あなたは介在価値を発揮できているのか 向井俊介×茂野明彦×いいたかゆうた #THELEADERS特別編
現場で活躍するインサイドセールスのキーマンに、SALES ROBOTICSの冨田貴徳が取材する連載企画「THE LEADERS」。今回は特別編として、ソーシャルギフトサービス「GIFTFUL」を運営する株式会社GIftXのいいたかゆうたさんにモデレーターを務めていただき、ウェルディレクション合同会社の向井俊介さん、株式会社インサイドセールスプラスの茂野明彦さん、そして冨田による特別企画をお届けします。
皆さんには、約2時間、台本一切なしでインサイドセールスについて思うこと、それぞれのゲストに聞きたいことを自由に話していただきました。
対談の様子はYouTubeにて公開しております。ぜひ、そちらもご覧ください。
こちらの記事は後編です。後編では、インサイドセールスがお客様と向き合う上で、忘れてはいけない大前提やコミュニケーションにおける考え方を語り合いました。
前編はこちらから。
※今回はデジタルクリエイティブスタジオ、株式会社Sun Asterisk様にスペースをお借りしました。
(執筆:サトートモロー 編集:いいたかゆうた 撮影・映像編集:UUWorks 音声編集:増田那々海)
向井俊介
約20年、IT業界において中小から大企業のB2Bの営業領域の職務に従事。2020年7月よりウェルディレクションを創業し、B2Bセールスのアドバイザーとして上場企業からスタートアップまで、広く営業やマー ケティングの側面から企業のビジネス成長に貢献している。約1,600人に提供実績のあるBtoB営業トレーニング、「旬トレ」の主催者。
茂野明彦
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ビズリーチにてインサイドセールス部門に従事。2020年に著書『インサイドセールス–訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド-(翔泳社)』を出版。2022年11月にインサイドセールスプラスを設立し、インサイドセールスのリアルな情報を日々配信している。
いいたかゆうた(飯髙悠太)
株式会社GiftX Co-Founder。2014年株式会社ベーシックにて、マーケティングメディア『ferret』を立ち上げ、執行役員に就任。2019年株式会社ホットリンクに入社し、執行役員CMOに就任。2022年6月に「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに株式会社GiftXを共同創業し、受取り手が選び直せるソーシャルギフト「GIFTFUL」運営。著書に『僕らはSNSでモノを買う』『BtoBマーケティングの基礎知識』『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』
冨田貴徳
BtoB SaaSベンダーキャリア12年、専門は事業開発マーケター。
複数のSaaS企業で事業責任者を務めてきた後、2021年、SALES ROBOTICS社に参画。執行役員COOとしてレベニュー全域を管掌。
Inside Sales Hubコミュニティオーナー、2023年Salesforceインサイドセールス分科会のリーダーを務めており、インサイドセールスの専門家としてJapan Sales Collection 2023や、カンファレンスの登壇など年間80回を越える講演を積極的に行なっている。
「母数がないと不安」は錯覚
茂野:
継続的なコミュニケーションをする上で、インサイドセールスチームのキャパシティを計算しつつ、接点を持つお客様を絞っていいと私も思います。ウェビナーで1,000件のリードを獲得したとしても、アンケートで「(商品に)興味があります」にチェックをつけた方だけ、インサイドセールスにパスするとか。
冨田:
その通りですね。ただ一方で、マネジメントや経営者サイドにとってはすごく勇気のいる決断だと思います。リードのフィルタリングは非常に大事ですが、ターゲットの母数が減ることに恐怖を覚える方は多いだろうなと。
茂野:
しっかりと受注分析をするというのが、ひとつの解決策になると思います。なぜ受注できたかという情報がグレーだから、量を減らすのが怖くなってしまうんですよね。受注できた要因を正しく分析できれば、正しいコミュニケーションが見えてきます。
それに、こうした施策に不可逆性はないので、一度ターゲットを減らしてみて、また増やしてみてもいいと思うんです。そういう柔軟性を、管理職の方々に持っていただきたいなと思います。
向井:
私はある企業に対して、手当たり次第にリードへ連絡するアプローチをやめて、対話を重ねて関係性を深めていくというプロセスに変えるよう提案しました。当然、現場のインサイドセールスの方々からは不安の声が上がりましたが、マネージャーさんが1on1を重ねて、一生懸命新しいプロセスへの理解を促していったんです。
