目の段階です。

そして三つ目が現在の形に近いのですが、規模に加えて「業界」という軸が加わりました。エンタープライズはそのまま、ミッドマーケットとSMBに関して業界別に担当チームが分かれています。

冨田:
まずは企業規模でターゲットを分け、ミッドマーケット以下で業界別、つまり顧客別・シチュエーション別に組織を細分化してきたのですね。

インサイドセールスが「事業開発」を担う理由

冨田:
カミナシ社のインサイドセールス組織について、事前にいろいろと情報を調べたのですが、「事業開発」というキーワードが頻繁に登場するのが印象的でした。インサイドセールスが「事業開発」の役割を担っているというのは、具体的にどういうことなのでしょうか?

伊藤:
弊社のインサイドセールス組織が事業開発と密接に結びついている背景には、私たちが「マルチバーティカル戦略」と呼ぶ戦略を実践していることが関係しています

マルチバーティカル戦略とは、複数業界をしっかりと掘り下げていくカミナシのアプローチを体現した名称です。

カミナシでBizDevはじめました~マルチバーティカル戦略のススメ~|宮城徹也

ホリゾンタル(水平型)に市場開拓できるSaaSやサービスの場合、基本的には対象部門の部長職の方等にアプローチすると思います。この戦略は業界が変われど同じだと思います。

一方、カミナシの場合は多様な業界にお客様がいらっしゃいます。そして、同じ「紙」を扱うといっても、その種類や使われるシチュエーション、使用者、課題などが業界によって全くバラバラなんです。

そのため、固定の営業スタイルで数をこなせば売上を達成できるかというと、決してそうではありません。

例えば食品メーカー様なら、工場長や製造部の方が「食の安全・安心のためにカミナシを利用したい」と考えるかもしれません。これが外食産業なら、本社営業部門の方が「カミナシでSV(スーパーバイザー)やエリアマネージャーの生産性を上げたい」と思う可能性があります。

このように、一つひとつの業界に深く入り込み学習と検証を重ねながら、業界における※PMFを作っていく動きが私たちには求められるのです

※PMF(Product Market Fit、プロダクトマーケットフィット)
商品が顧客のニーズを満たし、正しい市場に提供されている状態

冨田:
お客様の課題や導入目的が、業界によって全く異なるわけですね。それぞれの業界の理解を深める方法が、マルチバーティカル戦略であると。

伊藤:
そして、この戦略の舵取りをするのが、カミナシにおいてはインサイドセールスであると位置づけられています

「どのセグメントを狙うのか」「誰のどんな課題を解決するのか」「アプローチに最適なチャネルは何か」といった問いに、私たちは常に向き合わなければなりません。この点が、事業開発の要素とつながっているのだと思います。

冨田:
事業責任者やプロダクトマネージャー(PM)など、事業開発専任の組織や担当者が担うような役割をインサイドセールスが担っている。その結果、一次情報に基づいたスピーディーな戦略策定と実行を可能にしているのですね。

冨田:
「マルチバーティカル戦略」をインサイドセールスが主体となって推進していく中で、やはり苦難もあったのではないでしょうか?

伊藤:
数え切れないほどあります(笑)。

例えば食品を作る会社と自動車部品を作る会社は、製造業という観点でビジネスモデルが似ています。以前はこうした共通点の多い業界に対して、うまくいったメッセージングや訴求方法、アプローチすべき人物像などを踏襲していました。「ここでうまくいった事例は、隣接するこの業界にも活かせるんじゃないか?」と、一気に商談を獲得しようと思ったんです。

しかし結果は、びっくりするくらい失注の連続でした。フタを開けてみると、組織間のパワーバランスが違ったり、同じような課題でも深さが全く異なったり、購買の意思決定者とサービス利用者がズレていたり……。そうした違いが次々と明るみに出てきました。

ドメイン知識を深く理解しないまま「なんとなくいけるだろう」という浅い知識で踏み込んだ取り組みは、ことごとくうまくいきませんでした。

冨田:
その失敗からどのように改善したのですか?

伊藤:
失敗から学んだのは「現場ドリブン」の重要性です。「現場ドリブン」はカミナシの行動指針にも触れられており、会社全体として現場や一次情報を大切にして意思決定することを重視しています。インサイドセールス組織は、この言葉の意味について痛い想いをしながら再認識しました。

その後、業界に対する理解度を深めるための「事前準備」を徹底するようになりました

具体的には、市場全体を俯瞰して市場構造を理解します。そして、その市場を取り巻く外部環境、例えば法改正の動きや時事ネタ、トレンドなどを把握するようにしたんです。

また、カミナシはどのような業界でも、既に1社2社はご利用いただいているお客様がいます。こうしたお客様へのインタビューを通じて、受注要因や成功事例を深く掘り下げて、N=1の解像度を高めていきました。最近ではクラウドソーシングサービスも活用して、業界出身者の方にアドバイザーとして協力いただき、週に1回程度の壁打ちをさせてもらったりもしています。

