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インサイドセールスの運用を失敗する原因と解決策を5つ解説

インサイドセールスの導入により売上や顧客満足度の向上を期待している企業の方も多いと思います。しかし、実際には「リードの獲得が思うように進まない」「商談の成約率が低い」などの問題に直面し、運用に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

当記事では、インサイドセールスの運用が失敗する原因を5つに分けて解説します。それぞれの原因に対する解決策も合わせて紹介しますので、これからインサイドセールスの導入を検討中の方や、既に導入していて運用に課題を感じている方は、参考にしてみてください。

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インサイドセールスにおける失敗とは

インサイドセールスにおける失敗の定義は様々ありますが、商談の獲得数が増えても、結果として受注率が伸びないことは、多くの企業が経験したことのある失敗でしょう。インサイドセールスを導入する目的は、営業効果の最大化にありますが、商談獲得数が増加するだけでは目的を果たせません。

具体的な失敗例として、インサイドセールス部門がテレアポ部隊になってしまい、アポイント数は増えても受注に結びつかないケースがあります。

このケースでは、アポイントの獲得数を重視し、購買意欲の高い見込み顧客の選定やリードナーチャリングが実施できていないため、受注確度の低い商談の数が増えてしまいます。

それに伴い、営業部門は確度の低い新規商談にばかり時間を取られてしまい、既存顧客のフォローや本来注力すべき商談に時間を割けなくなるため、営業効果を最大化させることが難しくなります。

こうした失敗を防ぐために、失敗の原因を把握し適切な対策を行いましょう。

インサイドセールスの運用を失敗する原因と解決策

インサイドセールスの運用を失敗する原因とその解決策を5つ解説します。

【インサイドセールス運用の失敗原因と解決策】
原因解決策
導入の目的が明確になっていないインサイドセールスの導入理由を見直す
部門間の情報共有が不足している自社が注力するべき顧客を明確にする
KPIが適切に設定されていない導入目的や組織の成熟度合いからKPIを設定する
 顧客データや活動データを活用できていないツールの運用ルールを設定する
ノウハウやナレッジが蓄積されていない組織としてナレッジの蓄積を推進する

原因①:導入の目的が明確になっていない

インサイドセールスを失敗する原因のひとつとして、導入の目的が明確にされていないことがあります。

インサイドセールスの導入目的を明確にしないまま進めてしまうと、導入後の活動目的があいまいになり、目先のアポイント獲得を目的とした組織になってしまいます。アポ獲得に追われることで、本来アプローチすべき見込み顧客に追客ができない状況や、確度の低い商談の増加などに繋がり、受注率や業務効率の低下に繋がってしまう可能性があります。

導入の目的を明確にすることで、インサイドセールス担当者に期待される役割や活動内容を正しく理解できるようになります。また、導入目的はインサイドセールスのKPI設定にも必要になるため、導入前から目的を明確にしておきましょう。

解決策⓵:インサイドセールスの導入理由を見直す

インサイドセールスの導入前になぜインサイドセールスが必要なのかを明確にしましょう。

具体的には、営業プロセスでどのような課題が発生しているのかを洗い出し、その課題解決をインサイドセールスの活動目的として設定します。

たとえば、インバウンドでの問い合わせが増加し、十分な商談準備ができずに初回商談で落としてしまうケースが増えているとします。この場合、インサイドセールスを導入する目的は、新規問い合わせ対応から見込み顧客の育成(ナーチャリング)の役割を担うことです。

また、商談担当者がアポイント獲得から商談までを担っていてフォローアップできないリードが発生している場合は、インサイドセールスの役割はナーチャリングを中心に据えることになります。

このように、組織が抱える課題とインサイドセールスの導入目的をメンバーと共有し、活動の目的を明確にすることが、活動や組織運営の失敗の予防に繋がります。

原因②: KPIが適切に設定されていない

インサイドセールスの導入後は、課題や目的にあわせた適切なKPI(重要業績評価指標)の設定が重要です。設定したKPIが不適切だと、導入目的に沿った営業活動ができず、期待した成果が得られないためです。

