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ABMとは?メリットと注意点、最適な導入の進め方とおすすめツール5選

売上を順調に伸ばしている企業の中にはABMの手法を使って効率的に営業活動をおこなっている企業が増えてきています。

ABMとは何か、メリットや導入の注意点やおすすめのツールなど、ABMについて詳しく解説しています。これからABMを導入検討をしたいという企業様は参考にしてみてください。

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?

アカウントベースドマーケティング(ABM)とは、端的に言えば、特定のアカウント、つまり企業をベースにして実施するマーケティング手法です。

一般的に、マーケティングは「リード」という個人を対象にして実施されていますが、アカウントベースドマーケティング(ABM)は企業を対象にします。
企業のあらゆる意思決定者がアプローチ対象となるため、点ではなく面で攻略していくことで、よりBtoBマーケティング及び営業活動の成果を生み出すことができます。

アカウントベースドマーケティング(ABM)の基本的な流れとしては、まずポテンシャルのあるターゲット企業を設定し、その企業をよく知り、コンタクトポイントを創出します。
そしてマーケティング部門や営業部門などの複数の部門が連携して適切なタイミングで適切なアプローチを行い、商談、及び案件の受注につなげます。

①リード・ベースド・マーケティングとの違い

ABMとリード・ベースド・マーケティングの大きな違いは、簡潔に表現するとターゲットを絞るか、絞らないかです。ABMでは、具体的な対象企業(アカウント)を決めての営業を前提とし、リード・ベースド・マーケティングでは、個人(リード)を獲得するために、不特定多数に対して営業をかけていきます。

ABMは、「どの会社を対象にすれば売上を最大化できるのか?」という観点から始まるため、最初からターゲットが具体化されています。そのため、予算やリソースを集中させやすく、効率的に活動できるメリットがあります。

一方リード・ベースド・マーケティングでは、不特定多数のリードへアプローチをし、あらゆるコンテンツを活用しながら自社への関心を高め、受注に結び付けていきます。リード・ベースド・マーケティングでは多くのリードにアプローチする必要があるため、リソースやコストがかかるデメリットはありますが、想定外のターゲットから受注する可能性があるというメリットもあります。

②デマンドジェネレーションとの違い

BtoBのマーケティング手法には、デマンドジェネレーションもあります。デマンドジェネレーションは、見込み客の獲得(リードジェネレーション)、育成(リードナーチャリング)、絞り込み(リードクオリフィケーション)の3つのフェーズを通じて、ホットリードを獲得し、受注角度を高めた状態で営業部門に引き渡す手法になります。

デマンドジェネレーションでは、マーケティング部門が主体となってセグメント(業種、市場、企業規模、地域、役職など)したターゲットにアプローチを行います。

ABM手法を取り入れる企業が増えた理由

ABMの手法をとり入れる企業が増えてきた理由は主に3つあります。

①多くの企業がMAやCRMを導入するようになった

営業の業務効率化などを目的にSFAやCRM、MAなどのシステムを導入し、顧客管理や営業活動をしやすくなったという側面があります。データ化された顧客情報をもとに、売上や成果を上げるためには、どのような企業にアプローチすべきか、戦略や売上予測が立てやすくなったことも、ABMの手法をとり入れる一つの要因といえるでしょう。

②対面営業以外の営業スタイルの確立

WEB商談やウェビナーなど、オンライン上でコミュニケーションが増えてきた影響で、訪問営業に頼らない営業スタイルが確立されたことも、ABMの手法をとり入れやすい要因と考えられます。MAやCRMに蓄積されたデータを有効活用しながら、顧客生涯価値(LTV)を高め、アップセルやクロスセルへとつなげることも重要になってきました。

従来「営業は足で稼ぐ」と言われ、その経験や勘など業務そのものが属人化しやすかった営業や顧客管理は、今はデータをもとにABMなどの手法を使いながら戦略的かつ効率的におこなう業務と変化してきたのです。

③顧客との対等な関係

古くから日本企業は「顧客第一主義」という顧客へ尽くす姿勢でビジネスを展開し、顧客へのサービスが企業の評判を決める、ものさしのような役割を果たしてきました。

しかし、昨今では、顧客の立場でニーズに合わせた商品の開発やサービスを展開するようになり、顧客や取引先とは対等なパートナーと位置づける会社が増えてきました。

このように、自社の売上に貢献してもらえる顧客を会社が選ぶ時代に変化したことで、特定の企業に絞ってアプローチをするABMが注目されるようになってきたのです。

ABM導入のメリットと注意点

実際にABMの手法を自社のビジネスに展開するときのメリットと気になる注意点について解説していきます。

ABM導入のメリット

営業の効率化を求めるなら、ABMの導入検討は欠かせない手法のひとつです。ABM導入のメリットについて6つご紹介します。

①ROIの向上が期待できる

ABMは、自社の売り上げに貢献するターゲットアカウント(企業)を特定し、マーケティングを実施するためROI(投資利益率)の向上が期待できます。そのためには、CRMに蓄積しているデータから1社あたりの売上額や商談日数の短さ、業界や抱えている課題など、アカウントを細かく絞ることが重要になります。

