【視察レポート】SuperAI 2026 視察報告:AIエージェント時代における事業変革と「営業領域のBeyond BPOーAX」に向けた戦略的示唆
はじめに
SuperAIとは?
SuperAIとは、シンガポールのマリーナベイ・サンズで開催されるアジア最大級の国際AIカンファレンスです。2024年6月に第1回が開催されて以来、急速に規模を拡大しています。世界150カ国以上から1万人を超える参加者や、1,500社以上のAI関連企業・研究者・投資家・政策立案者が集まります。基調講演・パネルに加え、スタートアップコンペ「Genesis」、賞金総額20万ドルのコーディングハッカソン「NEXT Hackathon」、大規模な展示フロアを併設。世界の意思決定者(創業者・投資家・大企業リーダー)が集まる商談・ネットワーキングの場でもあります。
(執筆:冨田 貴徳)
サマリ
1万人を超える参加者が世界中から集まった本カンファレンスでは、AIの主戦場が「モデルの性能競争」から「自律型エージェントの社会実装」へとフェーズ移行しつつあることが鮮明になりました。これはSuperAIで共有された様々な業種・業界のケーススタディから抽出したトレンドですが、セールス領域・顧客接点領域においても言えることだと考えています。
このメガトレンドは、我々SALES ROBOTICSにとって捉え直すと、私たちはもはや「インサイドセールス支援・営業DXの会社」に留まるべきではなく、「セールス領域全体をAXする存在」へと自らを再定義し、顧客の営業プロセスを根本から書き換える必要があることを認識するよい機会となりました。
この結論に至った背景、そして皆さんと共有したいSuperAIで学んだポイントは以下の通りです。
①コールド営業の劇的劣化と「セールスAX」の必然性
AIによるスパム的アプローチが蔓延し、従来型の「量をこなすアウトバウンド営業」は非効率化し、信頼経由の価値が向上する方向へ向かいます。データ・推論・人間(信頼)を融合させた全く新しい営業ワークフローを顧客に提供するAXが急務です。
②提供価値のシフト(SaaS/BPOからOutcomeへ)
顧客は「ソフトウェアのID数」や「架電数」ではなく「エージェントが創出する成果(Outcome)」に対価を払う時代へ移行しつつあります。成果連動型モデルへの移行が「AXパートナー」としての当社のポジションを確立します。
③「記録のシステム」から「知能のシステム」への昇華
商談データをただ記録するCRMだけでは捉えきれない情報の活用が鍵となり、日々の営業活動から「構造化されたインテリジェンス」を抽出し、AIエージェントを駆動させるデータ基盤こそが、当社の次世代コア価値となります。
この3つをまとめながら、私たちが掲げる、AXを通じて「顧客と向き合う時間を増やす」のメッセージは、まさに今価値が上がりつつあることを確信した2日間になりました。
SuperAI 2026で分かった、マクロ潮流3つ

会場全体を貫いていた最大のテーマは、「エージェント/推論の年」への突入です。チャットボットのような受動的な対話型AIの時代は終わり、自律的に意思決定し行動する「AIエージェント」と、それを裏で支える「高速推論インフラ」「リアルタイムデータ基盤」をいかに構築するかに世界の投資が集中しています。
各セッションを聴講して、以下、今後のビジネス環境を決定づける3つの不可逆的な変化が起きていると認識しました。
①「AIモデルの賢さ」から「推論速度×データの鮮度」への競争軸移行
LLM自体のコモディティ化が進む中、優位性を決めるのはエージェントが実用的に動くための「遅延の無さ(推論速度)」と、「いかに新鮮で信頼できる独自データ(リアルタイムデータ)をエージェントに食わせるか」に懸かっています。
②ビジネスモデルと評価指標の「100倍速」アップデート
Stripeのデータが示す通り、企業がAIへ支払う対価は「サブスクリプション」から「クレジット消費」、そして「成果・ワークフロー連動」へと急速に進化しています。同時にAI導入企業のKPIも、コスト削減から「人員あたりの売上高(生産関数の変化)」へと移行しており、少人数の「ハイブリッド人材」による小規模チーム化が進んでいます。