プロセスを変えた直後はアポイントの獲得数がガクンと落ちてしまいました。しかし、支援をはじめて数ヶ月経過した頃から、丁寧な対話を行っていたリードから商談が生まれ始めたんです。
安定的に商談が生まれるようになると、これまではギリギリで達成していた四半期の目標を、1ヶ月前倒しでクリアできるようになりました。その様子を見て、マネジメントが腹を決めるというのが、新しい試みでは大事なポイントになると思いましたね。
いいたか:
「母数がないと不安」という論理は、ビジネスにおける錯覚のひとつだと私は思っています。例えばプライベートで誰かを誘う時、数の論理は働かないじゃないですか。誘おうとしている大切な相手のことを考えて、コミュニケーションを取るはずです。それがビジネスになると、母数がないと不安や恐怖を覚えてしまうんですよね。
茂野:
ビジネスの世界は、年次単位の成長が約束されているじゃないですか。去年よりも今年、今年よりも来年という具合に。そうなると、必然的に「行動を増やさなきゃいけない」という心理が働きやすいのかなと。
でも、私もいいたかさんに同感で「数は正義」というのは幻想だと思っています。正しく数字を分析して、受注へと至った因子を見つけられれば、必ずしも数は必要ではないなと思います。
いいたか:
こういうテーマで話していると、どうしても「量は必要ないのか」という議論になりがちですが、それも違うかなと。量をこなす上で、それとどう向き合うのかを考えていくべきということを伝えたいんです。
茂野:
目標数字に対して、未達の場合も過達の場合も要因を分析しようということですよね。未達の時は無条件で詰められて、達成したら手放しで褒められるというのは、すごく怖いことだと思います。本来は、「アキュラシー(正確性・精密性)の低さ」を詰めるべきなんです。
目標に対して120%達成できても、ロジックが破綻していたらその点は修正しないといけません。98%で未達だったとしても、「組織の実力に対して、すごくいい目標設定だった」と捉えることができます。
達成・未達成という結果よりも、プロセスに目を向けるべきです。
向井:
量の問題を考える上では、時間軸も見るべきだと思います。現場は常に毎月の数字を追いかけているので、短期の軸でパイプラインマネジメントを行っています。一方で、マネージャーは四半期、半年の数字を追いかけているし、経営者は3〜5年先の時間軸で動いています。
各レイヤーにおいて、自分たちのビジネスの時間軸に対して、どのくらいのパイプラインやチャネルの維持が必要なのかという観点は持っておくべきです。その結果、早い段階で過剰にリードを獲得するという決断を下しても、決して間違いではないと思います。
買い手目線のインサイドセールスで必要な考え方
いいたか:
茂野さんは著書やインタビューの中で、たびたび「買い手目線に立ったインサイドセールスが重要」だと言及しているじゃないですか。買い手目線のインサイドセールスはどうあるべきか、皆さんはどう考えていますか?
向井:
「相手はあなたとの接点を覚えていない」という点を、意識したほうがいいですよね。
例えば、ウェビナーに参加してくださった方々にフォローアップコールをする際、ウェビナーに参加した動機や目的を聞くことが多いです。でも参加した方々は、そのウェビナーのことや参加した理由をほとんど覚えていません。
「私たちのウェビナーを覚えているに違いない」という、自分に都合のいい期待値でコミュニケーションを始めてしまうことで、入り口からギャップが生まれているわけです。
茂野:
「聞く」から入るシチュエーションと、「話す」から入るシチュエーションは全然違いますよね。ウェビナーの参加者様に対しては、私は「話す」から始めるべきだと思っています。向井さんのおっしゃるとおり、ウェビナーに参加したことに対して、明確な理由がないケースが多いからです。
逆に、資料請求など相手からアクションがあった場合は、「聞く」からコミュニケーションを始めればいいと思います。
私は先輩から、「必ずお土産を持って電話しなさい」と教えられました。商談につながらなかったとしても、相手に情報を提供することで、「この電話に出てよかった」と思ってもらうことが大事だと。
信頼を積み重ねれば、いつかはゴールにたどり着きます。自分で相手からの印象を毀損しないというのは、日頃から心がけるべきだと思います。
向井:
「毀損しない」か。いい言葉ですね。
茂野:
私はインサイドセールスとテレアポとの違いを聞かれると、「フロー型かストック型かの違いです」と答えています。インサイドセールスはストック型なので、情報や信頼を積み重ねられるかが重要です。そのために何が必要かを考えて、行動設計すべきだと思います。
