なぜビズリーチのISは「採用の奥深く」まで踏み込めるのか ビズリーチ 加藤三津幸・中村俊太郎 #THELEADERS
現場で活躍するインサイドセールスのキーマンに、SALES ROBOTICSの冨田貴徳が取材する連載企画「THE LEADERS」。
記念すべき「THE LEADERS」第30回目のゲストは、株式会社ビズリーチ ビズリーチ事業部の加藤三津幸さんと中村俊太郎さんです。
即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」を運営し、日本に“ダイレクトリクルーティング”という攻めの採用活動を提唱してきた株式会社ビズリーチ。今ではIT・外資系企業にとどまらず、大手企業から中堅中小企業、さらには地方企業まで、その活用は広がっています。
ビズリーチ事業の成長を支えるインサイドセールスは、顧客の採用課題を「組織課題」「事業課題」まで掘り下げ、経営層も巻き込み本質的な解決へと導いていきます。この高難易度な活動を再現性高く取り組めるよう、未経験者でも担えるようにする緻密なオンボーディングの仕組みを構築しました。質の高い商談を生み出し続ける組織は、いかにして人材を育てているのか。お二人にじっくりと伺いました。
(執筆:サトートモロー 編集:三原 里桜 撮影:小林 一真)
加藤 三津幸
ビズリーチ事業部 ビジネス開発統括部 ビジネスマーケティングユニット インサイドセールス部
部長 兼 インバウンドセグメントマネージャー
新卒で求人広告の代理店に入社。2014年に株式会社ビズリーチへ中途入社。ビズリーチ事業部にて、フィールドセールス、カスタマーサクセス、インサイドセールスなど複数部署でマネージャー職を歴任する。フロント領域では長きにわたり中小企業様向けの採用支援に従事し、顧客対応の最前線で実績を積む。また、インサイドセールス組織においては、ゼロからの新設組織の立ち上げを主導したほか、外部パートナーの開拓や折衝を通じた協業拡大を牽引。これまでの幅広いフロント経験と事業を前進させる組織開発の知見を活かし、現在はインサイドセールス部門の部門長に就任。部門の統括とともに、強固な組織基盤の構築と事業成長に向けた戦略推進に尽力している。
中村 俊太郎
ビズリーチ事業部 ビジネス開発統括部 ビジネスマーケティングユニット インサイドセールス部 BDRセグメントマネージャー 兼 IS企画マネージャー
2018年に株式会社ビズリーチへ入社。キャリトレ事業部にてインサイドセールスおよびカスタマーサクセスを経験し、顧客対応の最前線で実績を積む。2020年8月よりビズリーチ事業部のビジネスマーケティング部へ異動。Webディレクター、広告運用、コンテンツ開発など幅広いマーケティング業務に従事した後、2023年2月に同部門のマネージャーに就任。ハウスリストマーケティングの推進や、PMOとして大型カンファレンス事業のコンテンツ制作・集客を担当。
2024年8月よりインサイドセールス部へ異動し、SDRおよびBDRのマネージャーを歴任。2025年8月に現職に就任し、現在は営業戦略の立案・推進、組織づくりに加え、自部門の中途採用業務も担う。マーケティングとセールスの両領域を熟知した視点から、事業成長に向けた強固な組織基盤の構築に尽力している。
※SDR(Sales Development Representative)
インバウンド対応がメインのインサイドセールス。「反響型」の営業手法とも呼ぶ。
ダイレクトリクルーティングを切り拓いたプラットフォーム
冨田:
まずは簡単に、自己紹介をお願いします。
加藤:
私は現在、インサイドセールス部の部門長と、当部門を大きく三つに分けたセグメントのうち、SDRのマネージャーを兼務しており、会社がまだ300名規模だった2014年の12月に入社してから、一貫してビズリーチ事業に関わってきました。