②リソースのコスト削減

リード・ベースド・マーケティングなどの幅広いターゲットへアプローチする手法は、、アプローチにかけるリソースが分散されがちです。その点、ABMは特定のアカウントにアプローチを集中するため、効率よくマーケティングを実施できます。

③PDCAの高速化

ABMはアプローチするターゲットを初期段階から絞り込めるため、戦略を策定しやすいのが特徴です。どのプロセスでアプローチをかけるのか、手段やチャネルなどを随時検討できるため、PDCAサイクルが高速化します。初期の段階で具体的な指標やゴールを決めておくことが、成功のポイントです。

④ターゲットが決まっているため、アプローチシナリオを策定しやすい

ABMでは、ターゲットを絞ってマーケティングや企業分析をおこないます。自社のサービスや製品との親和性、関心や興味度合いのマッチングを実施して、アプローチをするため、どの企業へ何を提案していくか明確にしやすく、アプローチしやすいというメリットがあります。

⑤マーケティング部門と営業部門が連携して動く

ABMは、マーケティング部門がリード創出を担当し、その後は営業部門が担当するといった形態で、最終ゴールである成約までのプロセスを分担します。そのため、両部門で共通の目標を持って戦略を実行するため、部門間の連携が行いやすくなります。

⑥組織全体で取り組んで行くと属人化がなくなり、可視化が可能になる

ABMを組織全体で取り組むことで、今まで部門で管理していたリードや商談を部門の枠を取り払って関わっていくことになります。属人化していた顧客の情報や案件などを社内で共有していくことで、案件の進捗や売上予測はもちろん、次の戦略を組織で考案していけるようになります。

お互いのノウハウやターゲットへのアプローチを可視化できるようになるので、顧客満足度の向上にもつながっていきます。

ABM導入のデメリット

ターゲットを絞って効率よく営業活動を展開できるABMですが、企業によっては手法が合わないなどのデメリットもあります。自社のサービスとマッチするか検討することが成功のカギになります。

①手法がマッチしない企業もある

副商材やサービスを持っておらず、クロスセルやアップセルができない企業はABMの手法が合わないケースもあります。ボリュームアップが望めない場合には、ABMを導入してもあまり意味がありません。

②顧客規模が小さいと意味をなさない

ターゲット顧客の企業規模が小さいABMはターゲット企業を絞り、集中してアプローチする手法のため、1社あたりから生み出される売り上げ金額が低い場合、かえって非効率になることもあります。そのため、大手企業や大規模中小企業などをターゲットとしている企業の方が、ABMで効果を感じやすいでしょう。

③マーケティング部門と営業部門の連携ができないと成果が出ない

ABMはマーケティング部門と営業部門の両方の連携がなされていないと軌道に乗せるのは難しい手法です。
例えば、マーケティング部門がホットリードを営業に引き渡しても、その後のアプローチができないなどの理由がある場合には、まずはリソース配分やそれぞれの部門の課題、連携できない理由の解消などから解決する必要があります。

ABM導入の注意点

運用が回りだすのに時間がかかる

ABMの手法は、組織全体で取り組む必要があるため、運用が軌道に乗るまで時間がかかることがあります。
そもそも、マーケティング部門と営業部門、それぞれの方針がABMにマッチしない可能性もありえます。全社的に取り組むべき課題となることも念頭に置き、全社またはグループ全体への周知からはじめ、実際の運用に向けて環境整備(MA、SFA、CRMの連携)や方向性を伝えていきましょう。

ABMの導入が最適な企業と進め方

ABMの導入はどんな企業でも可能、というわけではありません。適する企業やサービスなど、いくつかの条件がマッチしてはじめてABMの手法が活かされます。ABMを導入するにあたって最適な企業と進め方についても説明していきます。

ABMは万人受けする手法ではない

アプローチターゲットが明確になるABMは、国内の企業すべてに当てはまる手法ではありません。中小企業やベンチャー企業など、ターゲットが多い商材を扱う会社や、エンタープライズ(大規模~中堅規模)との取引がない企業には向いていない手法です。最短手段で大きな利益をあげるABMの手法だからこそ、ターゲットや商材も重要なポイントとなってくるのです。

ABMが向いている企業

ABMが向いている企業の特徴は以下の通りになります。

①高額商材を扱っている

高単価の商品を扱っている企業はABMが向いています。少数精鋭のようなアプローチを展開する場合には、単価が大きいほど売上があがり、ABMの効果が発揮されやすいといえます。

②自社に顧客データの蓄積がある

中堅~大手の企業との取引があり、さらに早くからSFA、CRM、MAを導入している企業の場合、アカウントデータが蓄積されているため、ABMが展開しやすいといえます。