KPIに設定されている主要な指標が商談獲得数の場合、商談獲得に向けた活動は増えますが、獲得する商談の質が考慮されなくなってしまう可能性があります。サービスをローンチしたばかりなど、まずは商談を重ねて見込み顧客の生の声を回収したいという目的であれば商談獲得数を指標とした活動も問題ないですが、受注数を最大化させたい場合は期待する成果は得られないでしょう。

また、インサイドセールス立ち上げ時の指標が有効商談の獲得になっている場合、有効商談の獲得に向けたノウハウやナレッジが蓄積されていないため、分析や改善が行えずいつまでも期待した成果を得られない可能性があります。

このように、インサイドセールスの失敗を防ぐためには、導入の目的やフェーズに合わせて、適切なKPIを設定する必要があります。インサイドセールスの活動に対して期待している成果が出ていない場合は、インサイドセールスの導入目的や組織の成熟度合いにあったKPIが設定されているか確認しましょう。

解決策②:導入の目的や組織の成熟度合いからKPIを設定する

適切なKPIを決定するには、インサイドセールスを導入する目的と、営業組織の成熟度合いを把握する必要があります。

たとえば、インサイドセールスの導入目的が「営業成果の最大化」である場合、受注率や受注金額をKPIとして設定します。

また、組織の成熟度合いも考慮してKPIを設定すると、インサイドセールス導入の初期段階ではリード獲得数、中期段階では商談化率や有効商談数、最終段階では受注金額や顧客満足度などがKPIになります。

なお、KPI設定の際は、受注から逆算してKPIを設計することも重要です。具体的には、蓄積した商談獲得率や受注率などのデータを分析し、ボトルネックとなっている箇所を改善するためのKPIを設定しましょう。
KPIの設定について詳しく知りたい方は「インサイドセールスのKPI項目と設定方法を解説」を参考にしてみてください。

原因③: 部門間の情報共有が不足している

インサイドセールスが失敗する原因には、マーケティング部門やフィールドセールス部門との情報共有と連携が不足していることが挙げられます。とくに、各部門間で「自社が注力すべき顧客像」や「リード・有効商談の定義」が異なると、共通言語での会話ができなくなり、リードや商談の質の低下を招いてしまいます。

たとえば、マーケティング部門がリードを獲得しても、ターゲットやニーズが合っていないリードばかりだと、インサイドセールスがどれだけアプローチしても商談数は増えにくいです。

フィールドセールスにトスアップした商談に対するフィードバックがない場合、インサイドセールス活動の属人化につながります。その結果、「インサイドセールス視点で商談を獲得しやすい顧客」との商談ばかりがトスアップされ、ヒアリング内容をはじめとした商談化の条件が一向に改善されません。

ほかにも、各部門からのフィードバックが感情論や個人的な感覚になってしまい改善につながらないことも考えられます。

このように、注力すべき顧客像が部門間で共有されていないと、マーケティングが獲得するリードの質やフィールドセールスの商談にも影響があるため、インサイドセールスのみならず営業プロセス全体の業務効率低下の原因になります。

解決策③:自社が注力するべき顧客を明確にする

部門間の情報共有不足を解決するために、自社が注力すべき顧客層(Tier)を設計し、それにもとづいて見込み顧客や商談の重要度を部門間で共有する仕組みを整えましょう。

まず、「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」の各部門間で、自社が注力するべき顧客像について協議する時間を設けて、自社製品やサービスにとって理想的な顧客像を明確にします。業種や企業規模、抱えている課題やニーズなどの条件を具体化し、対応するべき顧客像に優先順位をつけましょう。