しかし、入社当初からインサイドセールス部門にいたわけではありません。ビズリーチ事業のフィールドセールスとカスタマーサクセスを経験し、別事業にチャレンジした後、再度ビズリーチ事業に戻り、インサイドセールス部門に携わることとなりました。
中村:
私は2018年に新卒で入社して、別事業のインサイドセールスを1年、カスタマーサクセスを1年経験しました。そして、3年目のタイミングでビズリーチ事業部のビジネスマーケティング部門へ異動し、広告運用や展示会、セミナーの企画などに4年携わりました。2023年からは、マネジメント業務に従事しています。
今のチームには2024年8月にジョインして、半年ほどSDRのマネージャーを務めました。直近では、過去にご契約いただいたお客様を担当する、アウトバウンドセグメントのマネジメントを担当しています。
冨田:
改めて、ビズリーチ事業のサービス内容や主なお客様について教えてください。
加藤:
当事業は主に、即戦力人材に特化した転職プラットフォームを運営しています。もともとの主要な顧客層は、ITベンチャーや外資系の企業様でした。しかし今では、大手企業様から中堅中小企業様、さらには地方の企業様にまでその範囲を広げています。
冨田:
まさに、ダイレクトリクルーティングを体現する事業ですよね。組織の規模も非常に大きいと思いますが、営業組織はどのような体制になっているのですか?
加藤:
マーケティング部門を除いたインサイドセールス部門、フィールドセールス部門、カスタマーサクセス部門という機能別組織になっています。

チーム会、分科会を通じてみんなで攻略する
冨田:
ここからは、ビズリーチ事業のインサイドセールスの活動に触れていきたいと思います。まずは全体像を理解するために、皆さんが普段どのような活動をしているのか教えてください。
中村:
前提として、当社のインサイドセールス組織は三つのセグメントに分かれている他、インバウンドとアウトバウンドの中でも「再契約」と「新規契約」でチームが分かれています。いずれのチームにおいても、一日の業務の大半は架電が占めています。
ただ、私たちの組織では「単に架電すること」がインサイドセールスの役割だとは捉えていません。
お客様の課題に深く寄り添うのはもちろん、「チームをどう盛り上げていくか」「このエリアでは何に注力すべきか」などを、チームやメンバー単位で議論しながら進める。そんな時間をとても大切にしています。そのため、1日のなかで朝・昼・夕にチーム会を実施したり、分科会を通じてお客様への理解を深めたりと、メンバー全員で学ぶ時間をしっかり設けています。
冨田:
なんだかゲーミフィケーションのようなイメージを連想しました。チーム全員でゲームプランを立てて取り組むというのに近いのでしょうか?
中村:
近いと思います。先月はあるチームが、重要視している指標をただ追いかけるだけではなく、チームとしてより意欲的に取り組むために、「日本一周」をテーマにした施策を発案していました。成果が上がると地図のマスが一つ埋まる仕組みで、みんなで地図を埋めていき、日本一周できたら目標達成、といった具合です。
冨田:
面白い!日々のお客様へのアプローチにおいて、皆さんでコミュニケーションを取りながら、チームで取り組んでいくという側面が強いのですね。
中村:
その表れとして、月間表彰には個人だけでなくチームの表彰もあります。さらに個人の表彰においても、単なる数値の達成だけでなく「チームに対して素晴らしい貢献ができていたか」を評価するんです。自分一人だけが成果を上げればいいという考え方ではなく、自身の目標を追いかけながらも周囲をサポートし、チーム全員で頑張ろうという姿勢を称賛する文化があります。
採用課題の奥にある「組織課題」「事業課題」まで掘り下げる
冨田:
採用・HRの領域は競合も多く、苦戦する場面もあると思います。インサイドセールスとして、ここは大変だという苦労話もお聞きしたいです。
加藤:
お客様によって、当社への認知や過去の経験が異なるのが難しいところです。例えば都心部の企業様の場合、すでにさまざまな採用手法を試したうえで、「ビズリーチも使ってみたけれど期待通りの活用ができていなかった」、という経験をされていることも少なくありません。
そうしたお客様に対しては、「さまざまな手法を試した上での、現状の採用活動の課題は何なのか」を深く考え、丁寧なアプローチを続ける必要があります。優秀な人材を採用したいという想いはどの企業様も同じです。その中で、どうやって当社の魅力を届けるか、あるいは競合がアプローチしにくい求人をどう設計し、差別化していくか。そういった切り口の示唆を深めるアプローチが求められます。
一方、企業様によっては、組織全体で採用が自分ごと化されていなかったり、「いい人が採用できれば組織が前に進む」ということ自体を諦めてしまっていたりするケースもあります。これまでの採用活動が、欠員補充の域を出ず、人材への投資をしてこなかった歴史があるからです。
そうした企業様に対して、「人材投資や人的資本経営に本気で取り組む」重要性を提示し、熱意を持って巻き込んでいけるか。この点に難しさと同時にやりがいを感じています。

冨田:
当社も少し耳が痛い話です……(笑)。
おそらく、「『ビズリーチ』を導入すれば、それだけでうまくいく」という、“魔法の杖”のような捉え方をされてしまう側面もあるのだと思います。その中で、皆さんは採用に対する価値観や、人材の育成・教育に対するリテラシー、社内体制といった部分にまでアプローチしていかねばならないフェーズに入っているのですね。
ちなみに、KPIはどのような指標を設定しているのですか?
加藤:
現時点では、インサイドセールス部門のKPIを「商談化数(有効商談数)」に置いています。「商談化」という言葉は馴染みがないとよく質問をいただくのですが、インサイドセールスはどうしても「商談を頂戴すること」自体に目が行きがちです。ですが、私たちの最終的なKGIは、あくまでもご契約社数や契約売上です。そのため、単にアポイントをいただくだけではなく、お客様が「費用を払ってでもこの課題に向き合いたい」と思ってくださる状態を作れているかどうかが、なによりも大事だと考えています。
だからこそ、単なる商談実施数ではなく「商談化(有効商談数)」を重要な指標として、前述の状態にあるお客様との商談を、しっかりとフィールドセールスへつなげられているかを追っています。
冨田:
ビズリーチ事業のビジネスモデルを踏まえて、サービス導入がゴールではなく、その先で人材を採用し、組織に定着するまでをゴールとして見据えているのですね。新規顧客開拓のチームが入口からそこまで見通すのは、非常に難しくないですか?
加藤:
おっしゃる通りで、新規開拓だとどうしても「利用する企業を増やすこと」だけに執着してしまいがちです。しかし私たちは、インサイドセールス部門こそ、「このプラットフォームをどう変化させていきたいのか」という視点を持つ必要があると感じています。
今、求職者の方はどのような経路でビズリーチに登録されているのか。カスタマーサクセス側でどのような事例が生まれているのか。こうした点を自ら把握し、お客様に伝えていく。こうした姿勢を、部門長の私やマネージャーの中村が体現していかないといけないと思っています。
中村:
私たちは月に一度、自分たちが創出した商談からご契約につながった商談のうち、どれくらいの求職者様が採用決定に至っているのかを組織全体で共有しています。自分たちの仕事が採用成功までどのようにつながっているのかを実感してもらうための取り組みです。
冨田:
そうした活動がないと、ファネルの入口である商談数だけが積み上がって、その先の契約や採用決定という事業貢献の成果と紐付けづらくなってしまいますよね。インサイドセールスがそこまで考えて活動するのは、非常に大事なことだと感じます。
この点は、冒頭で少し触れていた「お客様の課題に深く寄り添う」という要素につながる部分だと思います。皆さんが考える「深く」という言葉は、どのようなイメージですか?
