インサイドセールス人材の採用・育成方法を適性スキルと共にポイント解説
リモートワークが主流となりつつある昨今、多くの日本企業がインサイドセールスを導入し始めています。しかし、インサイドセールスの導入を急ぐあまり、今まで外勤営業をしていた社員に業務を任せるような、その場しのぎの対応をしている企業も少なくありません。人材の適切な育成、適材適所への配置や採用をしない限り、テレアポ部隊になってしまう可能性が高いです。
本コラムでは、インサイドセールス人材の採用と育成方法について解説していきますが、これからインサイドセールス担当者としてのキャリアを検討している方にもお勧めの記事となっております。
インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、元々広い国土を誇るアメリカや複数国境を越える必要のある欧州地域などで活性化した営業手法であり、電話、メール、ビデオ会議システム等を用いて非対面で顧客とのコミュニケーションを行う手法です。コミュニケーション結果やアプローチした内容はSFA、CRMなどの営業管理ツールを用いて、データを正確に入力しながらフィールドセールスと連動した数値目標を達成するためにPDCAを回していきます。
インサイドセールスについてはこちらを参照ください
◇インサイドセールスとは?営業のプロセスを交えて解説
インサイドセールス担当者採用の課題
インサイドセールスは、対面で商談しないイメージから業務や教育の難易度が低いと思っている方もいますが、実際には様々な障壁があります。電話において相手の表情が見えない中、いかに情報を引き出し商談へと繋げるか、メールの返信をもらうための工夫など、場合によってはフィールドセールスよりも難しいスキルを要することもあります。
従来の営業とは違ったスキルも求められるため、このような専任職の育成や確保の難易度は高く、多くの企業が抱える課題でもあります。
経験者やスペシャリストの確保が難しい
日本企業におけるインサイドセールスの形が確立されたのは、まだ3年から5年ほど前であり、経験者は市場にそれほどいるわけではありません。特に、マネージャーやリーダークラスといったスペシャリストは需要に対して供給が追いついておらず、社内でのインサイドセールス部門の立ち上げや運用のハードルを上げています。
某転職サイトなどでは、インサイドセールスの採用情報はフィールドセールスより高い年収で掲載されているくらい、その確保が難しいのが事実です。企業によっては社内リソースや採用可能枠を考えた上で、採用からアウトソースに切り替えるケースが多いのもそのためです。
必要スキルを持つ人材の採用ができない
インサイドセールスに必要なスキルが何か、要件定義や基準を構築するのが難しく、企業側も社内で採用基準を設けるのに苦戦するでしょう。
例えば、インサイドセールスをこれから本格的に導入する企業の場合は、そもそもインサイドセールスのミッションすら決まっていない場合も多く、社内の営業リソースや経験者の人数を見た時に、どれほどのレベルの人を採用すべきかを判断することが難しいです。インサイドセールスの導入目的や社内での役割を明確に定義してから、レベルやスキルを設定して採用活動を始める必要があります。
インサイドセールスに向いている人材とは
フィールドセールス経験者がそのままインサイドセールスに向いているかというと、決してそのようなことはありません。インサイドセールスの業務は目先の売上を上げることだけではなくだけではなく、商談を創出、醸成していくことがミッションであり、電話による「説明」より電話の中で「聞く」機会が多いのです。
これらの得手不得手を理解して、インサイドセールスの適正を見極められるかが、最適な人員配置をするための鍵になります。以下で紹介する特徴を持った人材は、インサイドセールスの適性がある可能性が高いので、参考にしてみてください。
コミュニケーション・情報収集が好きな人
皆さんも自分が話しているときに、話を被せてくる人と会話をしていて嫌な気持ちになった経験は一度くらいあるのではないでしょうか。インサイドセールスは、電話など非対面の状況で相手から情報を引き出すためのコミュニケーション能力が問われるため、このような小さな気遣いも必要不可欠な要素です。
そのため、自分のことを一方的に話すことが好きなタイプよりも、相手の話にも耳を傾けられる聞き上手な人の方が向いています。
とはいえ、自分からも会話をしていかなければ相手との信頼関係の構築はできず、ヒアリングも行えないでしょう。特に、顧客の業界業種に関する最新情報や事例などを会話に盛り込むことができれば、顧客との距離は一気に縮まります。
そのため、傾聴力以外にも、情報収集が好きな人にも注目してみると良いでしょう。
地道に業務を遂行できる、継続力がある人
インサイドセールスは、商談獲得までをミッションとしていることが大半のため、営業部に商談が渡ってから成果(売り上げ)が出るまでに時間がかかってしまいがちです。そのため、結果に固執してしまうとモチベーションの維持が難しくなってしまいます。
また、追いかけるリードによっては、商談獲得までに時間がかかってしまうこともあります。
このように、目先の商談や案件ばかりではなく、地道にメール送付やフォローコールなどを通してリードを醸成していく必要があるため、コツコツと進めていける人、継続力がある人は向いていると言えます。
インサイドセールス担当者に求められる5つのスキル
「インサイドセールスに向いている」だけではなく「インサイドセールス成功に必要なスキル」も備えておく必要があります。ぜひ、担当者の採用や育成すべき点の確認に活用してみてください。
ヒアリング力・質問力