そうやって、しっかりとドメイン知識を身につけた上で訴求内容やコンテンツを作り込み、満を持して攻めていくスタイルにシフトしました。

また、「全部やろうとしない」ことも大事な学びでした。例えば同じ飲食店でも、居酒屋と高級レストランでは全く違います。これらを一緒くたに見ず、セグメントをあえて絞り込み、そのための一次情報を集めて仮説を立てていくようにしました。

冨田:
横並びで攻めるのではなく、一つひとつの業界の特定のセグメントに狙いを定め、深くコミュニケーションをしていったのですね。

共感から導入へ進むための壁をどう乗り越えるのか

冨田:
インサイドセールスチームの皆さんは、どのようなスケジュールで活動しているのですか?

伊藤:
基本的には、見込み顧客のリストを作成して電話とメールでアプローチするというのが1日の流れです。ただ、インサイドセールスチームは規模、業界とは別に2つのチームに分かれていて、それぞれに異なる仕事をしています。

一つは、すでに「この市場はいける」と分かっている既存市場を担当するチームです。このチームのミッションは、年次100%〜120%の着実な成長を実現すること。そのため、コール数やメール送付数といった活動量を担保しつつ、プロセス改善にも取り組んでいます。

もう一つは、新しい市場、つまり不確実性が高い市場にチャレンジしていくチームです。行動量はもちろん大事ですが、マーケティング部門やフィールドセールス部門とタスクフォース的なプロジェクトを組み、仮説検証の活動に取り組んでいるのが特徴です。

冨田:
チームをマネジメントしている伊藤さんは、どのような1週間を過ごしているのですか?

伊藤:
月曜日は現状把握に努めます。フィールドセールスとのミーティングで売上状況を確認し、インサイドセールスの各チームの予実状況や定性情報をキャッチアップ。そして、各メンバーがその週にどう目標を達成するか、個人ごとにプランニングする時間を設けています。

火曜日以降は、月曜日に見えたボトルネックに対する打ち手や対策を考える・実行する時間に、業務時間の2〜3割を割きます。その他、マーケティングなど他部門とのミーティングが1〜2割、そして採用活動に残りの2〜3割の時間を使うことが多いです。それ以外の時間を、予実管理などに当てています。

冨田:
日々のマネジメントと採用活動、そして未来への仕込みと、非常に多岐にわたる業務をこなしているのですね。カミナシ社のインサイドセールス組織は、同じインサイドセールスという括りの中で非常に細分化されているのがユニークな反面、管理側の難易度は非常に高そうです。

伊藤:
そうですね。戦略を整理して活動を振り返り、オペレーションに反映させていく。これを怠ると、すぐに目的を見失ってしまうので、大変だなとは思います。

でも、それと同じくらい面白い仕事です。言葉が適切かはわかりませんが、飽きないですね。学習欲とか知的好奇心がある人にとっては、たまらない環境ではないでしょうか。

冨田:
素晴らしいですね。インサイドセールス組織の成果は、何が最も重視されていますか?

伊藤:
最終的にはもちろん売上ですが、インサイドセールス組織として直接コントロールできる指標としては、大きく2つ重視しています。

一つは、シンプルに「商談の作成数」と、フィールドセールスが実際に「実施した数」もう一つは、商談の品質を測る指標としての「有効商談化率」です

冨田:
「有効商談」の具体的な定義について教えてください。

伊藤:
仮に、私たちがアポイントを取得した段階を0→1とします。そこからフィールドセールスが商談を行い、パイプラインとして管理しようと判断して商談ステージを1段階進めた場合、それが「有効商談」と定義されます。

冨田:
フィールドセールスのパイプラインとしてノミネートされたかどうかが、有効商談の基準となるのですね。

先ほど、業界によって「購買の意思決定者とサービス利用者がズレている」というお話がありましたよね。“買う人”と“使う人”が異なるという状況では、どちらにアプローチするのですか?

伊藤:
ケースバイケースではありますが、第一優先は“買う人”としています。ここでいう買う人は決裁者=役職の高い人であり、過去3〜4年のデータを見ても役職の高さと受注率には明確な相関関係があります。短期的な数字目標を達成するという意味では、決裁者にアプローチする方が生産性は高いです。

とはいえ、都合よく決裁者ばかりにアプローチできるわけではない。役職はそれほど高くなくても、現場での“使う人”の中心であり社内のプロジェクト推進リーダーだった、というケースは少なくありません。

そこで、使う人にアプローチしつつも決裁者に近い影響力のあるキーマン、いわゆる「チャンピオン」を探すという動きを大事にしています

冨田:
その「探す」というプロセス自体が、まさに現場ドリブンであり一次情報の獲得活動そのものですね。業界特有の呼称や組織構造を理解していないと、そもそも適切な方にリーチすることすら難しい場面もありそうです。

カミナシ社のサービスは、現場の方々が日々使っているものをリプレイスする性質上、影響範囲も大きく慎重な動きが必要ですよね。商談を獲得するまでのプロセスで、特に難しいと感じる点はどこでしょうか?