会社である以上、業績を考慮して短期で数字を追う場面もあるでしょう。今は潮目だからアクセルを踏もうというタイミングもあるし、それを否定する気はまったくありません。
その状態にあっても、インサイドセールスの責任者の方々には「ベストケースを追求する姿勢」を諦めてほしくないです。数字は作らなきゃいけない、でもお客様からの信頼も積み重ねていきたい。この両立をどう実現するのか考えるのが、インサイドセールスの責任者のもっとも重要な仕事だと思います。
向井:
私は普段、支援している企業にこう伝えています。
「お客様が皆さんの会社やプロダクトに興味があれば、問い合わせをします。リードから問い合わせが発生していないのなら、お客様は皆さんに興味がないのだと捉えてください」
興味がない方々に対して、「あの会社(商品)が嫌いではない」という状態にするため、インサイドセールスとして何をすべきか考えてみてください。そうすると、いきなりお客様にヒアリングすること、サービスの特徴を説明することが、本当に正しいコミュニケーションなのかに気づけると思います。
耳が痛い話ではありますが、「相手は自分に興味がない」と自覚することが、インサイドセールスにおけるスタート地点という気がします。
茂野:
確かに、サービスや会社が認知されていないという点は考慮に入れるべきですね。
私はよくDMや手紙をいただくのですが、ほとんどの方が冒頭で「弊社は」から始まり、会社の概要がツラツラと書いてあります。その時点で、先を読む気がなくなってしまうんです。
なぜDMを送ったのか、どんなことを提案できるのかを最初に書くべきだと思います。「きっと相手は最後まで読んでくれる」「読んだら興味を持ってくれる」という前提が、この認識のズレを生んでいるのだろうなと。
いいたか:
GIFTFULに掲載していただきたいブランド様に連絡する時、最初はプロダクトが手元にない状態でした。私がやったことは、ギフト市場にどんな課題があるのか、その課題を解消した時に待っているワクワクする未来、そこに連絡したブランド様が必要だと伝えることでした。
すると、契約に至るかどうかは別として、「あなたの考えは面白い。もっと話を聞かせてほしい」という反応が得られたんです。皆さんの話を聞いていて、まずは興味を持ってもらうことが重要だというのを、改めて痛感しました。
答えはお客様が持っている
冨田:
お客様に関心を持って、信頼を積み重ねていくことの重要性は、多くの方が理解していると思います。でも、多くの人は「どんな情報がお客様の役に立つかわからない」「どうすればお客様が喜んでくれるのか分からない」という悩みを持っている気がするんです。この問題をどう解決すべきだと思いますか?
茂野:
私も同様の相談を受けるんですが、「お客様に聞けばいい」とお答えしています。
実際に受注できたお客様に、なぜ問い合わせをしてくださったのか、電話に出てくださったのか、商談しようと思ったのかを聞いてみてください。「御社には一度断られてしまいましたが、なぜ3ヶ月後に連絡してくださったんですか?」とか。
私も、新しい施策に取り組んだ時は、インサイドセールスメンバーに「なぜ問い合わせをくださったのですか?」と聞いてもらいます。なぜか、多くの人は感覚とデータで解決したがるんですよね。答えはすべて、お客様が知っていると思ったほうがいいです。
ちなみに、私が大好きな『無敗営業』著者の高橋浩一さんは、ギリギリで受注できたお客様に聞くことで、さらにヒアリングの精度を高められると言います。これを聞いて、私も「確かにそうだ」と思いました。
向井:
私も茂野さんと同意見で、まずはお客様に聞けばいいじゃんという発想に立つべきだと思います。既存のお客様がいるということは、すごく恵まれた状態だと思うんです。情報をしっかり取ることができるし、ヒアリングすること自体、決してハードルの高い行為ではありません。
それでも行動に移せないのは、自分の評価につながらないからかもしれません。アポイントを取ってはじめて評価される以上、それ以外のことに取り組む余力はないというケースを、さまざまな会社で目にしてきました。
だからこそ、継続して見込み顧客と会話できていたら評価するという仕組みを、少しでもいいので評価制度に取り入れるべきです。評価されることで、「お客様と丁寧に会話を重ねることは大切なのだ」と捉えられるようになり、意識変容や行動変容を促せます。
茂野:
「どうすればメンバーの行動変容を促せますか?」と相談されると、私は「それは評価制度に含まれていますか?」と聞きます。ほとんどの場合で、「含んでいません」という回答が返ってきますね。
難しい側面はありますが、私はメンバーに何かをやってもらいたいなら、その行動を極力評価につなげるべきだと考えています。マネジメントが現場で評価内容を調整できるよう、“遊び”のある制度を作るのがベストだと思いますね。