次に、注力するべき見込み顧客の定義にもとづいて、見込み顧客や商談の重要度を判断する基準を策定します。

【策定後の顧客像(Tier)例】

顧客像例

このように、注力すべき顧客層の定義と共有を起点として、リードの重要度判断、進捗管理までを一連のプロセスとして構築することが重要です。注力するべき見込み顧客層を定義することで、部門間での情報共有のバラつきを抑えることができ、営業組織における情報共有がスムーズに行えるようになります。

原因④: 顧客データや活動データを活用できていない

インサイドセールスにおいて、顧客データや活動データを適切に管理・分析できていないと、営業機会の損失につながる可能性があります。失注や商談を断られた理由の原因を特定することができず、改善に繋がらないためです。

データにもとづいたフィードバックが定着していないと、有効商談や失注などの定義が担当者ごとに異なり感情論になりやすいため、改善の方向性にズレが生じてしまいます。また、主観的なフィードバックや改善策が続くことで、メンバーのモチベーション低下にも繋がりかねません。

ほかにも、メンバー個々の架電数や商談獲得率などのデータが活用されていない場合、インサイドセールス部門全体の問題なのか、担当者個人に改善点があるのか、問題の切り分けが困難になる可能性があります。

解決策④:ツールの運用ルールを設定する

顧客データや活動データを活用するためには、SFAやCRMなどの専門ツールを適切に運用するためのルール設定が必要です。

【ツール運用のルールを設定する流れ】

  1. ツールの活用メリットやデータ入力の必要性を周知する
  2. 推進担当を設定する
  3. 入力するデータを標準化する・入力ルールを設ける
  4. ルーティン化するまで、定期的にデータを振り返る場を設ける
  5. 改善を繰り返す

まず、社員へツール活用のメリットやデータ入力の必要性を周知する必要があります。その際、混乱を防ぐために、推進担当として一部の部門やチームから運用を開始し、徐々に組織全体へ運用ルールを定着させましょう。

次に、目的に対して本当に必要なデータが何なのかを明確にし、データ入力項目を決める必要があります。フリーテキストの入力ではなく、プルダウンメニューなどの選択式にすることで、データの形式が整うため、後々のデータ分析がしやすくなります。

なお、運用ルールの定着には、リーダーやマネージャーなどの管理者が根気よくデータ管理をすることも重要です。管理者を含めて定期的にデータを振り返る場を設けることで、日々の進捗確認や、失注・受注に至った要因分析の習慣化が促進されます。

加えて、社員が既存の知識や方法を見直す機会になるため、パフォーマンスの向上にも繋がります。

原因⑤: ノウハウやナレッジが蓄積されていない

インサイドセールスは、ひとりで見込み顧客の応対をすることが多く、情報がブラックボックス化してしまいがちなため、担当者が得たノウハウや知識を共有する場がないと、応対品質にばらつきが発生してしまいます。

これにより、担当者のスキルや対応の質にも差が生まれるため、顧客満足度に悪影響を与える可能性があります。

また、ノウハウやナレッジが蓄積されていないと、新たな担当者の教育が属人化しやすくなります。教育がベテラン担当者に属人化すると、教育体系が整備されないため、組織全体としてのスキルアップが難しくなり、応対品質が担当者の能力や経験に依存する形になってしまいます。

解決策⑤:組織としてナレッジの蓄積を推進する

インサイドセールス部門でノウハウやナレッジを蓄積するには、組織全体で取り組む必要があります。ナレッジの蓄積を指示するだけでは、「何故必要なのか」「格納先」「ナレッジとして求められている内容」などが把握できず、ナレッジ共有の文化が形骸化してしまうためです。

【ナレッジの蓄積を推進する手順】
手順概要
①ナレッジを蓄積する目的の共有応対品質の標準化や新人教育の効率化など、具体的な目標を持つことで、取り組みへの意識が高まる。
②蓄積するナレッジやノウハウの明確化優れた応対事例、失敗事例、FAQ、売り込みのコツなど、共有が有益な知見をリストアップする
③ナレッジの管理担当を設けるナレッジを一元的に集約し、質を維持・向上させる役割を担います。
④ナレッジマネジメントツールの導入検討ツールを活用してナレッジをわかりやすく構造化、共有できれば、活用が促進されます。

