顧客に寄り添い、本音と向き合うフロントセールス 株式会社Asobica 長峰拓海 #THELEADERS
現場で活躍するインサイドセールスのキーマンに、SALES ROBOTICSの冨田貴徳が取材する連載企画「THE LEADERS」。第29回目となる今回のゲストは、株式会社Asobicaの長峰拓海さんです。
「遊びのような熱狂で、世界を彩る」をミッションに掲げるAsobica社。ファンやロイヤル顧客から得られる「本音」を商品開発やマーケティングに活かす、ホンネデータプラットフォーム「coorum(コーラム)」を提供しています。
そんな同社がいま注力しているのが、大手メーカーを中心としたエンタープライズ開拓。その最前線を担うのが、フロントセールスです。アポイントを取って終わりにしない。組織関係図を描き、戦略を練り、商談に同席し、一度止まった案件も決して手放さない。あらゆる営業活動に関わる取り組みの全容を、長峰さんに伺いました。
(執筆:サトートモロー 編集・音声編集:三原里桜 撮影:小林 一真)
長峰 拓海
マーケティング部 インサイドセールスグループ
フロントセールス担当
人材ベンチャーでキャリアをスタートさせ、派遣事業・紹介事業の営業に従事。幅広い業界・規模の顧客に、マーケティング職種のハイキャリ層の紹介支援。新人賞、部署MVP、全社VPを受賞。2024年4月Asobicaに入社し、現在は食品・飲料・小売業界のエンタープライズ企業セールスを担当。
顧客と消費者の共創に伴走する
冨田:
まずは自己紹介をお願いします。
長峰:
私はインサイドセールスの中でも「フロントセールス」という業務を担当しており、現在は自分の担当企業として30社ほどのお客様を受け持っています。役割としては、担当企業様の「全社開拓」という形で、パイプラインの創出を担っています。
Asobicaには2年前に入社して、最初は※SDRからスタートし、※BDR、エンタープライズのインサイドセールスを経て、現在のエンタープライズのフロントセールスに至ります。その前は人材業界にいました。
※SDR(Sales Development Representative)
インバウンド対応がメインのインサイドセールス。「反響型」の営業手法とも呼ぶ。
※BDR(Business Development Representative)
アウトバウンド対応がメインのインサイドセールス。「新規開拓型」の営業手法とも呼ぶ。
冨田:
ここ最近の取材で、インサイドセールスの役割が各社で大きく拡大しているのを感じることが増えていて。今回もまさに、そのあたりを伺っていきたいなと考えています。早速ではありますが、Asobica社のフロントセールスはどのようなミッションを担っているのでしょうか?
長峰:
エンタープライズ開拓が前提であり、パイプラインの金額と、担当企業の開拓数などが主な指標となっています。
とはいえ、単にアポイントを獲得して終わりというわけではありません。実際に商談に同席しながら、お客様との中長期的な関係を築いていく。当社で「パワーチャート」と呼ばれている組織関係図を描きながら、アカウントエグゼクティブ(AE)と共に戦略を議論する。そんな活動も行っています。

冨田:
アポイントを取るだけでなく、実際にお客様の打ち合わせにも参加しているのですね。皆さんは普段、どのようなお客様と接する機会が多いのですか?皆さんが提供する「coorum」のサービス内容と合わせてお聞きしたいです。
長峰:
私たちは、「coorum」を「ホンネデータプラットフォーム」と称しています。当社はこれまでファンマーケティングを推進する会社として、オンライン上のコミュニティをつくり、ファン同士が自由に交流できる場を提供してきました。
一方、ファン同士の交流には意義を感じるものの、そこにとどまってしまうと企業としては十分な価値を実感できません。そこで、熱量の高いコミュニティの中で得られた“本音”の収集、分析を経て商品開発やコピーのメッセージなどに活かせるよう、伴走支援しています。