中村:
私たちのサービスは採用活動を扱っているので、お客様の課題は「人材が集まらない」「応募が来ない」といった内容になりがちです。そこで、私たちはその奥にある「組織課題」や「事業課題」にまで踏み込み、課題の深さを分けて捉えるようにしています。
例えば中小企業様の場合、組織課題や事業課題に話を広げていくと、採用の背景に「後継者探し」や「事業としての存続の危機」といった切実な問題に直面することがあります。それに対して、「課題は単純に“人が集まらない”ことではなく、事業存続の危機そのものである」という点で合意形成を進めることを重要視しているんです。
ちょうど先日、グッドプラクティスを共有する会があったのですが、メンバーが発表した事例がまさにそれでした。あるお客様が「お金をかけられないからビズリーチは使えません」とおっしゃったそうです。
そこでメンバーは、事業内容や経営状況を踏まえて後継者問題や事業存続に関する悩みにフォーカスし、「優秀な人材を一人採用するだけで、事業にこれだけ良い影響をもたらします」と粘り強く伝えたんです。
すると「確かにその課題は重要なものだから、お金をかけてでもやらなきゃいけない」とご納得いただき、初めて商談の場が設けられることになりました。
冨田:
非常に深い話ですね。採用は、お客様にとっては「手段」として捉えられている。その手段を、「何の目的のために選ぶのか」「他の手段と並べたときにどれだけ目的を達成しやすいのか」を理解していただくところまで寄り添う。それが皆さんの活動の根幹なのですね。
中村:
加えて、これらは私たちのサービスだからこそできるアプローチという側面もあります。契約をして待っていれば、自然と人材が集まる従来の手法と違い、ビズリーチは企業様ご自身が能動的に活動しないと人材の採用はできません。お客様からするとハードルが高く、能動的な活動が求められる商材であるがゆえに、採用課題のさらに深い部分にまで入り込む必要性があると考えています。
冨田:
皆さんの活動では、中小企業の代表や大手企業の人事担当者など、相対する方の属性に応じた課題を捉えていくことも必要だと感じました。その点はどう工夫していますか?
中村:
カウンターパートの方々に合わせたコミュニケーションの知見を、日々蓄積しています。経営者の方と採用担当の方とでは、採用に対する見え方も異なるため、役割や決裁権の違いによって視点がどう変わるのかは、チームでも共有しています。先ほどのグッドプラクティスの共有のように、お客様の事例を学ぶというのも、その一環です。
冨田:
顧客の事業部門の方と直接コンタクトされることもあるのですか?
中村:
はい、あります。
冨田:
そうなのですね。人事部門と事業部門では、考えていることがそれぞれ違うケースも多いです。皆さんが両者の間に入って、情報を渡し合うといった活動もあるのでしょうか?
中村:
ABM的な活動として、そうした取り組みも行っています。
実は「採用は人事のみが担当するものだ」という考え方を持つ企業様は少なくありません。その結果、現場では「なかなかいい人材が来ない」と嘆き、人事は「目標は達成している」というギャップが起こりやすいんです。
私たちはどちらの視点も直接伺うことができるからこそ、事業部門のリアルな声を踏まえて、人事の方に「今、現場ではこういう課題が上がっているので、改めてお話しさせてください」とお声がけができます。
重要な「二つの力」ビズリーチが未経験者を採用する理由
冨田:
AI活用についてはどうでしょうか?
中村:
オンボーディングや入社歴の浅いメンバーの育成として、4月にリリースした新サービス「Onboard AI」をよく活用しています。
生成AIがキャリア入社者の立ち上がりを支援し、即戦力化 ビズリーチ、新サービス「Onboard AI」を提供開始 再現性の高い形でオンボーディングを仕組み化し、管理職の負担を軽減
「Onboard AI」は、生成AIによる学習コンテンツ(クイズ・ロープレ)を生成できます。これまでのロープレは対人が必須で、教育者側の時間も拘束されていました。しかし「Onboard AI」を通して、メンバーが自分で練習を積めるようになったんです。
徐々に学習データが蓄積されていて、教育者側での対人ロープレを行う際には「AIロープレではカバーしきれない改善点をフィードバックする」という役割分担も、少しずつできるようになっています。

冨田:
新規事業のプロダクトを、社内の現場ですでに活用されているのですね。
人材育成の話題が出たところで、採用についても伺いたいと思います。事前の打ち合わせでお伺いして、御社には未経験者の方が多いと知り、非常に驚きました。ハイクラス転職のプラットフォームを運営している関係上、即戦力の方ばかりかと勝手にイメージしていたので……。ここにはどのような意図があるのですか?
