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インサイドセールス
基礎知識

インサイドセールスの市場規模とは?導入理由や活用法を紹介

アメリカでは数年前から主流になりつつあるインサイドセールスですが、最近は日本でも導入する企業が増えてきており、市場規模を拡大させています。この記事では、日本国内でインサイドセールスの導入が増えている理由や効果的な活用法、導入するメリット等をご紹介します。

インサイドセールスとは?

インサイドセールスは「内勤営業」とも呼ばれ、直接訪問や対面するのではなく、電話、メール、Web会議などで見込み顧客との接点を拡大する営業方法のことを指します。
新規開拓では見込み顧客の情報収集と興味関心度合いの引き上げなどの役割を担い、既存顧客に対しては、現状の課題やこれからの改善策等のサポート、よりよい製品やサービスの提供などを目的としてアプローチします。

期間や手間を要する顧客との定期的な接点づくりや顧客情報収集の業務を営業担当者と分業することで、営業活動の効率化にも繋がります。

フィールドセールスとの違い

フィールドセールスとは、一般的な営業活動における「訪問営業」と「受注」の2つの活動プロセスのことを指します。
インサイドセールスが関係性を構築して受注見込みを高めた顧客に対して実際の商談で製品やサービスの紹介をしたり、最終的な契約や受注を獲得するため、インサイドセールスとの強固な連携体制が必要な営業戦略です。

インサイドセールスの市場規模

各種データや調査報告によると、世界的にインサイドセールスの市場規模が拡大していることが分かっています。
アメリカ合衆国労働省労働統計局の2015年3月時点のデータによると、米国では、リーマンショックの起きた2008年以降、毎年順調なペースでインサイドセールス市場が成長しているとの報告もあります。

欧米におけるインサイドセールスの「売上高」は45%強

InsideSales.com創設者のKen Krogue氏がForbesに寄稿している記事によると、InsideSales.comが2017年に発表した、米国1,151社、ヨーロッパ28ヶ国を対象にした調査報告書では、米国には対面セールスまたはリモートセールスを行っている人員は570万人おり、そのうちフィールドセールスの売上高は52.8%、インサイドセールスの売上高は47.2%でした。

欧米におけるインサイドセールスの「割合」は40%強

またInsideSales.comの同調査では、米国のセールスチームのうち、2017年時点でインサイドセールスは43.5%を占めており、2018年には44.4%、2019年には45.5%にまで成長すると予測されました。

ヨーロッパのセールスチームは、2017年時点でフィールドセールスは62.9%、インサイドセールスは37.1%の割合で構成されており、インサイドセールスは2018年には39.2%、2019年には41.6%とわずかに伸びると予測されました。最終的に47.5%を目標にしているといいます。

またInsideSales.comが行った、米国の国勢調査データを用いた予測によると、2017年の米国内の570万人のリテール営業以外のセールスマンのうち、43.5%がインサイドセールス担当者であり、56.5%がフィールドセールス担当者と推定されています。そしてインサイドセールスとフィールドセールスのバランスは徐々に均衡に向かってシフトしていると述べています。

そして注目に値するのは、フィールドセールス担当者が、リモート営業(電話など)について45.4%の時間を費やしていることだといいます。これは2013年以来89.2%の増加です。

米国大企業でもインサイドセールスは急速に成長

Ken Krogue氏によると、売上高5億ドル以上の大企業は、売上を加速させるために依然としてフィールドセールスが優勢ではあるものの、インサイドセールスは急速に成長していることが分かっているといいます。

例えば、調査対象の大企業は、フィールドセールスが2017年の売上高の71.2%を占めており、リモートセールスまたはインサイドセールスが売上高の28.8%を占めていますが、リモートセールスは翌年には30.2%になると予測しています。さらにこの大企業は平均40.3%の理想的なインサイドセールスミックスを目指していると述べていることから、インサイドセールスはさらなる成長が見込まれています。

参考:
Forbes「New Sales Trend Research: US Sales Reps Lagging Behind European Counterparts」
Forbes「2017 Sales Trend Research: Inside Sales vs. Outside Sales」

インサイドセールスの国内の動き

前述のように米国で広がったインサイドセールスが、昨今DX化が推進されている日本国内でも導入企業が増えてきました。注目されている理由や、導入するメリットを以下で詳しくご紹介します!