やり取りすることの多いお客様は、お菓子や食品・飲料、日用品などのFMCG(日用消費財)を取り扱う大手メーカー様です。具体的な企業名は伏せさせていただくのですが、商品の味の開発やパッケージの制作、あるいはペットボトルの首掛けPOPのような販促アイテムにファンの声を反映させている企業様もいらっしゃり、あらゆる形でのファンとの共創をご支援しています。
お客様から取り入れた意見で作られた新商品は、自然とお客様に喜んでいただけるものになりますし、お客様と商品を共創していること自体が珍しいことから、小売店に卸す際も大変好評です。直近では、ありがたいことに新聞やWebメディアなどでも特集として取り上げられました。
冨田:
従来はメーカーの商品開発部の中だけでやっていたことを、お客様とのコミュニケーションとともに行っていく。それだけでなく、発売前に商品を確認していただくこともできると。まさに「本音」を聞けるプラットフォームを提供しているのですね。
長峰さん:
はい。
従来のアンケートやインタビューも、お客様の声を聞くという点で重要な接点だと思います。しかし、これらは多くの情報を集め統計的に分析するのに向いている一方、「なぜ買ってくれたのか」「どういうシーンで食べているのか」など、“線”で捉えるのは苦手です。
それに加えて、アンケートに回答するのはあまり楽しくない、ポイント目的で仕方なく答えるという方も少なくありません。
そのため、私たちはファンの皆さまが楽しめるコミュニティづくりを通じて、自然と本音が集まる仕組みを意識しています。そして、お客様が顧客解像度を高められるお手伝いをしているんです。
冨田:
統計的なデータはこれまでの手法でも収集できていた。しかし本来知りたいのは、そこからさらに一歩踏み込んだお客様のインサイトやコンテキスト、シチュエーションといった部分です。「coorum」は、まさにそこを解像度高く取得できる商材なのですね。
業界で切り、バディで深耕する
冨田:
長峰さんは組織的にはインサイドセールス部門に所属しているわけですが、セールス組織全体について教えてください。
長峰:
まず、マーケティング部の中にインサイドセールスがあります。それとは別にセールス部があり、セールス部は大きくポストセールスとプリセールスに分かれています。ポストセールスは「アカウントマネージャー(AM)」と呼んでいて既存のお客様へ向き合い伴走するチームで、プリセールスは新規営業のチームです。
インサイドセールスとプリセールスは業界でセグメントが分かれていて、それぞれのチームでバディを組んでいます。
冨田:
プロダクトはホリゾンタルに使える一方で、業界を切らないと専門性や業界知識が深まらない。そのため、営業部門は業界で切っていて、インサイドセールス(フロントセールス)も同じように業界で担当が区切られているということでしょうか。
長峰:
そうです。私のチームは※Tier1の重要アカウントである食品メーカー、飲料メーカー、自動車メーカーなどを担当しています。
そのほかにはFMCGメーカー、リテール、さらに他の業界、企業を検証する「価値探索チーム」というのもあります。今後を見据えたとき、まだ私たちが十分に価値を見出せていない企業群・業界群もたくさんあります。そうした領域の価値を、しっかり検証していこうという意図で結成されたのが、このチームです。
※Tier(ティアー)
ターゲット企業を重要度別にセグメント分けしたもの。
Tierを作成するとセグメントごとの優先順位と取るべき施策が明確になる。
・Tier1(最優先ターゲット)
・Tier2(重要ターゲット企業)
・Tier3(ターゲットになりうる企業)
冨田:
ターゲットのTierで分かれている業界と、事業開発的にマーケットを検証するチームがあるのですね。その中で、長峰さんは普段どのような活動をしているのですか?