ナレッジやノウハウの蓄積を推奨する際は、目的の共有が必要です。応対品質の標準化や新人教育の効率化など、具体的な内容で取り組みの必要性を周知しましょう。

また、蓄積するナレッジやノウハウの明確化も重要です。「優れた応対事例」「失敗事例」「提案のコツ」など、共有を推奨する内容をリストアップすることで、社員が共有するべきナレッジの判断に迷わなくなります。

なお、ナレッジ蓄積の推進とあわせて、ナレッジを参考にする文化を組織内に醸成することで、組織全体の成長が促進されます。ナレッジをもとにした振り返りや研修を定期的に開催するなど、ナレッジ共有の機会の設定も検討してみましょう。

インサイドセールスの導入を失敗しないために必要な準備

これからインサイドセールスを導入する企業は、失敗の原因と解決策を参考に事前準備を行いましょう。

【インサイドセールス導入前の準備リスト】
準備項目概要
目的と役割の定義・自社の課題から導入の目的を決める
・営業プロセスから役割を定義する
アプローチシナリオの設計・アプローチの対象
・情報提供のタイミング
・情報提供の内容
KPIの設定・立ち上げ時のKPIを決める
・KGIに関わるKPI
ツールの選定・活動データや顧客データを管理するツールを選定する
・各部門と情報を連携できる仕組みを整える

インサイドセールスを導入する際には、まず自社の課題を明確にし、それに基づいて導入の目的を決めることが重要です。導入の目的には、リードの獲得や育成、既存顧客のフォローアップなどがあります。

次に、アプローチシナリオを設計します。アプローチの対象を明確にし、情報提供のタイミングや内容を具体的に決めることで、顧客との効果的なコミュニケーションが可能になります。

立ち上げ時のKPIは、行動量にフォーカスしたものを設定し、組織の成熟度合いを確認しながら受注率や受注金額などを指標としていきましょう。

また、営業支援ツールを活用していない場合は、活動データや顧客データを管理するためのツールを選定します。SFAやCRMなどのツールを導入することで、各部門と情報連携が容易になり、営業効率の向上が期待できます。

なお、インサイドセールスの立ち上げ手順は「インサイドセールスを立ち上げるための5つの手順【事例あり】」で詳しく解説しています。インサイドセールスの導入を検討している方は参考にしてみてください。

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まとめ

インサイドセールスの運用を失敗する原因は5つです。

  • 導入の目的が明確になっていない
  • 部門間の情報共有が不足している:
  • KPIが適切に設定されていない:
  • 顧客データや活動データを活用できていない:
  • ノウハウやナレッジが蓄積されていない:

とくに、導入の目的が曖昧なままでは、インサイドセールスの活動やKPIの設定に影響します。そのため、なぜインサイドセールスが必要なのかを明確にし、自社の課題に基づいた具体的な目的を設定することが重要です。

また、組織内の情報共有が不足していると、営業プロセスにかかわる部門間の連携が取れず、顧客対応にバラつきができてしまいます。自社が注力するべき顧客を明確にし、全ての部門が統一された情報を共有する仕組みを整えましょう。

ほかにも、インサイドセールス運用を失敗する原因として、「適切なKPIが設定されていない」「データが活用されていない」「ノウハウが蓄積されていない」などが挙げられます。

これらの原因に対する対策を実施することで、インサイドセールス運用の失敗を避けることができます。インサイドセールスの運用に課題を感じている方は、当記事で解説した失敗の原因と解決策を参考にしてみてください。

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この記事の著者WRITTEN BY...
スマタイ編集部
スマタイの記事を制作している編集部です。
不定期でマーケティング、インサイドセールス、営業支援に関する最新の情報を発信していきます。

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