【事例付】インサイドセールスは外注と内製化どちらがよい?ポイントを流れで解説
最近よく耳にすることが多いインサイドセールス。全国的にDX化が進んでいることから、導入を検討する企業も少なくありません。しかし、自社で内製していくべきなのか、外注するべきなのか判断に悩んでいるという声も増えています。
本記事では、インサイドセールスの運用をどう行なっていくのか、さまざまな事例を基に解説をしていきます。ぜひ、自社で運用するならどちらがいいのか、社内情勢と照らし合わせてみてください。
インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、昨今の営業活動の中で、営業プロセスの「生産性向上」や「最適化」を意識している企業が積極的に取り入れている営業手法の1つです。
直接顧客の元に訪問して商談を行うフィールドセールスと異なり、電話やメールでアプローチをします。そのため、遠隔から見込み顧客の醸成や顧客のフォローを実施し、案件創出をします。
その結果、今まで「お客様とは対面で商談」「自分の足で稼ぐ」が当たり前だった日本の営業活動の常識がガラリと変わり、今では電話でクロージング手前の状態までもっていくことも当たり前となってきました。
以下でインサイドセールスについてより詳しく解説しています。
◇インサイドセールスとは?営業のプロセスを交えて解説
インサイドセールスの運用には3種類の方法がある
インサイドセールスを導入しようとする企業がまず初めに考えることが、自社で運用するか、外部に委託するかという問題でしょう。実際のところ、この判断はどの企業も迷うところでありここの判断を誤ると後々大きな軌道修正をしなければいけません。
適切な判断ができるよう、内製化・外注そして内製と外注を同時に行うハイブリット型のメリット・デメリットをみていきましょう
インサイドセールスの内製化
内製化とは、自社内のリソースやノウハウでインサイドセールスの組織を立ち上げ、実施することです。
全てのリソースを自社で用意するため、立ち上げや運用の費用を安価に抑えることができ、ノウハウもそのまま社内に蓄積されていきます。
内製化におすすめの条件
- インサイドセールスの立ち上げ経験や、担当者としての経験がある社員がいる
- 充分なリソースがあり、インサイドセールス部門を別に立ち上げる余力がある
インサイドセールスの外注
外注とは、インサイドセールスをアウトソーシングすることです。
専門業者に依頼するため、内製化と比較して運用メンバーの確保や研修を必要としないため、すぐにインサイドセールスを実施することができます。
外注におすすめの条件
- インサイドセールス経験者が自社内に一人もいない
- インサイドセールス部門を立ち上げるだけの人員が足りない
ハイブリット(内製&外注)型インサイドセールス
ハイブリッド型は、社内のリソースで内製化を進めながら、不足している部分を外注で補う運用方法です。
内製化でボトルネックになっている場所を把握し、外注先には何を依頼するのかを適切に判断することが求められます。
ハイブリッド型におすすめの条件
- 既に自社内にインサイドセールス部門があるが、メンバーなどのリソース不足
- 自社内で優先的にアプローチしたい顧客層がいて集中させたい
- コールドコールの工数を減らしたい
インサイドセールス立ち上げの流れ
3種類のインサイドセールスを紹介しましたが、実際に運用に落とし込む方法も異なってきます。それぞれに必要なことを確認していきます。
内製化の流れ
①分業体制の構築
インサイドセールスを内製するにあたって、分業体制の構築は必要不可欠です。一般的な分業体制は、マーケティング部門、インサイドセールス部門、フィールドセールス部門の3部門で構成されます。商材やサービスによっては、カスタマーサクセス部門を最終工程に配置することもあります。そして、それぞれの領域で営業プロセスのどこまでを担当していくのかを決めます。
マーケティング部門はリードの獲得〜リードナーチャリング、インサイドセールスでは案件創出(アポイント獲得)まで、クロージングまでをフィールドセールスが対応することが一般的です。このように、顧客の情報収集や興味醸成などは、どの部署がどのように行うかなど、分業するにあたっての業務をそれぞれの部門に分担させます。
分業化についての詳しい情報はこちら
◇営業プロセスを分業した方がいい理由とは?