伊藤:
たしかに、リプレイスの影響度が大きいので「とりあえずこの部署だけでやってみよう」という動きが難しいです。ある部署からOKをもらっても、他部署にも話を通して合意を得る必要があります。

実のところ、サービスに興味を持っていただけることは多いです。しかし、そこから実際に「カミナシ導入を推進してくれるか?」となると、ハードルが一気に高くなります。「共感」から「導入推進」へのステップ、つまり有効商談を作っていく部分が一番難しいポイントかもしれません

冨田:
そのハードルをどのように乗り越えていくのですか?

伊藤:
まずは「興味がある」という言葉の背景を見極めます。具体的に、三つのポイントを私は意識しています。

一つ目は、相手が解決したいと思っている業務が本当にカミナシで解決できるのか。私たちのサービスも万能ではないので、スコープ外の業務もあります。

二つ目は、「興味があります」の主語は誰か。「私個人が興味がある」なのか「会社内で話題になっている」なのか、どれに該当するかは非常に重要です。

三つ目は、リプレイスコストが大きい中で、目の前の人が「カミナシ」を導入したいと思える動機や意義を持っているかです。

冨田:
「興味がある」という言葉の裏にある具体的な課題、組織としての関心度、そして個人の導入意欲を見極めるのですね。

伊藤:
「見極める」という言葉を使いましたが、実際にはお客様にとって有意義な時間にするため、まず相手のことをよく知ろうという姿勢を大切にしています

「あなたの部署の目標は何ですか?」「あなたの役割やミッションは何ですか?」といった質問を通じて、相手を深く知る。「絶対にこの業務を変えたい」「社長から改善を命令されている」といった強い動機や必然性が確認できれば、推進力を高めていきます。

こうしたアクションを重ねても行き詰まってしまった場合は、ナーチャリングコンテンツを送ったり他社事例を伝えたりする他に、いくつかのアプローチを試します。

まずは、アプローチする人を変える。そのお客様以外にも、カミナシのお客様となりうる方が社内にいる可能性は十分あります。別の部署にアクセスしてみて、再チャレンジできないかを試します。

もう一つは、仲間を作ってあげる。お客様一人では推進が難しくても、関連部署の別の担当者様など複数人を巻き込んで、背中を押してあげるコミュニケーションを取ることもあります。

膨大な情報から“逸脱”を見つけ出し改善する

冨田:
多様な業界、多くのお客様と接する中で、得られる情報は膨大かと思いますチーム内で情報共有を行う際、どのような情報に注目されていますか? 

伊藤:
「この業界、この企業のセグメントはこう」という、既存の仮説やセオリーからの“逸脱”に注目します

仮説通りにスムーズに進んでいる案件はいいんです。

「いつもと受注理由が違うぞ」
「この商談化の理由は初めて見るな」
「この部署のこの課題で商談化するはずなのに、違う部署の違う課題で進んでいる」

こういった既存のパターンから外れる動きには、常にアンテナを張っています。こうしたズレには、今後の営業活動における重要なヒントや変化の兆しがあることが多いからです。

冨田:
既存パターンからの逸脱を発見した後は、どのようなアクションにつなげるのですか?

伊藤:
その逸脱が比較的小さなものであれば、「このセグメントにはこういう新しいコンテンツや訴求でアプローチしてみよう」といった施策につなげます。

もっと大きな、構造的な変化を示唆するような逸脱は、フィールドセールスやインサイドセールスのリソース配分を大きく変える判断を下すことも珍しくありません。各部門のマネージャーと議論しながら、アクションを進めていきます。

冨田:
仮説とのズレから変化を敏感に捉え、市場へのアプローチを修正していく。この動きが、カミナシ社のマルチバーティカル戦略を支えるカギになっているように感じます。

伊藤:
大きな方向転換はクォーター単位などで腰を据えて行いますが、もう少しライトな検証であれば1週間、2週間といった単位で取り組みます。なので、割とクイックに動いている方かもしれません。

冨田:
それ以外に、顧客解像度を高めるために工夫していることはありますか?