長峰:
私は担当企業が決まっているので、いわゆる※GTM戦略を組むというよりは、担当企業とのつながりをいかに深めるかがミッションになります。具体的な活動としては、まずは各社のパワーチャートやアカウントプランを仮作成して、それをもとに接点を取るべき方にアプローチしていきます。
※GTM(Go-To-Market)戦略
新商品やサービスを市場に投入する際、市場のニーズに応え、競合他社との差別化を図り、成長を実現するための計画やプロセスのこと。
エンタープライズの企業様は、資料請求のような流入が少ないことが多いので、アウトバウンド施策や展示会が中心となります。そのほか、手紙の送付後に架電、イベントやネットワーキングへの参加など手法は問いません。当社がオフラインの交流会を主催することもあります。
あとは顧問の方にご紹介いただいたり、代理店パートナーの方と連携したり。私たちは社内にメーカー出身者や業界とつながりのある者が多いので、そこから紹介してもらうこともあります。
冨田:
ありとあらゆる手段を講じているのですね。決められた活動をこなすというより、担当する企業や接点のない方に対しての「ゲームプラン」を、一社ずつ考えていらっしゃるのかなと思います。
これ……ものすごく難しいですよね?具体的にどのようなことをしているのか、皆さんが1日をどう過ごしているのか、とても気になります。
長峰:
面接でも、「1日の活動はどうされているんですか」と聞かれることが多いです(笑)。
実際にカレンダーを見返したんですけど、ほとんど固定されていません。強いて挙げるなら、定期ミーティングと朝会くらいでしょうか。朝会はインサイドセールス内での連携事項や、業界セグメント同士の横の連携、ナレッジシェアを行っています。
また、バディを組んでいるAE(アカウントエグゼクティブ)のチームとは、最低でも週2回はミーティングをしています。一つは、短期的にクロージングに向かう企業の洗い出しと、どう詰めていくかの話し合い。もう一つは、中長期的にパイプラインをつくっていくために、どの企業様にどうアプローチするか、見込み顧客になりきらないお客様への対応の協議をそれぞれ行います。
それぞれで方向性を確認し、具体的なアクションを実行していきます。

ブランド一つひとつを攻略し、横へ広げていく
冨田:
営業活動として、接点のないところに接触するというのは多くの方々が共通して取り組んでいることであり、やること自体もシンプルだと思います。一方で、すでに何度も接触している方との関わり方は、状況の変化を伺うだけにとどまりがちで、非常に難しい気がします。
フロントセールスとして、皆さんはどのような点を工夫しているのですか?
長峰:
意識しているのは、「一つ情報をお渡しして、一つヒアリングする」というアクションです。
状況をただ聞くだけでは、相手に「また連絡が来た」と思われてしまうでしょう。そこで、打ち合わせの雑談内容や課題感から、「こういうところに興味がありそうだ」「これは提供できそうだ」とイメージできるので、そこに対するコンテンツをお渡しします。マーケティング部はホワイトペーパーや事例記事をたくさん制作しているので、それを定期的にお渡しするんです。
日々のインプットも大事にしています。『日経クロストレンド』などの媒体で情報収集して、「これは合いそうだ」というものを送る。「このイベントに行きました」「この新商品、実際に食べてみてこうでした」とシンプルな連絡をすることもあります。
「ホンネデータプラットフォーム」を提供している当社だからこそ、自分たちも本音を伝えることを大事にしています。仕組み化はまだできていませんが、セールスフォースで打ち合わせを管理していて、1〜2週間後に活動予定がない場合、何かしらのアクションを起こすといった意識は持っています。
冨田:
そうした活動のなかで、どのような指標をKPIに設定しているのでしょうか?
長峰:
全社でOKR(Objectives and Key Results)を設定していて、その中のKR(Key Results=重要な成果指標)が、私たちが追うKPIになります。
メインはパイプラインの金額と、ターゲット企業の開拓社数です。今月(第4クォーター=2026年5月)からは、開拓社数だけでなく1社あたりで複数の担当者様と接点を持てているかも指標に入れていこうと考えています。
定量的な活動をどう設定するかは模索中ですが、以下のような要素をKPIとしています。
- 次回活動日を1ヶ月以内に設定する
- 商談を失注扱いにせず失注案件をゼロにする
- ネクストアクションは1〜3ヶ月以内に切り続ける
冨田:
会う人数も重要なのですね。
長峰:
はい。たとえば食品メーカーは複数のブランドを展開しているため、ブランドごとに異なる価値を提供できる可能性があります。そういう視点から、「会っている人数」はとても重要です。もちろん、一つのブランドに対しても、複数の担当者様と会って合意形成していかないといけません。
冨田:
ブランドごとにチームが分かれているということですよね。両手では足りないくらい膨大な数になりそうですが……。
長峰:
ご想像の通りで、私が担当する企業様は30社ほどですが、横に広げていくところまで含めると相当な数になります(笑)。
冨田:
ブランド一つひとつが、もはや会社のようなものですね。
長峰:
そうなんです!ブランドごとに考え方も方針も予算も違うし、社内で情報が流通していない影響で、横の部署や別ブランドが何をしているか知らなかったりする。ブランドの担当者の方々は、自分のブランドを伸ばすことが最大のミッションなので、隣の部署を気にする余裕がない。これは組織構造上、致し方ない部分だと思います。
そのため、打ち合わせしている方に「隣の部署では当社をこう活用いただいています」とお伝えすると、喜んでいただけることが多いです。

冨田:
そうした背景から、フロントセールスとプリセールスという関係性で皆さんは活動しているのですね。だいぶイメージが鮮明になりました。
おそらく、一般的なインサイドセールス組織では、お客様の組織体制に合わせた活動がしづらかったのではないかと思います。結果、THE MODEL的な活動を続けていく中での限界点を、強く感じていたのではないでしょうか。
現場は目標を達成するために、各組織が日々やるべきことを努力してやっている。それ自体は間違っていないですが、お客様からすると、一方的なコミュニケーションに感じさせてしまう面もありそうですね。
長峰:
担当企業ごとのアプローチに変えてからは、「御社の◯◯さんともお話ししていて」「こういう理由でご連絡しました」という会話の入り口が、すごく作りやすくなったんです。お客様目線でお話しできているという実感を持てるようになりました。
冨田:
ちなみに、フロントセールスとしてアカウントを持って活動する中で、既存ブランドのアップセルと別ブランドへの展開では、どのような扱いになるのですか?
長峰:
既存ブランドのアップセル自体は、基本的にAMが担当する領域です。一方、別ブランドへアプローチする場合は完全に新規扱いとなり、AMと連携してパワーチャートを一緒に描いていきます。
「このブランドは、過去あの部署にいた〇〇さんからの紹介でいけるかもしれない」
「ここは全く接点がないから新しくアプローチしないと無理だ」
パワーチャートを描く過程で、こうした戦略が見えてきます。エンタープライズ攻略は1社あたりのMRRを積み上げていくことが重要なので、ここには注力していますね。

社内連携と、常時ナーチャリングを支える設計
冨田:
フロントセールスでは、自分が担当しているアカウントからどこを攻めるか決定し、それがOKRの指標として「いつまでにどこまでやれているか」という評価に落ちてくるわけですよね。そのプロセスの中で、誰がいつ何をするのか、どんな情報を入手すべきか、どんな接点をつくるべきかを、日々のコミュニケーションで連携していくと。
正直、この活動をマネジメントしている方は「あっぱれ」だと言わざるを得ません。さまざまな組織の力学が働く中、戦略を実行する胆力が必要不可欠だなと。長峰さんたちは、組織の中でどのように好循環を作っているのですか?

長峰:
社内連携で難しいことは……「ない」というのが正直な感想です。もちろん、多忙なメンバーに対する配慮は必要で、あらかじめ目的やアジェンダを整理したうえで相談するようにしています。
ただ、Asobicaのメンバーはみんな利他的なんです。「顧客中心の経営をスタンダードにする」というビジョンを掲げているからか、相手思いの人が多く、こちらから何かお願いしてNOを言われたり、嫌な顔をされることがほとんどありません。そのおかげで、社内連携はとてもやりやすいです。
冨田:
配慮はきちんとしつつ、遠慮しなくてよい関係性であると。
とても素晴らしいですね。連携や情報共有、意思疎通が少しでもすれ違ってしまうと、それぞれの組織がお客様にとるコミュニケーションに違和感や不快感を生んでしまうリスクもありますから。
長峰:
たとえば、打ち合わせの機会を得られたあとの社内連携が雑だと、過去と同じ提案をする危険性があります。これは間違いなく、お客様の機会損失になります。そのため、AEと手厚く連携して、お客様の情報や過去のやりとりの記録などをすべて集めたうえで、物事を展開するようにしているんです。
冨田:
フロントセールスの皆さんがキードライバーとなって、社内外に対して情報を流通させたりコンセンサスを取ったりしているのですね。お客様の商談にも同席するということですが、プリセールスの方も初回から同席するのですか?