SMB市場へのアプローチが注目されている

現在SMB(中小企業・中堅企業)市場が拡大しつつあり、各業界がターゲットをSMB市場に移行させるという変化が起こっています。
理由として、専門的な事業を行っている会社が多いため、提案側も顧客の課題点や需要を捉えやすく、社内の決裁者までたどり着きやすいということが挙げられます。

企業規模的にもインバウンドでリードが入ってくる割合も高く、施策にはWebサイト・Web広告・コンテンツマーケティング等が用いられます。
しかしリードが多く集まる反面、それら全てがターゲットになりうるわけではないため営業の効率化を図ってホットなリードを選別できるインサイドセールスとの相性が非常に良いです。

サブスクリプション型のビジネスモデルが拡大

日本国内でも主流になりつつある、インターネットを使ったサブスクリプション型のサービスは、インサイドセールスの営業手法と相性が良く、導入する企業が増えています。
サブスクリプション型とは、顧客の利用期間によって料金が変わるシステムで、企業側は契約期間中や更新のタイミングなど、多くの営業機会を作ることができます。
売り切り型ではないため、カスタマーサクセスチームによる顧客へのフォローアップや、フィールドセールスからのアップセル・クロスセルも必要になります。

このように、購買後も顧客との接点や商談の機会は増えますが、顧客の状況を把握しながら継続やステップアップを促す必要があります。
営業担当者一人では全てに対応することは難しいため、インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスなどが連携する体制はサブスクリプション型商材と相性が良いと言われています。

リモートワークの普及

リモートワークの普及により、基本的に顧客と直接顔を合わせずにオンラインで行うことができるインサイドセールスの活動が活発化されました。

顧客にとって営業スタイルが訪問かリモートかの違いは大きな問題ではないことも示されています。HubSpot Japan株式会社の調査によると「訪問営業とリモート営業のどちらが好ましいか」という質問に対し、前回調査では26.5%が「どちらでもよい」と答えたところ、2022年度では約1.5倍の38.%にまで増加しています。
引用元:日本の営業に関する意識・実態調査2022の結果をHubSpotが発表

働き方改革などの観点から見ても移動時間や費用などのコストカットができるなどメリットが多く、取り入れる企業が増えているリモートワークにも対応しやすい職種と言えます。

業務効率化の意識改革

近年、業務効率化の意識が高まっているものの、人手不足により未だに1人の営業担当者が多くの業務を抱えていることも少なくありません。
これらを解消する方法として、営業の分業化が注目を集めています。

実際、従来の営業業務の組織体制や業務体制には多くの課題があり、当社(SALES RBOTICS株式会社)がインサイドセールスを実際に取り入れている企業を対象に行ったアンケートでは、次のような結果が得られました。

引用元:SALES ROBOTICS株式会社、インサイドセールスの内製に関する市場調査を実施

このように、「営業の属人性の高さ」や「新規開拓からクロージングまで一人で担当しており効率が悪い」など、営業業務の属人性の高さを問題視している企業は少なくありません。
そのため、分業化をする上で欠かせないインサイドセールスも注目を集めるようになりました。

インサイドセールスの種類

インサイドセールスといっても役割は複数あり、導入目的に応じて施策を変更する必要があります。以下では、インサイドセールスの主な施策を紹介します。

新規開拓型(BDR)

どの企業も苦戦する新規開拓は、インサイドセールスを取り入れて効率的に行うのがおすすめです。
自社のターゲット企業をABMツールなどを用いてTier(優先順位別)に分類し、優先的にアプローチすべき企業や担当者を割り出します。
その後、特定の企業へ向けて電話やメールなどで定期的にアプローチをし、接点を拡大していきます。

インバウンド型(SDR)

資料ダウンロードやお問い合わせ等の見込み顧客からのアクションに対して、早く正確に対応することが求められます。

しかし、見込み顧客の中にはまだ検討時期ではなかったり関心が薄い人も多いため、始めから積極的にアプローチをかけてしまうと、押し売りと感じて離れてしまうケースも少なくありません。
見込み顧客が求めている情報を見極めて定期的に有益な情報提供をし続け、顧客の興味関心度合いを徐々にニーズを高めていく「ナーチャリング活動」が重要です。

クロージングに特化して行う

購入や契約に対してハードルを感じている見込み顧客に対して、前向きに検討してもらえるように促すことが役割です。

特に高額商品やサービスは、見込み顧客が長期的な検討時間を要する場合が多いため、メールや電話などの手法で定期的にコミュニケーションを取ります。
その際に、抱えている課題や不安に対して自社の商品がどのような役に立てるのかを提案することで購入や成約に結びつく可能性が高まるでしょう。