伊藤:
カスタマーサクセスチームとの取り組みは、多くの学びを得られています。実は特定の業界や企業で、カミナシの活用が進んでいるケースがあったんです。カスタマーサクセスに、各事例の詳細を知るための勉強会を開いてもらいました。

そこで学んだことは、大きな衝撃でした。同じ業種に見えても、お客様の活用が進んでいる要因が全く異なっていたんです。この経験から、成功・失敗の要因を理解するためには、本当に細かいレベルまで解像度を上げて見ていく必要があると痛感しました。

マルチプロダクト化に適応するための三つの方針

冨田:
カミナシ社のインサイドセールスは、市場開拓から戦略策定、仮説検証、そして他部門との連携まで、非常に幅広い経験が積めるチャレンジングな環境だと感じました。この会社で働く魅力について、伊藤さんはどう感じていますか?

伊藤:
本来であれば、事業責任者やPMといったレイヤーの人たちが担当するGTM(Go-to-Market)戦略にチャレンジできるのは大きな魅力です。仕事を通じて、多様な視点やスキルが身につけられる環境だと思います。

冨田:
カミナシ社のインサイドセールスチームでは、どのような人が活躍されていますか?

伊藤:
年齢層は本当にバラバラで、20代から40代くらいまでさまざまなメンバーがいます。活躍しているメンバーの特性としては、三つ要素があるかなと。

一つ目は、やはり「学習欲・知的好奇心が強い人」です。自分でいろいろ調べて、仮説検証を進められる人は、パフォーマンスが高いです。

二つ目は、「チームで勝つことに喜びを感じられる人」。インサイドセールスは、一人の工夫や成功がチーム全体の成果を105%、110%と引き上げやすい職種です。だからこそ、チームでの達成を志向する人は、周囲への良い影響も大きくバリューを発揮しやすいと感じます。

三つ目は、月並みかもしれませんが「数字へのコミットメントや執着が強い人」です。インサイドセールスは、フィールドセールスのように「期末に大きな一発で売上達成!」ができません。むしろ、日々の積み重ねが重要な職種です。毎日自分との約束を守り、コツコツと達成を積み重ねられる人が、結果的にハイパフォーマーになっていますね。

三つの要素を持つ人と、ぜひ一緒に働きたいですね。

冨田:
知的好奇心、チーム志向、そして目標達成への執着心。そういったマインドを持った方が、このチャレンジングな環境で輝けるのですね。カミナシ社は今後、さらにマルチプロダクト化を加速させていくと伺っています。組織としての今後の目標について教えてください。

伊藤:
三つほど考えています。

一つ目は、明確に「生産性を飛躍的に上げていく」です。基本的に一つのプロダクトを深く提供する営業・オペレーションの型を作ってきましたが、プロダクトが増えれば提案方法の前提が変わります。お客様の課題に対して一つのプロダクトを提供するのではなく、複数のプロダクトでお客様の課題解決をサポートする。そんな新しい営業の型の構築が急務だと捉えています。

二つ目は、「オペレーションを最適化する」です。今まで以上に滑らかなオペレーションエクセレンスを追求し、一人当たりの商談作成数を現在の1.5倍から2倍程度に引き上げていきたいです。

三つ目は、「キャリアの多様性を担保できる組織にする」です。多種多様な業界知識、課題解決能力、マーケティング的思考、事業開発的視点などが求められるようになれば、キャリアパスも多様化していくことでしょう。インサイドセールスのマネージャーを目指す人もいれば、BizDev(事業開発)として尖っていく人、マーケティングやフィールドセールスにチャレンジする人も出てくるはず。

メンバーそれぞれのキャリアの流動性を高めていき、「この組織にいれば、様々なチャンスが開ける」と感じられるような状態を作っていきたいと考えています。

冨田:
プロダクトが増えることで、さらに多様な現場、多様な課題と向き合うことになり、インサイドセールスの役割はますます重要になりますね。最後に、伊藤さん自身の今後の目標や展望について聞かせてください。

伊藤:
個人的な役割やポジションには、あまり強いこだわりがありません。それよりも、カミナシのカルチャーがすごく好きなので、この会社が大きな成長を遂げて、社会にとって「偉大な会社」になることに貢献できればと考えています。

会社が大きくなっていくプロセスの中で、「あの時の自分の働きがあったから、この成長が実現できたんだ」と、常に実感していたい。そういう時間を過ごせるように、これからもカミナシの成長に最大限コミットしていきたいと考えています。

冨田:
素敵ですね、ありがとうございます。本日は伊藤さんに、マルチバーティカル戦略を中心に、カミナシ社のインサイドセールス活動について、たくさんの興味深いお話を伺いました。

「現場ドリブン」を体現した組織やオペレーションを運営するのは、非常に多くの苦労があると思います。反面、その大変さが仕事の醍醐味にもつながっているということを、お話を聞きながら感じました。

伊藤さん、本日はありがとうございました!

今回の「THE LEADERS」は、お楽しみいただけましたか?本シリーズでは、今後も各業界で活躍するインサイドセールスのリーダーをお招きして対談を行います。次回もぜひ、ご覧ください。

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