長峰:
はい。基本的にはプリセールス―当社でいうAE―が主担当であり、商談の責任者はAE側になります。フロントセールスはフォロー役として、AEの発言に対する補足だったり、打ち合わせ内容の軌道修正だったりを担うんです。アイスブレイクを含めた関係構築も、私たちの大事な役割となります。
私たちには、商談の場を俯瞰して見ることができるという強みがあります。「この方より別の方とお打ち合わせした方が進むな」「この方にはこれを伝えた方がいい」というのは、一歩引いているからこそ気づける部分です。そうして得た情報をAEに伝えつつ、「次はこういう作戦で行こう」と話し合います。
冨田:
クロージングまでずっと同席するのですか?
長峰:
クロージングへ近づくにつれAEの関与が多くなるので、出ていく場面と出ていかない場面もあります。
ただ、エンタープライズはリードタイムが長いという特徴があります。クロージングの段階まで行ったものの、検討に進まず一旦停滞となった場合、タイミングを見て同席し中長期的なフォローに入る。そうした場面で、私たちの出番はあるのかなと。自分たちがフォローに入るべきかという見極めは、これから非常に重要になってくると思います。
冨田:
先ほど「商談を失注扱いにせず失注案件をゼロにする」と語っていましたが、今の話はまさに「失注という概念は社内にない」という姿勢を表しているようですね。
引き渡しの違和感を減らしながら、一度ペンディングや見送りになった案件も、また引き戻していく。この二つの力点で、お客様との接点が切れないように接続しているのが、Asobica社のフロントセールスの特徴なのかなと思います。
お客様との接点を持ったら、営業とフロントセールスがずっとナーチャリングし続けている。「ネクストアクションが3ヶ月以内に切れているか」というKPIにも、それが表れています。
エンタープライズで営業リードタイムが長期化する中で、「関係性」というキーワードに苦労している組織の方々には、すごく参考にしていただける話だなと思います。
顧客中心を体現する場と、フロントセールスが拓く未来
冨田:
今回の対談では、SNS、特にXで話題になったユーザーカンファレンス「coorum Thanks Party」についてもお聞きしたいと思っていました。どういうコンセプトで開催されているのでしょうか。
https://x.com/coorum_asobica/status/2021167276561449018
長峰:
これは、今年の分が終わったらもう来年のイベントを考え始めるくらい、当社の中でもすごく気合いを入れているプロジェクトです。
主な目的は、私たちのお客様への感謝をお伝えすること。加えて、顧客体験を向上させている企業様の表彰や、お取り組みのプレゼン、担当者様同士の交流会を通じてリアルな悩みを共有いただくという会になっています。
イベントの主担当はAMといったポストセールス側ですが、支援予定の企業様にも参加いただいて、温度感を知ってもらうなど、熱狂的なカンファレンスにしているんです。
冨田:
非常に大規模なカンファレンスですよね。
長峰:
今年は350名の方にご参加いただきましたが、参加者様は毎年どんどん増えています。満足度も99%とありがたい評価をいただいています。
「coorum Thanks Party」では「coorum Award」という形で、部門・分野ごとに表彰もしています。私は去年初めて参加したのですが、実際にお客様から取り組みに対して熱い想いを聞くことで「Asobicaに入ってよかった」という想いが強まるなど、インナーモチベーションもすごく高まりました。
冨田:
既存のお客様以外の参加者は、参加後にどんな反応を示していましたか?
長峰:
参加いただいた方には、「(coorumでの活動を)より推進していきたい」と思っていただくことが多いです。
当社のサービスの難しい点はROIにあります。サービスの根底にある理念を聞いて、担当者様が「素晴らしい!やりたい」と思っても、上層部から「効果あるの?売上につながるの?」と言われてしまう。
それに対して、「coorum Thanks Party」では既存のお客様がどうやって社内を説得したのかや、現在進行形でぶつかっている壁といったリアルを聞けます。そこに有意義さを感じ、推進する熱量を高めてくださるようです。
冨田:
先人の生々しい話が聞けるというのは、非常に貴重な場ですね。
ここまで、多岐にわたるフロントセールスについて伺ってきました。長峰さんは、このチームの活動を通じてどのような力が身についたと感じていますか?