②スタッフの採用(他部署からの異動)
自社でリソースを確保するので、部門メンバーの確保も必須です。
インサイドセールスは顧客と電話やメールでやりとりを行います。そのため、社内のリソースが充分に確保できているのであれば、営業やテレアポ経験者を立ち上げメンバーに採用すると良いでしょう。営業経験者ではなくても、電話やメールでのコミュニケーションを得意とする人も向いています。
また、新たに採用するのであれば、インサイドセールスの経験者を積極的に採用しましょう。採用した人員を中心に立ち上げたという事例もあります。
③インサイドセールスの教育
内製化がうまくいかない原因の一つに、メンバーの教育不足があります。
インサイドセールス経験者を他部署から異動もしくは採用できれば、スムーズに始められますが、経験が浅い場合や未経験であれば教育は必ずしましょう。
インサイドセールスは従来の属人的な営業活動とは異なり、自部門や他部門との情報共有が重要です。部門全体で知識や細かなテクニックといったノウハウ、経験・失敗事例を蓄積していく環境を作り、徐々にマニュアル化していきましょう。
これにより、フィールドセールスへトスアップする商談の質にばらつきがある、メンバーごとに成果が大きく異なるなどの問題が起こりにくくなります。
外注の流れ
①アウトソースする業務の洗い出し
外注するにあたって、自社の営業業務のどこをアウトソースしていきたいのかを整理します。
一般的には、案件創出(アポイントの獲得)までがインサイドセールスの担当領域です。そのため、「新規開拓に課題感があるのか?」「リードからの案件創出に課題があるのか?」など現状の営業活動において足りていないところを洗い出します。
②業者の選定
アウトソースしたい業務が整理できたら、次はどの業者に依頼するのかを決めます。一言でインサイドセールスといっても各業者の特徴や強みはそれぞれなので、自社とマッチした業者を選ぶためには2~3社程度話を聞いてみると良いでしょう。
③業者との打ち合わせ
業者が決まったら、「どの業務をアウトソースするのか」「どこにアプローチしたいのか」など細かい内容のすり合わせをし、インサイドセールスの運用方法や役割、方向性を決めます。稼働後は業者と連携をとりながら進めていきます。
営業代行についてはこちら
◇営業代行業者15選!代行業者による違いを徹底解説
ハイブリッド型の流れ
ハイブリット型は、基本的に社内に既存のインサイドセールス部門があるものの、リソースが足りていないなどの理由で業者に依頼することが多いです。そのため、内製化運用後にある程度課題感が掴めてきた状態で依頼をすることで、スムーズに運用に落とし込めます。
導入までの流れは、外注と同じ形になることが一般的です。
また、先に外注をしていて内製化していくパターンの場合は、外注先から得られるテクニックや運用ノウハウがあれば、それらを基に分業体制の構築から準備を進めていきましょう。
その後のメンバーの確保といった立ち上げの流れは、内製化と同じになることが一般的です。
導入型別 インサイドセールス運用のメリット・デメリット
ここまで紹介してきたインサイドセールスは、運用方法以外にメリットやデメリットも異なります。それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、自社に最適なスタイルのインサイドセールスを取り入れましょう。
インサイドセールス内製化のメリット・デメリット
内製化のメリット
自社で運用の全てを行う内製化では、インサイドセールスのPDCAをスムーズに回すことができます。
インサイドセールスには、マーケットの変化やリードの状況によって対応を変えたり、フィールドセールスが担当した商談のフィードバックを迅速に現場へ落とし込むといった、臨機応変な対応が求められます。しかし、インサイドセールス運用を外注している場合、業者によっては「連携がスムーズにいかない」「フィードバック内容が反映されない」などの問題が起きてしまうため、動きが鈍ります。
内製化は社内で運用をしているため、エラーや改善点が発生した場合でもすぐに対応することができます。
また、インサイドセールス運用の中で獲得した情報はSFAやCRMといった顧客情報を管理するツールに蓄積するため、営業資産として様々な分析結果を営業活動に活かすこともできます。
内製化のデメリット
内製化は自社にノウハウや営業資産などが残るという魅力的なメリットがありますが、自社内にリソースやノウハウがない場合は、人材の採用や育成のコストがかかることはデメリットと言えます。