インサイドセールスを導入するメリット

営業業務の効率化になる

見込み顧客の獲得から受注までの一連の流れを1人の営業担当者が行うには人材不足なうえ、非効率的かつ属人化してしまうため、業務フローの中で分業することにより案件内容を社内で情報共有することができます。

インサイドセールスはマーケティング部門が獲得した顧客との関係を構築し、興味関心度合いを高めてアポイントに繋げ、フィールドセールスはインサイドセールスの活動により確度の高まった状態の見込み顧客と商談をして、最終的な受注獲得の役割を担います。
インサイドセールスで顧客理解を深めてフィールドセールスにパスをすることで、スムーズな確度の高い商談を行うことができ、効率的に質の高い営業活動が進められます。

有効商談の創出に繋がる

インサイドセールスの活動で顧客にしっかりとヒアリングを行いBANT情報を収集することで、フィールドセールスには受注確度の高い見込み顧客をパスすることができ、有効商談や受注に繋がる可能性が高まります。

またインサイドセールスでは、SFAやCRMなどのツールを使うことによって見込み顧客の状況が可視化されて潜在的な課題や検討時期が予測できるため、それぞれに合わせた解決方法のアプローチができるようになります。

アプローチ機会の損失を防ぐ

インサイドセールスの効果として得られるものは他にもあり、今までは手の回らなかった過去失注の顧客や休眠顧客を掘り起こして、アプローチ機会を創出する事も可能です。

従来の営業方法では1人の営業担当者による業務量が多いため、進行中の案件を動かすことで手一杯になっており、休眠顧客へのフォローや新規開拓に時間を割くことができません。
しかし、インサイドセールスはそのような顧客にも、継続的に適切なタイミングでアプローチするため、接点を改めて持って信頼関係構築を行うことで契約や受注に繋がるケースも多くあります。

前述したように、インサイドセールスでは様々な営業支援ツールを用いて顧客の情報を詳細に可視化できるので、顧客との接点や情報が失われずにアプローチ機会を作ることができます。

インサイドセールスの効果的な活用方法

インサイドセールスツールの導入

インサイドセールスを運用する際には、見込み顧客の情報を可視化して共有することが欠かせないため、MAやSFA、CRMなどのツールを導入することがおすすめです。
具体的には、SFAでは顧客情報管理や営業の進捗管理、CRMでは見込み顧客の情報管理やスコアリング、MAではメールの作成や配信やマーケティング部門との情報連携強化を行う機能があります。
ツールは長期的に活用することで、ノウハウが蓄積され、営業の質や教育の質の均一化が期待できます。
また、ツールの価格や機能はピンキリなため、自社の課題に合わせたものを選ぶとよいでしょう。

営業フローを仕組化する

インサイドセールスを導入する際には、営業フロー全体を仕組化する必要があります。

  • 「マーケティング部門からどのようにリード情報を受け取るのか」
  • 「どの程度の見込み顧客を営業部門にパスするのか」

など、隣の部門との連携を強化する仕組みやルールを細かく設定することがインサイドセールスの成功において重要です。

KPIを設定する

マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの各部門ごとにKPIを設定するのはもちろん、連携する部門同士で共通のKGIを設定することも大切です。
設定する目標は定量的なものが望ましく、「受注率」「商談数」「架電数」「通話時間」「メール開封率」等があげられます。

個別のKPIだけを追い求めてしまうと、連携している部門とのギャップが生まれてしまったり、達成できない目標を設定してしまう恐れもあります。常にバランスを取りながら営業組織全体の目標であるKGI達成を目指して取り組みましょう。

効果測定をする

運用を始めると活動状況や成果が定量的に可視化されるため、各部門に必要な情報を調査し、調査結果を共有しましょう。
設定したKPIに対してよかった点や改善点も明確になるため、何がボトルネックになっているのかといった根本的な業務改善にもなります。また、定量的な情報をもとに分析をして、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの各部門が新たな施策に取り組むことで、さらに売上向上や業務改善に繋がります。

まとめ

今回は実際の事例を用いながら、インサイドセールスの市場規模や市場の状況についてご紹介しました。
これから営業効率化が求められる時代において、インサイドセールスはさらに重要な役割を果たしていくと考えられています。1人でも多くの顧客と接点を持ち、強い関係性を構築することで企業利益の向上や働き方の改善に役立っていくでしょう。

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スマタイ編集部
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