長峰:
これから話すのは、エンタープライズ営業とSMB・ミッドマーケット営業のどちらがすごいかではなく、求められるスキルセットが違うということだと捉えてください。
フロントセールスは直近で市場価値が高まっていて、エンタープライズのAEへの登竜門だと思っています。SMBやミッドマーケットだと、対面すべき方は平均2〜3名ほどで、どれだけ受注につなげられるかという“決戦型”の営業になることが多いです。
一方、大手企業はステークホルダーが最低でも6〜10名と言われていて、表に出てこない方も多いなか、さまざまなしがらみを抱えつつ意思決定されています。
目の前のお客様に興味を持ってもらうのは当然として、その後どうしていくか、何が待ち受けているのかという全体像を描く。そして、どのような順序で合意形成していくかを考え続ける。
その中で、共通したフレームワークはあるけれど、活動に再現性を持たせることが非常に難しい。それこそが、エンタープライズの営業活動ならではの特徴だと思います。
冨田:
私もエンタープライズの営業をやっていますが、再現性を生み出すのは本当に難しいですよね……。教科書的なABMと、実際の現場で起きていることがかけ離れていますから。
長峰:
そうですね。視点を変えると、フロントセールスではAIに代替されない力が身につくと思っています。具体的には、「一次情報を取りに行く力」です。
AIはあくまでネット上の情報を集めてくるので、実際にお客様とコミュニケーションを取ってみると、「課題は実は別のところにある」とわかることがあります。AIは企画力、作業力などが非常に優れていますが、実際に対話している場面での出番はなかったりしますから。
冨田:
AIに代替されない現場力が身につくわけですね。フロントセールスとして、今後どんな人と一緒に働きたいですか?
長峰:
当社はミッション・ビジョンをすごく大事にしている会社なので、そこに共感できる人であることが大前提です。その上で、お客様目線の営業活動に関心がある、エンタープライズAEのキャリアに挑戦したいなど、新しい挑戦をしたいと思っている人と、ぜひ一緒に働きたいです。
冨田:
ありがとうございます。最後に、今後の目標について聞かせてください。
長峰:
私は2年前、自分の成長のためにAsobicaへ入社しました。しかし、当社にいるうちに、会社の成長のために自分を成長させたいという考え方へシフトしていったんです。現在は、顧客体験という領域で日本発のグローバルスタンダードになるようなプラットフォームを目指していきたいと思っています。
当社は「遊びのような熱狂で、世界を彩る」というミッションを掲げています。DXが進むと、世の中に余暇が生まれる。その余暇をどれだけ熱狂させられるかというところに着目して、Asobicaは生まれました。
メーカーやリテール、飲食などの企業様が顧客中心でお客様に価値を提供できれば、熱狂が生まれる。そういう企業様を支援しながら、顧客中心の経営を実現できる企業を世の中に増やしていきたい。
まだお出しできない情報も含めた、あらゆる活動を通じて、ミッションを実現させていきたいです。
冨田:
今日のお話で印象的だったのは、ビジョンがAsobica社の中心に強く据えられていることでした。「顧客中心の経営をスタンダードにする」というビジョンのもと、これまでの試行錯誤を重ねながら、エンタープライズセールスやABMという言葉だけが一人歩きすることなく、きちんとお客様を中心にビジネスを展開している。
既存の枠組みや定められたKPIの中で少しでも違和感を覚えている方。
もっとお客様のことを考えて活動したいと思っている方。
そうした方々にとって、Asobica社の活動はスタンダードな一つの例として、とても参考になるのではないかと感じました。「フロントセールス」という新たなキーワードが生まれる中で、インサイドセールスの新たな価値に触れられた取材でした。
長峰さん、本日はありがとうございました!

今回の「THE LEADERS」は、お楽しみいただけましたか?本シリーズでは、今後も各業界で活躍するインサイドセールスのリーダーをお招きして対談を行います。次回もぜひ、ご覧ください。
過去のインタビュー記事はこちらから
おまけ
先日開催された「コンテンツ東京2026」にて、Asobica社のブースにお邪魔する機会がありました。そこでいただいたのが、こちらの『コキャチュウ』です。
「顧客中心の経営をスタンダードにする(=コキャチュウ)」という同社のビジョンを冠した、遊び心あふれるハイチュウ。インタビュー中に長峰さんが語ってくれた「熱狂」という言葉が、こうした細やかなコミュニケーションにも体現されているようで、思わず笑顔になりました。
詳細については、ぜひこちらのnoteもご覧ください。
Asobicaデザイナーが振り返る|Vision『コキャチュウ』の浸透について

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