インサイドセールスはBANTCH情報と呼ばれる「予算やニーズといったリードに関する情報」を集める必要があります。そのため、一方的な説明ではなく、会話の要所で質問を投げかける能力が要求されます。
但し質問ばかりでも、短い電話の時間の中では相手に苦痛を与えてしまうので、いかに会話の自然な流れで質問できるか、知りたい情報をまとめてヒアリングできるかがポイントになります。
同じくメールの文章構成でも質問だらけで文字量が多いと、欲しい回答が抜け落ちてしまう事もあるため注意が必要です。
理解力と想像力
インサイドセールスは知り得た情報がどのような内容かを理解して、その情報がいかに提案に役立つかを想像できるか、商談を醸成する上で重要なスキルと言えます。想像力を働かせるためにも、日頃からイレギュラーな内容へ対応できる準備や対策をしておくことがポイントです。
トークスキル
丁寧な言葉使いというよりは、顧客が話を聞きたい、話したいと思わせるトークスキルがあると良いでしょう。テレアポのようなプッシュ型のトークではなく、担当者と会話のキャッチボールができることを前提に、作成したトークスクリプトを臨機応変に活用することが大切です。
今している電話のゴールが何かをイメージしながらトークを進められるかがポイントになります。
会話を円滑に進めるという意味では、テレアポのスキルともリンクする部分があります。
情報処理、データ入力のスキル
インサイドセールスが電話の中で獲得した情報は会社の大事な資産であり、データベース化する必要があります。他の部門と比べインサイドセールスはPDCAを回す頻度が高く、蓄積したデータを分析し改善できる箇所はすぐに修正をするため、正確なデータ入力が求められます。
会社によってSFAやCRMのようにデータを入力するシステムがあれば、その登録ルールに則り正確に入力していくことが求められます。また、情報を簡潔にまとめ、他の人が見ても伝わるようにまとめて入力できる必要があります。
商品知識、業界知識
自社が取り扱う商品はもちろん、場合によっては取引先や仕入先などの商品知識についても学ぶ必要があります。そして時間はかかりますが、業界知識や専門知識をつけることで顧客との会話の幅が広がります。
インサイドセールス人材育成における4つのポイント
インサイドセールスの人材育成には、組織として営業プロセスを理解した上で役割分担が明確になっている必要があります。そのうえで、インサイドセールスという役職がどのような役割を担うものなのか、他の役割との境界線や違いはどこかなどを、マネジメントする時にしっかり認知した上で取り組むことが重要になります。ここでは役割分担を「分業」と定義して解説していきます。
分業と情報共有体制の構築
営業活動を分類分けすると、大きく次の6つに分けられます。
- 見込顧客の創出(リード獲得)
- 見込顧客へのアプローチ(関係構築)
- 商談の発掘、醸成(リードの精査)
- 見積もり、提案
- 受注、納品(クロージング)
- カスタマーサポート、カスタマーサクセス
インサイドセールスでは主に見込み顧客の創出から、商談の発掘、醸成を担うことが多く、リレーのバトンのように、そこまでで獲得した情報を次の役割に渡すための情報共有体制を構築する必要があります。マーケティング部門やフィールドセールス部門など各部門や各担当間での情報共有、引継ぎなどにおいて、きちんとしたルールを設けておき、共通認識を持つことが重要です。
KPI設定と進捗確認の徹底
インサイドセールスは決して、アポイントの獲得だけが目的、目標ではありません。電話数、有効会話数、商談獲得数、有効商談数、契約数のプロセスにおいて、それぞれKPI(重要業績評価指標)を目標として設定することで定量的に管理を行い、チーム全体や担当者間で進捗を共有する必要があります。
進捗が悪い場合、なぜ悪いのか原因やボトルネックになっている要素を特定し、チーム全体で共有することが大切です。
使いやすいシステムを導入
ノウハウを社内共有するための仕組みを構築するためには、得られた情報を蓄積し、可視化しやすいシステムを導入することをおすすめします。顧客情報、会話の履歴、メールの履歴、ヒアリングの情報、商談のステータスなどを入力し、検索したり、スコアリングできるようなCRMやSFA、MAなどの仕組みがあると社内共有がスムーズであり、コミュニケーションが取りやすくなります。
また、架電内容を録音したりCRMと連携ができるCTIシステムはコールセンターなどでも活用されており、架電業務の効率化を図る上では必要不可欠なツールです。
トークスクリプトで補助し、フィードバックを行う
インサイドセールスが独自で活動しても、トーク内容がどうだったか、FAQが整備されているかなどを見える化しなければ、組織としては単独プレーをさせていることになります。これらのナレッジはトークスクリプトを作成して、再現性を持たせることで次の育成対象者を研修、教育するための教本にもなり、またトークの良し悪しや成果を判別することもできます。
まとめ
インサイドセールスの人材を育成することで、属人化を防ぎ、組織全体のスキルアップ、営業の効率化に繋がることをお伝えしました。しかし、国内では未だインサイドセールスという概念が浸透しきっておらず、運用実績を持つ企業が少ないことが事実です。インサイドセールス担当者を中途で採用しようにも、市場に人材がほとんどいないという事態はすぐに解消される問題ではありません。
中途採用が難しいからこそ、育成によってインサイドセールス人材を確保していくしかないのです。インサイドセールスのナレッジ、ノウハウが広まっていない現状では、手探りで人材育成を進めるしかないという企業の皆様は是非、今回解説した内容を元に自社にあった方法でインサイドセールスの採用、育成を考えてみてください。
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