加藤:
前提として、あえて未経験の方に絞って採用しているわけではありません。
当社は「お客様の顕在化していないニーズに向き合う」という姿勢で営業活動をしています。しかし、こうした営業経験を積んでいる方は意外と少ないのが現状です。そのため、経験者でも未経験者でも、そこを含めて私たちの価値観に共感していただく必要があると考えています。
実際、私たちの志やスタンスに共感して、仕事に取り組んでいただける方が長期的に活躍している。そうした背景から、未経験の方も含めて人材を募集しているんです。
冨田:
どのような観点で応募者を見ていますか?インサイドセールスを採用する立場として、ぜひ伺いたいです(笑)。
加藤:
大きく分けると、「思考力」と「グリット(やりきる力)」の二つを重要視しています。これまで営業経験がなかったとしても、物事にどう向き合ってきたかにはその人の考え方や志向性が強く出ます。その中で、グリットを持ち合わせているかを大切にしています。
思考力について具体的に言うと、「何かに取り組んで、うまくいった要因とそうではなかった要因は何か」をしっかり考えて、自分のなかの再現性を生み出していく力です。感覚でやり続けるのではなく、ちゃんと自ら思考し言語化していくことを、ビズリーチとしては大切にしています。
この二つを持っている人材は、未経験でも知識を上積みしていけると考えています。
こうした能力に加えて、ビズリーチの価値観やカルチャーにフィットしているかどうかも重視しています。
3週間での独り立ちを目指す“量質転化”のオンボーディング体制
冨田:
AI活用でオンボーディングの話が出ましたが、未経験者からインサイドセールスとして独り立ちまで育て上げる体制についても、具体的に教えてください。
中村:
まず、インサイドセールス部門にはオンボーディングを担当する専任チームが存在しています。チームに所属する3名のメンターが、毎月加わる新しいメンバーを受け入れ、付きっきりで指導をしています。

正社員の場合、入社1週目は全社研修があり、2週目から部門に合流します。部門配属後の1週目は、とにかくオペレーションとサービスの知識をインプットする時間です。採用の基礎知識だけでなく、お客様の組織体制や決裁者によって提案のポイントがどう変わるのかまで、インプットとテストを重ねながら着実に身につけていきます。
配属2週目からは、ロープレが中心になります。チーム内のリーダーとの対人ロープレに加え、空いた時間にはAIロープレを繰り返し実施します。AIロープレでは、お客様が抱えるさまざまな課題を想定した複数のシナリオを用意しており、実際の商談に近い環境で幅広いケースを経験できます。それぞれのシナリオで一定の合格基準をクリアすることが、次のステップに進むための条件です。AI相手だからこそ失敗を気にせず何度でも挑戦でき、自信がつくまで繰り返し練習できるのも大きな特徴です。
そして配属3週目から、実際にお客様への架電を始めます。すべての通話を音声解析ツールで振り返り、一件一件フィードバックを行います。話す内容だけでなく、伝え方やニュアンスまで細かく改善を重ねられるため、安心してお客様と向き合える状態をつくっていきます。
冨田:
基礎知識のインプットから、ロープレ、そして3週目以降の架電と全通話へのフィードバックまで。そのすべてを3名が行っているのですね。すごい組織力だ……。 一般的なオンボーディングと、御社のオンボーディングに違いがあるとすれば、どのような点にあると思いますか?