本当に強い組織はすぐにやってみて、すぐに変化できる
冨田:
評価に関連する話題として、商談の獲得、アポイントの獲得がKPIに設定されているケースは多いですよね。そうなると、数を追いかける=量をこなすのがもっとも簡単な到達方法になってしまいます。この考え方を、マネジメントなどの立場から変えていくことが必要だと思います。
茂野:
KPI=Key Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インディケータ)の意味を正しく捉えた方がいいですよね。本当に商談数が売上を伸ばす重要な指標なら、量をこなすことは間違いではありません。ですが、商談数はKPIではなく、数あるPI=Performance Indicator(パフォーマンス・インディケータ)のひとつに過ぎないというケースが珍しくありません。
商談数が本当に重要な指標なのかを考え続け、本当のKPIを探し続けてください。「どんな指標をKPIにすればいいですか」とよく聞かれますが、正直に「知りません」と答えるくらい、事業によってKPIは異なります。
なるべく指標はひとつに絞ったほうがいいですが、3つあったとしても構いません。
「この指標で業績がこう伸びる」という力学を発見することが、KPIを考えるということだと思います。
向井:
そのためにもデータが必要だということですね。
茂野:
はい。別にSFAを用いずとも、1,000件程度のデータならマネージャーがすべてチェックして、エクセルで管理したっていいと思うんです。どのツールを用いるかよりも、データを分析することそのものの方が重要だと思います。
いいたか:
KPIの話は、向井さんが冒頭でおっしゃっていた「プロセスを疑う」というのに近い発想だと思いました。周りが商談数をKPIにしているから、盲目的に同じ指標を使うことで安心するというか。
向井:
周りがこれをやっているからという意識は強いでしょうね。
茂野:
私は「いいものはどんどん取り入れればいい派」なので、一度やってみてチェックして、変えるところは変えて結果がよければ続けてみればいいと思います。
「本当にこのやり方でいいのか」と考えているだけでは前に進めません。同時に、盲目的にそのやり方を続けるのも違うでしょう。膨大な情報が共有されている時代なので、どんどん試してどんどん変えていくことを、組織全体に強いる方がいい結果につながりやすいと思います。
「ごめん!このやり方間違ってた!」
「このやり方がめちゃくちゃいいらしいのでやってみよう」
これくらい柔軟でいいのかなと。
その中で、組織のトップや経営者がやるべきは説明責任を果たすことです。
なぜこのやり方を正しいと判断したのか、逆になぜこのやり方を変えるのか。その説明をちゃんとした状態で、朝令暮改しつつどんどん変化していけるのが、最も強い組織の姿だと思います。
疑問を持ち続けよう。対話にこだわろう。介在価値を発揮しよう。
茂野:
私は師匠から、「半年間指標が変化していないのなら、仕事をしていないと思え」と言われたことがあります。厳しい言葉ですが、今はその通りだと思います。試行錯誤を続けていたら、指標が半年間も変化しないという状況はなかなかないことですから。
試行錯誤した結果、指標が変わらなかったという結論でもいいと思うんです。変化していないという事実に対して、「これでいいのか」と疑えることが、組織として健全だと思います。
仮に、他社の営業活動のフェーズを模倣するとしても、「正しくコピーできているか」が重要だと思います。社内の誰が見ても、フェーズの定義が同じ状態になっていますかと。この認識がブレている企業は、多い気がしますね。
向井:
評価やマネジメントの目的で、フェーズ管理を導入しているとそうなりがちですよね。
冨田:
例えば、3から4のフェーズに上がる段階で、お客様はどんな状態になっているのか。そのために、自分たちが何をしなければならないのか。本来はこの2つの思考をセットにして考える必要があるのに、いずれかの思考が欠落して売り手目線での会話に陥る企業は、多い気がします。当社でも実際にその問題は起こっていました。
向井:
私はその状態を、「買い手不在のSFA」と表現しています。
いいたか:
なんて恐ろしい言葉だ(笑)。
向井:
買い手不在のSFAでは、売り手側が何をするかを管理しています。そこにお客様という概念はありません。「お客様をどういう状態にするか」という視点で、次のアクションを考えているんですよね。
茂野:
マーケティングにしてもインサイドセールスにしても、昔よりも見える情報が増えた結果、数字に囚われすぎているというのが、原因のひとつだと思います。
私は、分析において数字はヒントであり、答えではないと捉えています。それよりも、もっと定性的な要素にこだわってほしいなと。
いいたか:
お客様が何を考えているのかを見失ってはいけないのに、データが簡単に集められる時代だからこそ、目の前の数字に踊らされてしまう現象が起きやすいのかもしれませんね。
冨田:
根本的な原因は、マネジメントサイドにあると思います。私も含めて、KPIをはじめとした数字ばかりに目を向けて、数字の中にある実態や定性的な情報を把握できていないなと。
茂野:
マネージャーもそうですが、私はプレイヤーこそ定性的な要素を意識すべきだと思います。目の前でお客様を見ていて、定性的な情報をもっとも持っているのがプレイヤーなわけですから。
インサイドセールスの方々は、お客様のリアクションや発言をどんどん組織に伝えるべきです。「顧客体験を考えたら、こういうやり方がいいのではないか」という声を、積極的に上げてほしいと思っています。
私は、インサイドセールスの方々に「数字を達成してください」だけを伝えることはしません。「介在価値を発揮してください」という言葉を必ず加えています。
商談機会が得られなかったお客様から、信頼を獲得することも介在価値です。
プロセスの改善をするのも介在価値です。
お客様からの定性的な情報を、組織に伝えることも介在価値です。
もちろん、数字を達成することも介在価値です。
自分の仕事に線を引かず、肩書の枠を超えて介在価値を発揮しようと思える人が増えたら、きっと素晴らしいチームになるし、良質な顧客体験を提供できるようになると思います。
いいたか:
期せずして、すごくいい締めの言葉をいただいた気がします(笑)。
せっかくなので、皆さんから今後のインサイドセールスに対する期待や、インサイドセールスに取り組む人に伝えたいことを一言ずついただいて、この場を締めようかなと。
冨田:
売り手側の自分本意な活動はうまくいかないということを、皆さんの話を聞いて再認識しました。デジタルで情報が取得しやすくなった世の中だからこそ、お客様との直接的なコミュニケーションを丁寧に行って、自分の目や耳で実態を知らなくてはいけないなと。
そこで得た情報を、デジタルと融合して進化させていけば、よりよい購買体験につながると思います。そこを目指していきたいですね。
向井:
インサイドセールスにおいて、いかに商品や会社の魅力を伝えて、アポイントを獲得するかという仕事に従事している方が非常に多いと思います。会社の売上を伸ばすためにも、アポイントを獲得するインサイドセールスは大事な存在です。
一方で、皆さんには「伝える=speech」だけでなく、「対話=conversation」もコミュニケーションの軸として意識していただきたいです。
伝えるという行為は、自分に主導権があるので実はとても楽な行為です。対話を意識し始めると、相手の言葉を引き出してそれに反応しなければいけません。そのため、無意識に避けてしまう人は多いです。
今日のお話を通じて理解していただきたいのは、残念ながら電話の先にいる方は、皆さんの会社が大好きな状態ではないという点です。まずはお客様から嫌われていない状態を作るために、丁寧な対話を心がけていただければと思います。
茂野:
私からは2点お伝えしたいと思います。
1つ目は、「あなたにとってインサイドセールスはどんな仕事ですか?と聞かれた時に、自分なりの答えを持ってほしい」ということです。そして、2つ目は「その答えが、自分にとってワクワクするものであってほしい」ということです。
例えば、「インサイドセールスはマーケティングの獲得したリードを商談にする仕事です」というのは、事実ではありますがあまりワクワクしません。ここに自分なりの考えやこだわりを加えることで、職務要件定義や仕事上の線引を超えられます。
マーケティングに関わってもいいし、フィールドセールスに同行してもいいし、KPIを設計してもいい。自分なりに、ワクワクできる仕事の定義を作ることが、すごく重要なことです。この記事を通じて、考えてみるきっかけにしていただければと思います。
いいたか:
せっかくなので、私も一言。今日の話を聞いた私の結論は、「疑問を持つことは大切」ということです。人は誰しも、今取り組んでいることが正しいと思いたいものです。3人の話は内容こそ違えど、「疑いを持つことが重要だ」という点に集約されている気がしました。
向井:
健全に問いを立てることが大事ですね。問いを立てた瞬間、答えを求めて人は動き出せるので。
茂野:
私たちも、事業を展開する中で分からないことだらけですし、状況は常に変化します。そこで生き残るためには、問い続けることが大切なのだと思います。
冨田:
改めて、向井さん、茂野さん、いいたかさん。本日はありがとうございました。
今回の「THE LEADERS」特別編はいかがでしたか?今後もインサイドセールスの現場を取材して、皆様に有益な情報、最新の情報をお届けしていきたいと思います。次回もぜひご覧ください。
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