③エンタープライズ企業が取引先

リソースを集中させるため、高いROIが期待できるエンタープライズ企業が取引先である企業の方がABMに向いているといてます。少人数精鋭でABMを遂行するため、売上をあげるためには、ターゲットからの売上額のボリュームがあることが必須となります。

④顧客先の意思決定者やキーパーソンが複数部署に存在

エンタープライズ企業は、部門が多数存在し、意思決定者やキーパーソンが部門ごとに存在します。そのため複数部署での成約が可能になります。

⑤アップセルやクロスセルの複合的なサービス展開が期待できる

ひとつの商材よりもアップセルやクロスセルで、取引単価を挙げていくことがABM手法の目的ともいえます。従業員や企業規模が大きいなど、一企業の取引単価が高く出来ることがポイントになります。

ABMの進め方

①事業目標から導入ができるか判断する

前述した通り、全ての企業にABMの手法が当てはまるわけではありません。ターゲットを絞れることや自社のサービスや商材が高単価であることなど、ABMの手法にマッチする条件が揃っていることを最初に確認する必要があります。

②チームを作る

営業やマーケティング、インサイドセールスの部門が共同でチームを作ることがポイントになります。また、顧客データを基にして、アカウントのアプローチに対して適切に調整する役割を担うチームづくりも重要になります。

③ターゲット企業やアカウントの選定とリスト作成

自社にとって「注力すべきアカウント(企業)はどこか」を検討する必要があります。企業規模や業種、地域などの属性から判断していき、データの蓄積がない場合には法人リストを購入する方法もあります。

また、顧客と取引先など過去のデータを照会して、自社が理想とするアカウント像を作成します。その後、ニーズや課題でセグメントし、優先度をつけ活動できるようにしていきます。これにより、活動を定量的に検証しながら、効果的なセグメントに注力できるようになります。

④アプローチ方法を考える

リストアップしたアカウントからキーパーソンやペルソナとなる担当者を特定します。役職や立場などを考慮し、意思決定者へアプローチしていきます。意志決定者やキーパーソンが見つからないときには、コールドコールやダイレクトマーケティングの手法を用いることも重要です。

⑤実施結果のモニタリングと効果測定

コンテンツやアプローチをする際に、メールや電話、Web広告などのチャネルを使い、キャンペーンなどを打ち出したり、結果をモニタリングしたりして、効果の実証をおこないます。分析結果を基にPDCAサイクルやアクションマッピングなどを検討していくことで、さらに確度の高いアプローチが可能になります。

ABMの活用とおすすめのツール

フェーズに合わせたツールを選ぶ

①新規顧客のリード獲得、育成フェーズ

顧客の獲得、育成に向いているのがMAやABMツールになります。ターゲットやアカウントの特定がしやすいものを選定します。顧客にパーソナライズしたチャネルでのアプローチ、リード管理なども可能になります。

②商談フェーズ

商談フェーズでABMを導入する際には、SFAが最適です。顧客情報の管理や案件の進捗管理や営業活動を可視化できるため、マーケティング部門と営業部門の連携がしやすいのが特徴です。

③顧客維持管理フェーズ

CRMツールをABMで活用することも可能です。膨大な顧客情報を管理し、ターゲットの規模やアカウント抽出、顧客のセグメンテーションを効率化するのに役立ちます。

ABM推進におすすめのツール

ABMを社内で推進させるためには、自社内に合ったツールの導入をおこなうことも必要です。ABMをおこなう上で必要な機能を兼ね備えたおすすめのツールをご紹介します。

①【SFA】Salesforce(株式会社セールスフォース・ドットコム)

SFAの代表格である、Salesforceは、顧客情報の管理と商談フェーズの案件管理とともに営業活動の可視化が可能なツールです。
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②【CRM】Microsoft Dynamics 365(Microsoft)

Microsoft社のMicrosoft Dynamics 365は、大規模組織になじみの良いCRMツールです。必要な機能を網羅していています。
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③【MA】HubSpot(HubSpot)

HubSpotは、マーケティング業務の自動化ができるMAツールです。メール配信、アクセス解析、コンタクト管理などができるので、セグメントリストの抽出やホットリードをスピーディに抽出できます。
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④【MA】マルケト(Adobe Experience Cloud)

マルケトは、顧客の属性やオン・オフラインでの行動やインサイトを把握し、適切なタイミングでのアプローチが可能になります。長期的にリードを育成していくのにも向いているMAツールです。
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⑤【ABM】フォーカス(FORCAS)

フォーカスは、膨大な143万社のデータを保有しており、成約率の高いアカウントを特定可能なAMBツールです。自動顧客分析機能があるので、受注傾向やポテンシャルを分析し、リスト化することが可能です。
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まとめ

ABMの手法を使って効率的に営業活動をおこない、成約率を挙げていくためには、ツールでの分析やターゲットのセグメントが重要になってきます。
まずは自社がABM手法にマッチするか条件を確認し、さらに自社の特性に合わせたツールと部門の連携をおこなうことで、ABM導入がスムーズになります。

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スマタイ編集部
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