中村:
架電活動を通じて、お客様と向き合えること。もっとシンプルに言えば、架電数を積み重ねられること。この二つは、初月から期待していることです。定量的な目標として、法人のお客様に対して、事前の準備をしながら1日の必要架電数を設定しています。研修活動中は、初月から高い水準の架電数を目標に掲げて、基礎行動力を培っていき、2ヶ月目以降からOJTで能力開発を図るようにしています。
冨田:
活動のボリュームに絶対的な実行力とコミットを求めているのですね。
加藤:
オンボーディングで大事にしているのは、「量質転化は図れるものである」ということです。
まずは打席に立ち、PDCAサイクルを回していく。打席に立たないまま、お客様の反応やリアルな声が見えてこない状態で、事前準備ばかりしても改善するのは難しいです。だからこそ、初月に量的な活動を経験してから、潜在課題を深掘りするための能力開発に臨む。
打席に立った経験があるからこそ、「難しいこと(課題の深掘り)に向き合うことで、自分たちの介在価値を発揮できる」という実感が持てます。
トッププレイヤーが伴走し、思考の「キャップ」を外す
冨田:
ここまで一貫して、ビズリーチ事業部が顧客理解を非常に大切にしていることが分かりました。実際に、顧客理解のためにどのようなことに取り組んでいますか?
中村:
メンバー自身が取り組んでいることとして、主に二つあります。一つは、お客様の業界や周辺環境といった知識をインプットすること。たとえば製造業に特化したチーム、東日本のお客様に特化したチームでは、メンバーが独自に関連ニュースを集めて、各セールス組織に共有しています。
もう一つは、先輩から学ぶこと。メンバーはそれぞれのチームに配属されて2ヶ月目以降、「ユニットリーダー」という形で、マンツーマンで専任の先輩がつきます。そして、先輩から直接知見を得られるようにしています。
冨田:
潜在課題を特定できなければ、営業活動で安定的に成果を上げていくことは難しくなります。そして、潜在課題を正確に捉えるには顧客を深く知ることが欠かせません。皆さんは社内で情報を流通させ、組織のなかで共有し合う文化や体制を持っているからこそ、顧客理解を着実に形成できているのですね。
今のお話にあった「先輩から学ぶ」という点についてですが、ユニットリーダーには優秀なトッププレイヤーの方が任命されると伺っています。しかし、トッププレイヤーを育成担当にするのは簡単なことではないと思うのです。この体制をどう実現しているのか、また、なぜトッププレイヤーを育成に充てようと考えたのか。この2点をお聞かせください。

中村:
後者からお伝えすると、私たちの評価基準のなかには「再現性」という観点があります。そのため、トッププレイヤー自身の能力開発という観点でも、「自分の成功体験を他者でも再現できるようにすること」を求めていきたいんです。この点は、自分一人で成果を出すのではなく、チームで成果を出すという組織の方針にもつながっています。
そして、この活動を1対1という関係性にし、チームではなく一個人に特化して育成に専念できるようにしている。スポーツでいう「先輩と後輩」の距離感で育成できるという点が、ユニットリーダー体制を実現できている要素だと思います。
冨田:
なるほど。ユニットリーダー(トッププレイヤー)の皆さんは、どのようにメンバーの能力を伸ばしているのですか?
加藤:
トッププレイヤーに共通しているのは、「お客様に対して価値を発揮したい」と考える水準が非常に高いという点です。オンボーディング中のメンバーが「この企業様をご支援するのは難しいだろう」と考えてしまう場面でも、彼らは「この切り口であれば役立てるんじゃないか?」と問いかけていきます。
このやり取りを繰り返していくことで、オンボーディング中のメンバーの思考の限界(キャップ)が外れていく。問いの切り口は人それぞれですが、このスタンスはトッププレイヤーに共通している気がします。
冨田:
成果を出す方とそうでない方の違いは「どこで諦めるか」にある。トッププレイヤーを伴走者にすることで、今まで諦めたり思考を止めたりしていた基準のボーダーを引き上げて、お客様の課題に深く入り込めるようにしているのですね。
オンボーディングで学んだことは、お客様とのコミュニケーションにどう生かされていると思いますか?