採用コストは比較的高額なうえ、採用してもその人材が経験者ではない限りは教育が必要になるため、追加で研修費用も想定しなければなりません。適切な人材の登用、研修を実施することができなければ、アウトソーシングの方がパフォーマンスが良かったということにもなり兼ねません。
また、人員の確保だけではなく環境に対しての投資も必要不可欠です。
設備とは、電話機やクラウド電話サービスなどの環境、MA・SFA・CRMなどの営業支援ツールなどを指します。MAでスコアリングをしたリードにフォローコールをしないのであれば、やみくもに電話をするテレアポとほぼ変わりはないです。また、SFA・CRMがなければ、担当者ごとに情報を保有することとなり営業担当の属人化、部門間の連携が上手くいかないなどの問題が発生します。
インサイドセールス外注のメリット・デメリット
外注のメリット
外注は内製化とは逆に、人材の採用コストや教育コストを抑えられます。
インサイドセールスは近年急速に需要が増していることから、そもそも立ち上げ経験や運用経験のある人材はまだまだ少ないです。そのため、それらの経験を積んでいる人材の採用コストは比較的高額となってしまいます。また前述の通り、未経験者の教育コストも膨大です。
外注では、これらのコストをかけずにインサイドセールスを実施できるため、導入のハードルは他と比べて低い傾向にあります。
また、採用・教育だけではなく、環境投資のコスト・マネジメント工数・設備投資のコストといった運用にかかるコストも抑えることができます。
上記に加えて、専門業者はノウハウがあるのでキャッチアップもはやく、効率的にリード獲得やアポイントの獲得が期待できます。
また内製化と異なり、必要なときに必要なだけ利用することができるため、万が一インサイドセールスが合わなかったり活動を止める期間などがあった場合は、維持費などがかからないため、リスクヘッジにもなります。
外注のデメリット
外注は手軽に始めることができる分、社内にノウハウが蓄積しづらいという大きなデメリットがあります。
それなりに費用がかかる業者であればノウハウやナレッジ、ヒアリング情報の納品を丁寧にしてくれるところもありますが、費用が比較的安い業者であれば、結果のアウトプットのみということも少なくありません。
また、委託業者とのやり取りが煩雑になる点もマイナスポイントです。
社内で内製化した場合もマネジメント工数はかかりますが、業者との窓口になる方は普段の業務をこなした上で業者の管理も必要となります。それに伴い、PDCAのスピードが鈍くなりがちです。業者によっては担当者がコミュニケーションを積極的にとり、改善提案などをしてくれますが、そうではないことが大半です。
インサイドセールスハイブリット型のメリット・デメリット
ハイブリット型のメリット
ハイブリッド型は、自社のインサイドセールス運用に足りない部分を外注で補える点が最大のメリットです。
インサイドセールスの手法は、BDR・SDRの2つに分かれます。この2つの手法はそれぞれ、インバウンド型・アウトバウンド型のアプローチのため、運用方法や体制も異なります。そのため、インサイドセールス部門の規模が小さい企業などは、どちらか片方をこなすのに精一杯なのが現状です。
そこで、外注をするハイブリッド型のインサイドセールスを導入することで、今まで自社のリソースでは開拓しきれなかった領域にも挑戦することが可能になります。
また、外注業者のノウハウを自社のインサイドセールスに落とし込むことができ、自社に合った専門的な運用にすることも可能です。
例えば、業者が使用していたトークスクリプトを自社内に落とし込むことで、外注と同等のクオリティの運用が期待出来ます。このように自社リソースも活用していくことで、ノウハウやナレッジは貯まり、将来的には全て自社で運用していく内製化へシフトチェンジすることもできます。
BDR・SDRの違いについて以下で詳しく解説しています。
◇BDRとSDRの違いとは?インサイドセールスの分類や導入時のポイントを解説
ハイブリット型のデメリット
自社内で人員確保と環境投資、さらには外注の費用が重なるため、3つの方法の中で一番コストが高くなってしまいます。
そのため、ハイブリット型を採用する場合は目的を明確にし、計画的に利用していくことが重要です。
また、自社でのインサイドセールスの立ち位置や商談化する際に必要な条件といったルールを決めておく必要があります。仮にすでにCRMなどを運用に取り入れているのであれば、納品データの形式なども事前に決めることでスムーズな連携ができるようになります。
事例紹介 インサイドセールス内製・外注の決め手とは?