③エンタープライズ実装における「ガバナンスと人間の介在(HITL)」
Fortune 500企業において、自律型エージェントの普及率は現在の5%程度から今後40%へ急増すると予測されています。金融や製造など厳格な業界へのAI導入においては、単なる技術力以上に「人間による検証(HITL: Human in the Loop)」「監査証跡」といったガバナンス体制が受注の絶対条件となります。
本視察の結果を踏まえ、SALES ROBOTICSが「営業AXプラットフォーマー」として、次のような方向性へ進むべく取り組みを加速させていきたいと考えています。
①営業モデルの再構築(「量」のDXから「質×AI」のAXへ)
誰でもAIで高度なパーソナライズメールやコールを行えるようになるため、見知らぬ相手からのアプローチ(コールド営業)は顧客から「AIスパム」として認識されるようになります。これはつまり、単に自動化・量産する手法では、顧客との接点を持てるどころか、逆に信頼を失いかねない状況に陥る可能性があることだと理解できます。
そのため、既存のアウトバウンド至上主義(量の手数)から脱却します。「高鮮度で正確な独自データ」に基づくAIターゲティングと、「人間による信頼の担保(ウォームイントロ・関係構築)」を掛け合わせたハイブリッドな営業設計への移行を急ぎ、これを「次世代の営業AX標準」として市場に啓蒙します。
②「商談インテリジェンス」へのサービス価値引き上げ
既存のCRMシステムは「起きたことの記録」に過ぎず、顧客との会話の機微は失われています。エージェント時代に真に価値を持つのは、商談プロセスから生まれる構造化されたインサイトだと言えます。
もはや営業のBPOの価値は「営業・記録代行」には見出せません。現場の「会話・行動データ」をAIでリアルタイムに構造化し、エージェントが次の最適なアクション(提案やフォロー)を自動生成するための「知能のシステム」として提供するようになるでしょう。これにより、SALES ROBOTICSは、顧客の営業組織そのものをアップデートするパートナーとなります。
③自社を「営業AXの壮大な実験場」として高速PDCAを回していく
「100倍速の企業」を実現するには、現場任せではなくCEO・経営層が自ら「AIを使わない選択肢はない」という文化を牽引する必要があります。そのため、SALES ROBOTICS自身のインサイドセールス業務やコンタクトセンター業務を徹底的にエージェント化し、自社を最大のテストベッドとします。
これはすでにNansen AIが取り組んでおり、講演ではリードタイムの95%削減、人員あたり売上の3倍化など、圧倒的な生産性向上の実証データが得られたと語られていました。
こうした自社で得た実証データそのものを、自社から顧客へのコンテンツとして提示し、同時に、成果連動型(Outcome)プライシングのテスト導入を開始することで、ビジネスモデルそのもののAXを推進します。
最後に
AIによって顧客へのアプローチ手段が急速にコモディティ化する今、単なる「効率化ツール」や「マンパワーの提供」は価格競争に巻き込まれ、顧客とのコミュニケーション機会すら獲得が難しくなる未来が、講演を通して改めて確認できました。これから重要になるのは、AIを単なる自動化や大量生成の手段として捉えることではありません。むしろ、AIを通じて提供価値の質を高め、顧客の潜在的・個別的なニーズにまで深く適応するための実装基盤として活用することが求められる姿なのではないかと、目指す方向の妥当性を確信しました。
SALES ROBOTICSは、顧客の営業領域全体をAXする存在として自らを進化させ、AIに任せるべき自律的ワークフローと私たち人間が介在すべき信頼構築・ガバナンスの最適なブレンドを市場に提供する先駆者となるべく、これからも取り組みを加速させていきます。
取締役 CMO 冨田 貴徳
SALES ROBOTICSの取締役CMOとして、主にマーケティング、インサイドセールス、営業に関する登壇、情報発信を行う。同社の最高戦略責任者として新規事業開発を牽引、昨今は国内外問わずAIの業務実装と変革に関する調査を積極的に行っている。
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