中村:
ここも二つあると思っています。一つは、未経験ながらもセールスとしてお客様との正しい向き合い方が身につくこと。セールスにおけるコミュニケーションを学び、ロープレを通してお客様に向き合える状態に成長する。これは未経験の方を採用するからこそ、大事にしている部分です。
もう一つは、「困ったらすぐ誰かに聞く」という姿勢が醸成されること。架電がうまくいかなかった経験によって次の行動をためらう。こうなると、お客様と話す機会や経験が得られなくなるという悪循環に陥ります。私たちは、初月のオンボーディングで「困ったらすぐ聞く」ことの重要性を全員に伝えています。架電前に先輩社員と相談し、一緒に「お客様とどう話せばいいか」を考える状態に持っていける。話せるようになるためにも、深い話をするためにも、全員がスタンスとして身につけられている部分だと思います。
冨田:
どちらも、組織づくりでは非常に大切なポイントですね。お二人から見て、オンボーディングで大事なことはなんだと思いますか?
中村:
この組織に比較的新しく来た側の人間としては、「仕組み」が特に重要だと思います。この研修ではこういうことをインストールしてほしいから、こういうことをやる。当社ではこれらを一つ一つ丁寧に設計しているので、振り返りがしやすいんです。おかげで、配属後に「〇〇ができなかった」となったときに、専任チームと現場で「この研修にここを足そう」という議論がしやすくなっています。
加藤:
期間を決めて、能力やマインドセットの基準への到達に向き合う。研修担当も含めて、「未経験もこのスピードで成長する」という思いを実現していく姿勢を持つことが重要だと思います。
2ヶ月目以降の営業活動の成否は、自分で描いたことをやりきれるかどうかが鍵を握ります。たとえうまくいかない時期が続いても、メンバー自身が立て直し計画を描けるようにする。そして、組織は本人の可能性を信じて支援する。ビズリーチには、その仕組みができていると思います。
冨田:
採用時に重視する能力の一つである、「グリット(やりきる力)」の重要性を強く感じさせるお話ですね。最後に、「こんな想いを持つ方は、ビズリーチ事業部のインサイドセールスに挑戦してほしい」というメッセージをいただけますか?
加藤:
ビズリーチには、組織課題や経営課題など、通常のインサイドセールス活動では相対することができない課題に触れられる環境があります。企業としてすごく重要な課題に対してバリューを発揮していきたいという熱意と覚悟を持つ方は、ぜひ仲間に加わっていただけるとありがたいです。私たちも、全力でオンボーディングをした上で、キャリア形成を支援します。
冨田:
ありがとうございます。
今回お話を伺ってとても印象的だったのは、皆さんが日本全国津々浦々、中小企業から大手企業まで、「採用・組織・経営」という三層の課題に触れることができるという点です。なおかつ、それらをお客様との対話のなかで生み出していくスキルや技術が身につく場所だと感じました。
この能力は、インサイドセールスに限った話ではなく、社会人・ビジネスパーソンとしての土台となる力です。それを身につけられる強固な仕組みを構築しているからこそ、未経験からでも飛躍できるチャンスがあるのだと思いました。
今回お聞きした営業活動にチャレンジしたいという方は、ぜひビズリーチ事業部の採用情報などをチェックしてみてください。
加藤さん、中村さん、本日はありがとうございました!

今回の「THE LEADERS」は、お楽しみいただけましたか?本シリーズでは、今後も各業界で活躍するインサイドセールスのリーダーをお招きして対談を行います。次回もぜひ、ご覧ください。
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