ここまで、それぞれの導入までの流れやメリット・デメリットについて紹介をしましたが、自社がどの型に当てはまるのか想像がつかない方も多いかと思います。
以下では、それぞれのパターン別でインサイドセールスを導入した企業の事例を紹介します。
内製化の事例
EC支援のサービスを手掛けるこちらの企業は営業リソースも十分でしたが、営業の成果がいまいち伸び悩んでいました。
そこで、どこに伸び悩む要因があるか分析するために営業プロセスを細分化した結果、営業のパイプラインが積み上がらないことが原因であることが判明。営業が目の前の商談に集中してしまい、新規のアプローチや、検討時期が先延ばしになっている顧客のフォローがおろそかになっているという課題が見つかりました。
解決策を模索する中、たまたま社内にインサイドセールス経験者がいたため、インサイドセールス部門を社内で立ち上げることに。パイプラインの積み上げ強化を目指すことにしました。
インサイドセールスがリードを案件化、フィールドセールスは商談対応からクロージングまでの担当で分業することにしました。
結果、分業することでフィールドセールスは目の前の商談やクロージングに集中でき、インサイドセールスとの連携によって安定的なパイプラインの積み上げが実現しました。また、営業プロセスを役割分担し細分化することでどこに課題があるのか明確になり、対策がしやすくなりました。
外注の事例
マーケティング商材を扱う企業、フィールドセールスが目の前の商談のクロージング活動に集中してしまい、一度接点を持った顧客を追い切れていないのが課題でした。
インサイドセールスにてそこをフォローしていきたいと考えましたが、社内にインサイドセールス経験者は一人もいません。しかし、内製化でノウハウ・ナレッジを社内に貯めたいため、採用を検討したものの市場にインサイドセールス経験者は少なく、採用までに時間がかかる状況でした。
また、自社の営業活動やマーケットにインサイドセールスの運用がマッチするのかという不安もあったため、まずはインサイドセールスをアウトソースすることにしました。
結果、フィールドセールスが抱えていた「フォローしきれていないリード」にまんべんなくアプローチをすることができ、そこから多数案件化に繋がりました。
外注先はインサイドセールスの専門業者だったため、リードジェネレーション後のリードナーチャリングの依頼にもスムーズに対応してもらえ、フィールドセールスはクロージング活動に集中することができ、成約率も2倍向上しました。
ハイブリット型の事例
社内にインサイドセールス部門を保有している企業、展示会の出展などによりターゲットリストが増加。その結果、リストに対して人員が足りず、ホットリードを逃してしまう状況が続いてしまっていました。
そこで、ターゲットリストの優先度を決め、直近のイベント参加者や資料請求などのホットリードは自社で、検討時期が遅いものや過去失注リードなどの優先度が低いものを業者に委託することにしました。また、業者にはホットリードの条件のすり合わせをし、その条件を満たしたものを納品してもらうことで、常に自社にはホットリードがある状況を作りました。
その結果、自社のリソースを増やすことなく優先度の高いリストへ漏れなくアプローチすることが可能になり、有効商談数を3倍に増やすことに成功しました。
まとめ
インサイドセールスの導入方法それぞれに、ノウハウの蓄積有無や立ち上げコスト、リソースといったメリット・デメリットが存在します。そのため、自社が解決したい課題や得たい効果を元に、社内のリソースで足りる部分と足りない部分を整理した上で、内製や外注といった導入方法を検討しましょう。
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